天皇陛下は2023年2月23日、63歳の誕生日を迎えた。これに先立つ2月21日に行われた記者会見では、記者からの質問に答える形で、皇室の情報発信のあり方にも言及した。
「適切なタイミングで国民の皆さんにわかりやすくお知らせしていくことも大事なこと」だとする一方で、それを検討する前提として「皇室のあり方や活動の基本に立ち返って考える必要がある」とも話し、日々の公務に真摯(しんし)に向き合う必要性を強調した。「正確な情報をタイムリーに出していく」必要性に言及した秋篠宮さまよりも抑制的な姿勢を示したとも言えそうだ。
「皇室のあり方や活動の基本」は「国民の幸せを常に願い国民と苦楽を共にすること」
秋篠宮さまが22年11月に行った記者会見では、宮内庁が23年度からSNSを活用した情報発信を検討していることを念頭に
「皇室の情報発信というものも、正確な情報をタイムリーに出していくということが必要」
「最もきちんとした、正確な情報がどこにあるのかということが分かることも大事」
なとど話し、SNSやウェブサイトを組み合わせた形での情報発信が重要だとする見方を示していた。
このやり取りを受ける形で、天皇陛下の記者会見では「情報発信を強化し、皇室の活動をより広く国民に知ってもらうことの意義」を問う質問が出た。
天皇陛下によると、情報発信の前提になる「皇室のあり方や活動の基本」は「国民の幸せを常に願い国民と苦楽を共にすること」だ。その上で、
「時代の移り変わりや社会の変化も踏まえながら、状況に応じた務めを果たしていくことが大切」
だとして、皇族一人一人が役割と真摯(しんし)に向き合って務めを果たすことで、
「国民と心の交流を重ねていく中で、国民と皇室との信頼関係が築かれていく」
と話した。
さらに、国民との「交流」「信頼関係」という単語を改めて使いながら、
「国民との交流を重ね、国民と皇室の信頼関係を築く上では皇室に関する情報を適切なタイミングで国民の皆さんにわかりやすくお知らせしていくことも大事なことであると考えます」
と話した。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)