羽田空港（東京国際空港）の歴史を語る上で欠かせない神社「穴守稲荷神社」。穴守稲荷神社は、かつては現在の羽田空港内に鎮座されていたお社だ。
現在も空港内に残されている「旧一の鳥居」には、「GHQが壊すのを断念した」歴史的な事実から、都市伝説も含めたたくさんの噂が存在する。
今回は穴守稲荷神社と羽田空港の歴史を、特集で紐解いていく。
以前、羽田空港内にある神社、「羽田航空神社」についての記事を書いた。
その記事では羽田空港内に航空神社があるということ、その神社が三田の航空会館上に鎮座されている航空神社の分社であることをサラッとお伝えしたが、「羽田空港」と「神社」を語る上で欠かせない神社がある。
……それこそが、現在羽田5丁目に鎮座されている「穴守稲荷神社」だ。
今回羽田空港と神社の歴史を知るべく、宮司の井上直洋さん、権禰宜（ごんねぎ）の椿拓磨さんに取材協力していただいた。
インタビューは基本、宮司の井上さんに対応いただき、権禰宜の椿さんは横で次から次へと神社所有の資料を探して差し出してくださっていた。ありがたい……！
と、穴守稲荷神社の歴史を聞いていく前に、どうしても気になっていたことがある。
京急線・穴守稲荷駅前には、キツネのコンちゃん像がある。
コンちゃん像は穴守稲荷神社にちなんだ駅のモニュメントとして、地元の方々が京急電鉄に奉納したものだ。お召し物はちょこちょこ変わるんだけど、この日のコンちゃんは鬼の面とピーポくんがついていて特にカオスだった（撮影時期は節分前）。
穴守稲荷の「コンちゃん」のひみつ
――来るときに、駅前のコンちゃんがめちゃくちゃシュールな感じになってたんですが、あれはどなたが……？
井上 警察の方からピーポくんのお面をたくさんいただき、私が付けました。節分で豆を撒くのは「＝悪を祓う」ということですから、ピーポくんはふさわしいと思ったのです。
だけど、その直後くらいに鬼の面をつけられました。付けたのは関係者だと思うんですけど、鬼だか警察だかわからない感じになっちゃった(笑)。
――ゆるくておもしろいですね(笑)。
井上 お稲荷さん自身が結構自由で、ユーザー参加型というか、そういう部分があるんです。例えば穴守稲荷神社で見かける狐の前掛けも、皆さんが自主的に作って取り替えてくださったりしているものです。
井上 鳥居の奉納も、今は神社から頒布という形をとっていますけど、もともとは門前のお店がそれぞれ頒布していました。お稲荷さんの総本宮である伏見稲荷さんでも神社が頒布しているわけじゃなく、参道のお店などで頒布しているんです。
――稲荷神社の特徴として、願いが叶ったお礼だとか、願掛けとして鳥居を奉納するんですよね。でもそれも神社が頒布しているとは限らないんですね。やっぱゆるい。
井上 皆さんそれぞれこうしたらお稲荷さんは喜ぶんじゃないか、こうしたら盛り上がるんじゃないかとどんどん持ち寄って、伏見のお山のようにわちゃっとした感じが出来上がると思ってますので。
井上 コンちゃんにしても、あんまりルールを決めてあれはダメこれはダメというのではなく、皆さんがこうした方がいいんじゃないかとやってくださったものはその形でいいんじゃないかと。
コンちゃんは和風の時もあるし、中華風っぽい時や、ポケモンだったりミニモニだったり。昔のワールドカップの衣装だったこともありました。
ーーちなみに、コンちゃんにはTwitterのアカウントもありますが、どなたが運営しているんですか？
井上 私です。
――Twitterでコンちゃんとたまに絡ませて頂いてたんですけども、宮司さんと直々にやりとりさせていただいていたんですね……！？
井上 好きにつぶやかせていただいてますね（笑）。公式のアカウントは彼（椿さん）が真面目に広報してくれています。
穴守稲荷神社には、「東京羽田のあなもりさん 穴守稲荷神社（@anamoriofficial）」と「穴守稲荷のコンちゃん【公式】（@KK14_kon_chan）」のふたつのTwitterアカウントが存在する（2023年2月現在）。
てっきりコンちゃんは公式とは別のゆるいアカウントだと思っていたし、実際語り口もそんな感じで親しみやすいアカウントなので、宮司さんが直々につぶやいていたと知って驚いた。