阪神からアスレチックスにポスティング・システムで移籍した藤浪晋太郎が2023年2月28日(日本時間3月1日)、オープン戦・エンゼルス戦で初登板。2回1安打3四球無失点の投球内容だった。
公式戦ではないが、高校時代から刺激を受け合った同学年の大谷翔平との投げ合いが早くも実現した。藤浪は初回に2つの空振り三振を奪う上々の立ち上がりを見せたが、2回は制球が定まらず先頭から3者連続四球。無死満塁の大ピンチを迎えたが、WBC豪州代表のホワイトフィールドから見逃し三振を奪うと、続くソトを遊ゴロ併殺打に仕留めて安どの表情を浮かべた。
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メジャーデビューした藤浪晋太郎(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
「ボール球が先行して球数がかさむと…」
阪神時代は制球に苦しみ伸び悩んでいたことを考えると、不安が解消されているとは言えない。一方で150キロを超える球威十分の直球、140キロ台中盤のスプリットがきっちり決まれば簡単には打たれない。収穫と課題が明確になった「メジャー初登板」だったが、米国在住の通信員はこう分析する。
「判断が難しい投球内容ですが、無失点に抑えたことは評価できると思います。ただ、この制球力では対戦を重ねると厳しくなる。データを集められてボール球をきっちり見極められるようになると、走者をためて痛打を浴びるリスクがあります。藤浪の良いお手本になるのが、今回投げ合った大谷です。どの球種でもストライクを取れるから四球で自滅する心配がない。メジャーの先発投手に求められることは長いイニングを投げることです。ボール球が先行して球数がかさむと、早いイニングで降板せざるをえない。藤浪の球威ならきっちりコーナーの四隅に投げ込む必要はないので、ストライクゾーンには投げられるようにしたいですね」
異国の地での初登板に、独特の緊張感があっただろう。反省点を踏まえ、次回登板に期待したい。(中町顕吾)