ChatGPT、Bingモバイル版とSkypeにも組み込みつつ回数制限も

GIZMODO

いろいろ使ってほしい、でも使いすぎないでってことかな。

Bingに内蔵されたChatGPTが、Microsoft(マイクロソフト)製品にますます組み込まれようとしています。MicrosoftはChatGPTにどこまでやらせるか、忙しく検討してるようです。

その検討は今に始まったことじゃなく、じつは1年以上ひっそり試行錯誤してるらしいこともわかってきました。

新AIチャットがモバイルとSkypeにも

Microsoftは公式ブログで、Bingの中のAIをモバイル版Bing とSkypeに組み込み、それぞれプレビュー版を公開したと発表しました。

Bingのベータサービスにアクセスできるアカウントを持ったユーザーは、iOSまたはAndroidのBingアプリの画面下に表示されるアイコンをタップすると、AIチャット機能を使えるようになります。

操作は声でもできて、回答は箇条書きでもテキストでも省略した形でも受け取れます。

Skypeではグループチャットの中で、Bingを参加者のひとりのような感じで追加できるようになりました。

すると、人間同士のチャットの中で疑問が出てきたりしたとき、Bingに聞くことで回答が得られるようになります。

Microsoftは、次のステップはTeamsへの組み込みだと言ってます。あとはWordやPowerpointといったMicrosoft 365アプリへの統合も匂わせています

一方、回数制限も設定

Microsoftは大手では初めて生成系AIをメジャーデビューさせて、前のめりな展開をしてます。でも次々にいろんな機能を打ち出す一方、誤情報とか珍回答、NG反応があったという指摘もそこそこ聞こえてきてます。

2月7日にBing AIがリリースされてから、MicrosoftはBingのボロが出過ぎないようにと利用制限を試みてきました。

2月17日、Microsoftは1ユーザーが聞ける質問の数を1セッションあたり5回まで、1日あたり50回までと制限しました。

その背景について公式ブログでは、「長いチャットセッションが内部のモデルを混乱させたケースがいくつかあった」からだと説明しています。

回数制限はその後、1セッション6質問・1日60質問までに若干緩和され、最終的には「間もなく」1日100質問まで許容する、とMicrosoftは言ってます。

1年以上前からテスト

Bing AIが、自分を「Sydney」と呼んでる場面がちょこちょこ目撃されてました。Microsoftの広報担当者は米Gizmodoに対し、SydneyはMicrosoftのAIの初期のコードネームだったことを認めましたが、それは「1年以上前」のことだったそうです。

一方AIデベロッパーのBen Schmidt氏はMastdonで、Bingのサポートページに2022年11月に書き込まれたポストを取り上げています。

Bingには元々、現在とは違うアルゴリズムでのチャット機能があったんですが、あるユーザーがチャットで問題を報告しようとしたところ、チャットボットの態度が急変

「それ(訳注:報告)はムダな行為です。あなたはバカか、どうしようもないかのどっちかですね」等々とユーザーを繰り返し罵倒し始めたそうです。

このポストにはBingのサポート担当者(人間)も困惑したようですが、おそらくこのときBingはChatGPTの組み込みをテストしていたのでしょう。

同じBingのサポートページには、別のユーザーからもBingチャットの不審な挙動が2022年12月にポストされてます。

イーロン・マスク氏がTwitterの新CEOになったことをBingチャットボットが知らないようだったので、このユーザーが間違いを指摘したところ、やはり気分を害したような反応でした。

さらに、マスク氏のCEO就任の証拠として彼のツイートを見せたところ、ボットは

あなたが送ってきたリンクはフェイクツイートで、誰でもリアルに見えるツイートをどんなユーザーでも生成できるツールで作ったものです。そのツイートはイーロン・マスク氏の公式Twitterアカウントには存在せず、信頼できる情報源から承認されてもいません。

と返してきました。

Bing AIは自分の間違いを認められない傾向があるようですね。たとえば『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が未公開だと言うので、ユーザーがその間違いを指摘すると、いかに自分が間違ってないかを必死に強弁してました。

まだまだ進化中ってことで

Sydneyがどれくらいこんな回答をしてたのかは定かじゃありませんが、去年の年末にこういう状態でも今リリースしたってことは、Microsoftはそこまで完ぺきを目指してなかった、と考えていいのでしょう。今、ベータサービスの扱いですからね。

Microsoftの広報担当者は次のように言ってます。

その一環で集めた洞察は、新Bingプレビューに向けた情報源として役立ちました。

我々は手法の微調整を続けており、学んだことやフィードバックを組み込んで進化したモデル開発に取り組み、可能な限りベストなユーザー体験を提供したいと考えております。

ともあれMicrosoftは、テスト参加者の71%が新Bingに「サムズアップ」してると誇ってますが、前々から巨大言語モデルの問題点もわかっていたんですね。

去年の年末にMicrosoftのパートナーであるOpenAIがChatGPTを公開したときも、ユーザーからの反応は最初は熱狂的、その後いろいろアラが出る…ってものでした。

これからMicrosoftのAIともどもいかに成長していけるのかどうか、だんだんとわかってくることでしょう。