タッチャ、瞑想体験を提供する ポップアップストア が売上を牽引

DIGIDAY

タッチャ(Tatcha)は、2022年後半に発売したボディケアコレクション「フォレスト・アウェイクニング(Forest Awakening)」のマーケティング施策として、IRL(現実世界)とオンラインのアプローチを採用している。

2月に開始したこの取り組みは、どちらも日本の森林浴から着想を得た体験を構築したものだ。ストレス軽減にも焦点を当てている。同ブランドはこの分野の権威になるべく、過去1年で投資をしてきており、2022年にはストレスの影響に関する調査を実施した。

キャンペーンのIRLの部分では、2月17~19日にロサンゼルスのモール「ザ・グローブ(The Grove)」で、初となるポップアップストアをオープンした。プレスやインフルエンサーを招いて、体験をコンテンツに制作してもらったほか、一般の人々の来訪も歓迎した。

ポップアップストアには瞑想ルーム、製品のショールームのほか、インタラクティブな体験が用意された。同ブランドでは、子どもたちの識字教育と女子教育に取り組むNPO「ルーム・トゥ・リード(Room To Read)」の慈善事業と提携しており、ポップアップストアに設置された木に願い事を結ぶと、同団体を通じて1日の教育プログラムが提供される。店を訪れた人々には他にも、その場でしたためられた俳句や、無料の抹茶がふるまわれた。

「ほとんどの人は店舗での実体験に、少なくとも8~10分間を費やしていた。落ち着き、バランスを取り戻し、リフレッシュできたと語ってくれた」と、タッチャのCEOであるメアリー・イー氏は店頭で寄せられたコメントについて述べた。

ポップアップストアが提供する体験は、売上やブランド認知度の観点からも影響力があることが証明された。ザ・グローブ内のセフォラ(Sephora)で売れ行きが急増し、一部の商品が売り切れたためオンラインでの注文を案内する必要があったほどだとイー氏は述べる。「店舗での売上高の1カ月分に相当する額を、このセフォラの店舗はわずか3日間で達成した」。

「この種の体験を提供するには費用がかかるが、売上につながる」とイー氏は語る。

だが、インフルエンサーを招待し、ポップアップストアへの自発的な来店と投稿を促した結果、同ブランドでは900万を超えるソーシャルメディアインプレッションも獲得した。

これに対応するデジタル体験でも、製品に焦点を当てるだけでなく、リラックスに軸足を置くものがある。たとえば、3Dウォークスルーのなかに登場する温泉の部屋では、ヒノキを用いたボディケアコレクション3点セットが浴槽の上に置かれ、クリックすると製品の詳細情報が表示される。「スキンケア・リチュアル」の部屋に移ると、そこはバーチャルストアのような設えになっており、陳列されている各製品について詳しく知ることができる。そして森林のなかを歩く「フォレスト・エスケープ」や「メディテーション・ハウス」では、京都・両足院の副住職でタッチャのウェルビーイング・メンターを務める伊藤東凌氏の音声で瞑想を行える。

タッチャはこのデジタル体験を、マーケティングメールやソーシャルメディアでプロモートしている。当面のあいだはウェブサイトからアクセスが可能だ。

デジタル体験の影響力も折り紙付きだ。2021年11月に発売したインディゴ・オーバーナイト・リペア(Indigo Overnight Repair)でもデジタルルームを実施しており、このときはサイトの滞在時間が26%増、カート投入は50%増加したという。「啓発やエンゲージメントへの投資は、最終的には売上につながると理解している」と話すイー氏は、今回実施したデジタルルーム施策についてはまだ続行中であるため、成果を報告するには時期尚早だとも付け加えた。

「消費者はもはやオフラインとオンラインを別々には考えていないため、デジタルと物理的な施策の両方に投資することが私たちにとっては重要だった」とイー氏。

両方の施策の目標は「肌と心のつながりという信念に根差した、タッチャというブランドの精神を顧客により良く理解してもらうための、有意義かつイマーシブ(没入型)な体験を創出することだった」と、タッチャのCMOであるカイリーン・カンポス氏は語る。

[原文:Tatcha’s experiential, meditative pop-ups are driving sales

SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:田崎亮子/編集:山岸祐加子)

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