イット・コスメティックス、CSRの一環として働く女性の自信向上に取り組む

DIGIDAY

イット・コスメティックス(It Cosmetics)は、働く女性の自信をサポートしたいと考えている。

同社は6月1日、アメリカン・コンフィデンス・インスティテュート(American Confidence Institute)と提携した新たなCSRの一環として、自信に関する動画シリーズの制作とブログ投稿を行うことを発表した。そのなかで、マイクロファイナンス機関「キヴァ(Kiva)」による小口融資プログラムの計画も明らかにした。

2016年にロレアルグループ(L’Oréal Group)が買収したイット・コスメティックスは、女性が自分の肌に自信を持てるようにする製品を提供するため2008年に設立したのだと、同社の消費者エンゲージメント担当シニアバイスプレジデントであるクリステン・カミングス氏は語る。そこから領域を拡大し、働く女性の支援に好機を見出していきたいと同部門では考えている。

「私たちはブランドとして、消費者には自分の肌に自信を持ってもらいたいと考えている。写真や動画にはリアルな女性の、リアルな肌や、肌の悩みなどあらゆるものを見せている。これをさらに進め、内側から湧く自信について取り組むことに今はフォーカスしたい」とカミング氏は述べる。

イット・コスメティックスは毎月2回、消費者向けのECサイトで「面接で自信を持つには」「competence(能力)とconfidence(自信)の違い」「成功と自信、どちらが大事か?」といったトピックで、ブログを投稿する予定だ。ブログを執筆するのは、アメリカン・コンフィデンス・インスティテュートの創立者であるアリッサ・デビア氏で、同様のトピックを扱う毎月1回公開予定の動画にも登場する。

イット・コスメティックスのYouTubeチャンネルには、40,000人以上の登録者がいる。小口融資プログラムでは女性の事業主にそれぞれ最大10万ドル(約1327万円)、合計300万ドル(約3億9800万円)を2030年までに貸し出す。この300万ドル以外に同社がCSRプログラムに投資する額について、カミングス氏は明らかにしなかった。

「自信とは単なるバズワード(流行語)ではなく、他の誰かの経験によってエンパワーされる(力を発揮できるようになる)ものでもない。年齢やキャリアに関係なく、誰もが学ぶことができるスキルなのだ。自信を持つと、その人は本当の影響力を持つようになる」とデビア氏は語る。

7月にイット・コスメティックスは、アメリカン・コンフィデンス・インスティテュートの調査やインサイトを活用し、仕事における自信や自己評価についてのツールを発表する予定だ。このツールは職場でのシチュエーションにまつわる質問に答えていくと、自信をつけるためのコーチングの解説やヒントなどが、個々に合わせたレポートの形で提供されるというもので、評価はスコアではなくカスタム分析の形で示される。実用的なティップス(秘訣)やテクニックを実施した後には、自信のレベルを長期にわたって観察するため、再度評価を受けることを薦めている。

最近はいわゆるコンフィデンス・カルチャー(自信を持とうという文化)に対して、そして自信を持てない責任を社会的な大きな力に対してではなく女性個人に負わせることに対して批判が巻き起こった。自信を持つことやエンパワーメントを促すメッセージは、女性へのプレッシャーを緩めるどころか強めていると批評家たちは主張する。美しくて若くあるべきだと求められることは変わらぬまま、さらに自信も持つようにとプレッシャーが上乗せされるためだ。これはポジティブであろうとする精神的な鍛練を促すのと同時に、女性の地位向上に向けた活動の原動力となる怒りや批判を最小限に抑える、フェミニズムの一種なのだ。また、米国労働省が2月に発表した労働統計を全米女性法律センターが分析したところによると、2020年2月以降に失われた雇用のうち、男性分はすべて回復した一方で、女性の労働人口は2022年1月時点で100万人以上が失われたままだ。

イット・コスメティックスは、現在実施しているプログラムを通じて働く女性を支援しようと努めているものの、女性の利益や平等に関連する他分野でも常に積極的だというわけではない。たとえば、米最高裁が中絶を合法化した重要判決を覆す内容が4月にリークされたことについて、同社はソーシャルメディアに投稿をしていない。また、中絶禁止に反対するキャンペーン「Don’t Ban Equality(平等を禁止するな)」にも、グロウ・レシピ(Grow Recipe)、ウラ・ヘンリクセン(Ola Henriksen)、ザボディショップ(The Body Shop)、フェンティ・ビューティ(Fenty Beauty)など美容系やウェルネス系の62ブランドが賛同し、ソーシャルメディアに投稿していたが、イット・コスメティックスをはじめとするロレアルグループ傘下のブランドは参加しなかった。

「制度的な問題があることを、私たちは認識している。私たちがやろうとしているのは、それを乗り越えるに役立つツールを提供し、女性をエンパワーしようということ。社会が変化を起こすのを、ただ待っているわけではない」とカミングス氏。「女性たちが自分のことを日々エンパワーし、自信に影響を与えることはできるのか? 自信と、自己否定する内なる批判家とは、常日頃から戦っているのだ」。

これまでのところ、イット・コスメティックスが主要なソーシャルチャネルに投稿しているのは告知やアドバイスといった内容で、今後も動画が新しく公開される際にはその旨を発表していく予定だ。自信に関するアドバイスや告知については、eメール・マーケティングにも統合していく予定だと、カミングス氏は語る。同社ではプログラムのインパクトを測定するため、自己評価ツールの利用者数やリピート利用者数、動画の視聴回数やシェア数、ブログ投稿の読了率やシェア数を検証していく。そして1年後には、同部門が事業を行うすべての市場において、このプログラムを展開していく予定だ。

[原文:It Cosmetics focuses on women’s workplace confidence in new CSR initiative

EMMA SANDLER(翻訳:田崎亮子/編集:山岸祐加子)

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