自然な会話文を作成できる対話型AI「ChatGPT」の能力は非常に高く、人間向けに作られた医師免許試験や、経営学修士課程の試験に合格できるレベルの実力を誇ります。人間と遜色ない自然な文章を書けてしまうがゆえに、教育現場での使用を禁止するべきという声もある一方で、禁止せずに正しく使えるよう教えるべきという声もあるなど、ChatGPTに関してはさまざまな意見があふれているのが実情です。教育の現場でChatGPTを使うことの意義を問う調査により、アメリカのスタンフォード大学の学生のうち、およそ17%が「課題または試験にChatGPTを使用している」と回答したことが分かりました。
Scores of Stanford students used ChatGPT on final exams
https://stanforddaily.com/2023/01/22/scores-of-stanford-students-used-chatgpt-on-final-exams-survey-suggests/
スタンフォード大学に籍を置く学生を対象に行われた匿名の調査には4497件の回答があり、そのうち約17%がChatGPTを課題または試験に使っていると回答しました。このうち大多数はブレインストーミングと骨子の捻出のためだけにChatGPTを使用したそうですが、約5%はChatGPTが出力したものを編集せずにそのまま提出したとのこと。
同じ調査では、課題のためにChatGPTを使用することが学校の倫理規定に違反するか、将来的に違反の対象となるだろうと回答した学生が半数を超えたことも分かりました。ただし、どの程度の利用を違反とみなすかは学生によって基準が異なり、31.5%が「アイデア出し以上の使い方をした場合」に違反となると答え、22.7%が「どのような形であれ使用された場合」、21%が「編集なしで提出した場合」と答えました。
一部の学生がすでにChatGPTを課題のために使用しているというニュースは教授にも伝わっており、その結果授業を見直した教授もいたとのこと。スタンフォード大学のコンピューターサイエンス准教授であるマイケル・バーンスタイン氏も、ChatGPTを使った提出物を受け取ったことがあるそうです。ChatGPTを使ったものだと分かった理由は、その提出物に「私はOpenAIによって訓練された大規模な言語モデルであり……」というChatGPTの決まり文句が紛れ込んでいたからです。
学内では「ChatGPTの利用は盗作の一種」だとして注意を促す文面をシラバスに追加した教授もいれば、より伝統的な方法に切り替え、テクノロジーの一切を排除しようとした教授もいるとのこと。ある授業ではChatGPT含むAIツールを「一般的に推奨されない」と定め、使用する場合は外部ソースを引用するのと同じ方法で出典を明記すべきとしているそうです。
新しい技術によって倫理規定の改訂が必要になるかどうかは分かりませんが、大学の広報担当者は「司法委員会がこれらの技術を認識し、監視しています」とし、「学生は、ほとんどの講義で許可されていないAIツールの援助を受けることなく、自身の手で課程を終えることが期待されています」と述べました。
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