ユーザーのプライバシー保護を重視する検索エンジン「DuckDuckGo」は、自社製ブラウザをモバイルやPC向けに展開しているほか、他社ブラウザで使用できる拡張機能もリリースしています。そんなDuckDuckGoの拡張機能について、「無断でブラウザ内にポップアップメッセージを挿入している」とソーシャルニュースサイトのHacker Newsで報告され、DuckDuckGoのガブリエル・ワインバーグCEOがこの指摘に対して直々に説明しています。
Tell HN: DuckDuckGo’s privacy extension is adding an inline popup to web forms | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=34916815
「mustacheemperor」と名乗るユーザーはHacker Newsで、「DuckDuckGoのプライバシー拡張がウェブフォームに広告を挿入する」というスレッドを立てました。DuckDuckGoの拡張機能は、ブラウザ既定の検索エンジンをDuckDuckGoにして、ウェブサイトに仕込まれたトラッカーを回避するというものです。mustacheemperor氏は、拡張機能をインストールしたブラウザではウェブサイトでメールアドレスを入力するすべてのフォームにおいて、DuckDuckGoのアヒルアイコンと「受信トレイを保護する」というメッセージボックスが表示されると指摘。「初めて見た時は自分の目が信じられませんでした」と述べています。
実際にmustacheemperor氏が添付したスクリーンショットが以下。「Protect your inbox. I’ve caught trackers hiding in 85% of emails.(あなたの受信トレイを守ります。DuckDuckGoは85%のメールに潜むトラッカーを捕まえました)」というメッセージと、「Get Email Protection(メール保護を入手する)」あるいは「Maybe Later(おそらく後で)」という選択肢が表示されています。mustacheemperor氏は、「拒否する選択肢すらありません」「なぜDuckDuckGoはこんなことをするのでしょう?ブランディングの観点からも自滅的に思えますし、ターゲットとなる顧客層がこのような行為を好意的に受け止めるとは思えません」と述べ、ポップアップの表示を非難しました。
mustacheemperor氏の報告を受けて、Hacker News上で「yegg」というハンドルネームを使用するワインバーグCEOが直々に返信しています。まずワインバーグCEOは、タイトルは「ウェブフォームに広告を挿入する」となっているものの、実際にはDuckDuckGoの機能について通知しているだけであり、タイトルは誤解を招く表現だと指摘。そして、ポップアップは拡張機能に付属するDuckDuckGoのメール保護機能を推奨するものだと説明しています。
多くのメールにはユーザーが使用する端末や位置情報などを収集するトラッカーが仕込まれており、企業はターゲット広告を表示するためにこれらのトラッカーが集めたデータを利用しています。DuckDuckGoのメール保護機能は、メールを入力する際に無料で使える個人用の「@duck.com」メールアドレスを使用し、このメールアドレス宛てに送信されたメールからトラッカーを排除して、ユーザーのメールアドレスに送信するというものです。詳しい仕組みは以下の記事を読むとよくわかります。
DuckDuckGoが広告トラッカーを削除するメール保護機能の提供を開始 – GIGAZINE
DuckDuckGoのメール保護機能は2021年7月にベータ版が展開され、、2022年8月からスマートフォンやブラウザの拡張機能でも利用可能になりました。ワインバーグCEOは、「悪質な業者はますます多くのメールトラッキングを行い、あなたのメールアドレスをユニークな識別子として使用し、サイト間であなたを追跡したり、メール内にトラッカーを設置したりしています」と述べています。
タイトルの「広告」という部分が誤解を招くという指摘を受けて、mustacheemperor氏はタイトルを「ウェブフォームにインラインポップアップを追加している」と修正していますが、「オンボーディングのようには感じず、広告のように感じます」と述べています。その他のユーザーからも「同意なしにウェブページのコンテンツの整合性をいじるのは問題ではないか」といった否定的なコメントが寄せられていますが、一方でDuckDuckGoを擁護するコメントも散見され、Hacker Newsのユーザー間でも意見が分かれているようです。
ワインバーグCEOは、「私はここに寄せられたフィードバックに耳を傾けていますが、メール保護機能にはチーム全体が取り組んでおり、必要なメール保護をメインストリームのユーザーベースに提供しようとしていることを理解してください。メールを保護するというコンセプトは理解されにくいため、この通知は説明するために最適な方法だとチームは考えています。しかし、フィードバックが得られたため、今後再検討する予定です」と述べました。
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