by Mike Mozart
アメリカの大手通信事業者であるComcastが政府に報告したブロードバンド提供地域に関するデータに、誤りがあったことが分かりました。当該地域の住民が訂正を求めてComcastに異議申し立てをしましたが受け入れられず、IT系ニュースサイトのArs Technicaが介入して初めてComcastがミスを認めたと報じられています。
Comcast gave false map data to FCC—and didn’t admit it until Ars got involved | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2023/02/comcast-gave-false-map-data-to-fcc-and-didnt-admit-it-until-ars-got-involved/
今回の問題が発覚したきっかけは、コロラド州アーバダに住むマシュー・ヒリアー氏が、連邦通信委員会(FCC)によって公開されているブロードバンドマップで自宅を検索したことでした。Comcastは、ヒリアー氏の家に「ダウンロード1.2Gbps、アップロード35Mbps」の速度でインターネットを提供するとしていましたが、ヒリアー氏が実際に利用しているのはLumen Technologies(旧CenturyLink)という別の事業者のサービスで、速度も「ダウンロードが最高60Mbps、アップロードは5Mbps」しかありません。
FCCのブロードバンドマップは、政府が推進する424億5000万ドル(約5兆5400億円)規模のブロードバンド普及プログラムで、補助金が給付される対象地域の選定に使用されるため、重要です。
そこでヒリアー氏が、自宅をComcastのブロードバンドサービス提供地域とするデータの訂正を求めてFCCに異議申し立てを行ったところ、FCCからは「もし、あなたとあなたが異議を申し立てたプロバイダーが60日以内に合意に達することができない場合、プロバイダーはオンラインポータルで異議を解決する努力の状況を報告することになります。その後、FCCの職員がすべての証拠を確認し、あなたの異議申し立てを支持するか、またはあなたの異議申し立てを覆すかのいずれかを決定することになります」と、まるで人ごとだったとのこと。
この対応についてヒリアー氏は「Comcastから私の家について報告されたデータだったにもかかわらず、私がそんなプロバイダーからサービスを受けていないという証拠を提出しなければなりませんでした。FCCのような政府機関には『自分で解決してからその結果を教えろ』と言う以上のことを期待したいですね」と苦言を呈しています。
ヒリアー氏による異議申し立てを受けても、Comcastは相変わらずFCCに当該地域にサービスを提供していると主張していました。そこで、Ars Technicaが実際に確認をした結果、ヒリアー氏の自宅どころか近所の数十件の家や別の地域でも、誤ってComcastのブロードバンドサービスが提供されていることになっていることが分かりました。
これを受けて、Ars TechnicaがComcastに問い合わせたところ、Comcastは翌日すぐにヒリアー氏の家にサービスを提供していないことを認めたとのこと。また、そのことをFCCにも報告しており、FCCのマップ上の異議申し立てのステータスが「保留」から「支持」に変わっていました。
ヒリアー氏の隣人のロバート・エック氏は、「うちに引ける有線インターネットサービスは、Lumen TechnologiesとTelephone and Data Systemsの2つしかありません。一体なぜComcastはうちの敷地にサービスを提供すると主張したんでしょうか」と首をかしげました。
また、弁護士で消費者団体・Public Knowledgeのシニアバイスプレジデントでもあるハロルド・フェルド氏は、「印象的なのは、Comcastが異議申し立てについて真剣に調査する前に反論したことです。誰でも間違いを犯しますが、間違いを正すのではなくその間違いを守ることを選んだのは、慢心を貫くことで得る物はあっても失う物はないという事実から来る意図があったからでしょう」とコメントしました。
この記事のタイトルとURLをコピーする