ネズミは本当にチーズが好きなのか?チーズよりも好きなものはあるのか?

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トムとジェリーをはじめとするアニメやマンガで「チーズが大好きなネズミ」が描かれていますが、実際にネズミがチーズを食べているところを見たという人は少ないはず。本当にネズミはチーズが好きなのかどうかについて、科学系メディアのLive Scienceが解説しています。

Do mice really like cheese? | Live Science
https://www.livescience.com/do-mice-really-like-cheese


「ネズミは本当にチーズが好きなのか?」という疑問について考える前に、そもそも一口にネズミといっても多様な種類が存在することを知る必要があります。ネズミ目の中にはアカネズミ属ハツカネズミ属などさまざまな種がありますが、人間にとって最もなじみ深いのは家屋の周辺にも生息しているハツカネズミです。

アメリカのドレクセル大学で進化生物学を研究するMegan Phifer-Rixey氏によると、ハツカネズミはおそらく中央アジアか南アジアで進化したとのこと。ハツカネズミは人間の移動に便乗して世界中に広まりましたが、食物に関して特にうるさい好みがあるわけではないそうです。


ハツカネズミは近くで手に入るものであれば穀物や昆虫、ゴミ、そしてチーズも含めて基本的に何でも食べます。しかし、問題なく食べるからといってそれがハツカネズミの好物かどうかは別の話であり、チーズはハツカネズミの好物とは言えないとPhifer-Rixey氏は指摘しています。

チーズの代わりにハツカネズミの好物だと考えられているのが、「ピーナッツバター」です。Phifer-Rixey氏は、「ハツカネズミは優れた嗅覚を持っており、ピーナッツバターはかなり強い匂いを放ちます」と述べており、タンパク質と脂肪が豊富な点もハツカネズミにとって魅力的だそうです。

実際にピーナッツバターは多くのネズミ駆除業者や専門家によって、ネズミをおびき寄せる餌として推奨されています。Phifer-Rixey氏は、ピーナッツバターにオーツ麦を混ぜることで、トラップがべたつき過ぎないちょうどいい具合になると述べています。


ハツカネズミはチーズが好きであるという証拠はないものの、現に「ネズミはチーズが好き」というイメージは世界中に広がっています。この答えにも正確なものはありませんが、1つの仮説として「チーズは他の食品のように瓶の中で保管されたり天井からつるされたりせず、棚にそのまま置かれることが多かったため、ネズミがチーズを食べる様子が目撃されやすかった」というものがあります。

ネズミはチーズが好きだと人間が思い始めた時期も不明ですが、約2000年前のローマで活躍した哲学者であるルキウス・アンナエウス・セネカは、友人に宛てた書簡で以下のように記しています

“Mouse” is a syllable. Now a mouse eats its cheese; therefore, a syllable eats cheese… Without a doubt, I must beware, or some day I shall be catching syllables in a mousetrap or, if I grow careless, a book may devour my cheese! Unless, perhaps, the following syllogism is shrewder still: Mouse is a syllable. Now a syllable does not eat cheese. Therefore a mouse does not eat cheese.

和訳:「ネズミ」は音節である。ネズミはチーズを食べる。だから、音節はチーズを食べる。間違いなく、私は気をつけなければならない。さもなくば、私はいつかネズミ取りで音節を捕まえることになるだろうし、私が油断すれば本が私のチーズを食べ尽くすかもしれない!あるいは、次のような「ネズミは音節である」というずる賢い三段論法があるかもしれない。ネズミは音節である。音節はチーズを食べない。つまり、ネズミはチーズを食べない。

三段論法の誤りについて記したこの文章からは、当時のローマ人がすでに「ネズミはチーズを食べるものだ」と考えていたことがうかがえます。Live Scienceは、「つまり、ネズミとチーズの物語は古代ローマの広場から現代のアメリカで親しまれているネズミのゲームに至るまで、ネズミと人間、そしてチーズが共存する場所ならどこでも、ずっと存在してきた可能性があります」と述べました。


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2023年03月12日 09時00分00秒 in 生き物, Posted by log1h_ik

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