ギプスへの寄せ書きに憧れる。
しかし骨折はしたくない。
骨折しないで、ただ寄せ書きだけしてほしい。
偽ギプスをつくる
ということで、ただただ寄せ書きするためだけの偽物のギプスをつくることにする。
作り方は簡単。発泡スチロールの筒に寄せ書きしやすいように布テープを巻くだけだ。
しかしケガをしているわけでもないのにギプスに寄せ書きをしてくれる人は少ない。書いてもらうための説明も難儀である。
そのため今回は、ただ単にノリで寄せ書きをしてくれる人の日本代表であるデイリーポータルZ関係者に協力してもらうことにした。
と思っていたら撮影の数日前に本当に首をケガしてしまい、病院で首のコルセットを購入することになった。
ならば偽ギプスではなく、首のコルセットに寄せ書きしてもらえばいいのだが、せっかく作ったものが無駄になってしまう。
ということで、ここは当初の予定通り偽ギプスに寄せ書きをしてもらうことにする。
メッセージをもらう
一人目はライターの石井公二さんから。
これまで何度か寄せ書きの色紙はもらったことはあるが、書いている現場に立ち会うのは初めてだ。
この感覚はとてもうれしい。
しかし、自分の位置からは何が書かれているのか読めず、とんでもないことを書いているのではないかと少し心配になる。
さあ、石井さんはどんなことを書いてくれたのだろうか?
石井さんは、ケガが治った先にあるご褒美を書いて、辛い状況を乗り越えろと励ましてくれていた。なんだかクラスメイトから励ましをもらった気分でうれしい。
つづいてはライター、イラストレーターのべつやくれいさん。
ペンを持ってサラサラッと…
さて、なんと書いてくれたのか?
左腕に続いて右腕もという逆な励まし。荒っぽいけど本当にケガをしていたらクスッと笑えていいだろう。
つづいては日本サイバー促進活動家のサイバーおかんさん。
サイバーおかんさんらしく、ピンクのペンを選んで書いてくれる。
サイバーおかんさんの中では、私が彼女を暴走するバイクから守るために骨折したという話になっている。実際は助けてもいないのに、少しだけ私の中に人助けをしたのだという誇らしい気持ちも湧いてきた。
ギプスに寄せ書きをする、ということでそれぞれの中に物語ができるらしい。
つづいては編集部の安藤さん。
安藤さんの中にはどんな物語ができているのか?
住さんが横から余計なことを吹き込んでいるようにみえる。実際に吹き込んでいるんだろう。
安藤さんの中ではひどい物語が出来上がっていた。
つづいてライターの住さん。
ペンでメッセージを書き込む。
他の誰よりもとんでもないことを書いていそうな気がする。
ってサイコガンか。
しかし、これこそがギプスに寄せ書きならではの骨折した本人ではなく、それを見る人に向けて書き込みである。
これ本当のギプスに書かれたら病院で笑われるんだろうなあ。
お次は編集部、藤原さん。
ちょっと考えて…
ああ思い出す、美空ひばりin東京ドーム。
言葉数は少ないが(三文字)、ひばりのように甦れという暖かいメッセージであった。
つづいてはライターのトルーさん。
トルーさんはペンを持った瞬間、柔和な笑顔が消え真剣な顔つきに変わったので驚いた。
鋭い目つきで書いてくれる。
真顔で結構長い時間書き続けていたので般若心経でも書いてるんじゃないかと思った。
さあ、なんて書いてくれたのだろうか?
う~む。これは果たしてどういう…。
そして少しの沈黙のあと「もうちょっといいですか?」と再びペンを持ち…
今度は何を書いてくれるのだろうか?
これを書かれて私は何を思えばいいのだろう?
いや、何も思わなくていいんだろう。