リーバイス第4四半期、米のD2C売上が過去最高を記録:「501」150周年記念で販売施策テコ入れ

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リーバイ・ストラウス・アンド・カンパニー(Levi Strauss & Co.)は、同社の定番ジーンズ「501」の発売150周年に向けて、D2C事業の拡大を進めている。

CEOを務めるチップ・バーグ氏によれば、米国においてリーバイスのD2C事業(ダイレクト販売事業)は直営店舗およびeコマースの第4四半期(9〜11月)の収益で過去最高の記録を達成した。昨年初頭から同社の販売が停止しているロシアを除いて、同社のD2Cによる全世界での四半期収益は恒常通貨ベースで10%増加した。2022年通期において、アメリカとアジアを中心に全世界でD2C売上高は18%も増加したと、同氏は1月25日水曜日の決算発表で説明した。

2027年までに全体売上の55%に

ジーンズメーカーである同社はこの数年間、D2Cチャネルの成長を優先してきた。同社は1年間に全世界で自社運営の店舗数を19%増やし、現在では小規模業態であるネクストジェン(NextGen)店舗を130店舗抱えている。この四半期に直営店舗およびeコマースの売上は、同社の合計収益のそれぞれ31%と8%を占めた。どちらも、第3四半期(6〜8月)より2ポイント増加している。同社は2027年までに、D2C事業を全体売上の55%まで拡大することを望んでいる。

一方、卸売は、米国におけるリーバイスのもっとも大きな課題のひとつであることが明らかになった。決算発表によれば、米国における同社の卸売からの純収益は、「サプライチェーンの課題と、米国での小売業者の在庫の再調整」によって10%減少した。バーグ氏は、全世界での卸売は「主に、当社の米国DC(配送センター)の容量が問題となって、約4000万ドル(約52億円)の注文を充足できなかったため」4%減少したと述べている。同社は第3四半期に、サプライチェーンの問題を理由に同年の目標を下方修正した

同社の第4四半期の収益は、報告ベースで前年同期と比べて6%減少し、同社の粗利は8億8700万ドル(約1150億円)と、1年前の9億7400万ドル(約1270億円)より減少した。しかし2022年通期では、同社の収益は報告ベースで7%上昇し、62億ドル(約8060億円)に達した。

非デニム商品の多様化も

業界全体では、デニムへの需要は2022年の前半から後半にかけて減速したものの持ちこたえていると、グローバルアドバイザリーおよび調査企業のコアサイトリサーチ(Coresight Research)のアナリストであるサニー・ツェン氏は米モダンリテールに語った。多くの買い物客は、2020年と2021年にアスレジャーやアクティブウェアを着た後、2022年の冒頭にはジーンズに対する需要をため込んでいたと、同氏は説明している。

コアサイトリサーチは、ジーンズ市場が2022年に6%成長したと推定しており、これは衣類市場全体の推定値である1ケタ中盤の成長を上回っている。2023年について、「この市場は多少減速するが、衣類市場全体よりも良い成績が続くと予測している」と、ツェン氏は語る。コアサイトリサーチは、ジーンズ市場が2024年以降には完全に正常化すると予測しているが、「市場全体に占めるジーンズの割合が、パンデミック前に見られた水準に近いところまで回復するとは考えていない」と、同氏は付け加えている。

リーバイスは、自社のマーチャンダイズをデニムジーンズ以外に多様化する活動を進めてきた。同社の2022年における収益の40%近くは、チノパンツ、アクティブレギンス、トップス、ドレス、フットウェア、アクセサリーなど、ほかのカテゴリーの衣類が含まれている。女性向け衣類は同社が特に注目している分野だが、この分野の収益は昨年13%成長した。

501の発売150周年を記念したキャンペーンも

全体的に見ると、リーバイスの収益は「非常に雑多だ」と、ジェーン・ハリ・アンド・アソシエイツ(Jane Hali & Associates)のシニアリサーチアナリストを務めるジェシカ・ラミレス氏は米モダンリテールに語った。2022年前半におけるデニムの人気をふまえて、2023年の前半は「前年と比べてしまうと数字が厳しいため、多少困難なものと思える」と、同氏は述べている。しかし、2023年の後半には回復する可能性があると、同氏は付け加えている。「同社のブランドには非常に優れた戦略があり、確実に消費者の共感を呼んでいる。これは、同社にとって非常に良い兆候だ」。

また、リーバイスは自信に満ちている。「年間を通して計画されている魅惑的な取り組み、たとえば堅ろうで革新的な商品パイプラインの運用開始や、強力なブランドマーケティングキャンペーンなどにより、当社は今後1年間も市場シェアの拡大とカテゴリーの成長促進を続けるための体制を維持している」と、バーグ氏は述べている。同社は、トップの人事変更も進めており、ミシェル・ガス氏をプレジデントとして招き、ハーミット・シン氏を最高財務・成長責任者に昇格させた。

同社は501ジーンズの150周年を記念するため、一連の限定商品の発売を予定している。そのひとつが、同社で最初に販売されたブルージーンズである1873年モデルのXXウエストオーバーオールだ。また、1954年モデルのメンズ用501ジーンズや、1981年モデルのウィメンズ用501ジーンズのビンテージフィットも発売する。さらに、501に関しては、セレブリティやインフルエンサーと提携し、グラミー賞(Grammy’s)の期間中に広告宣伝を行う。

[原文:Levi Strauss posts record Q4 DTC sales in the U.S.]

JULIA WALDOW(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Levi Strauss

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