「親孝行したい時には親はなし」とことわざにもあるように、親が元気なうちは素直に感謝の気持ちを伝えられないものである。僕は7年前に父親を亡くしているのでその後悔が強い。一度でもいいから「ありがとう」と言っておけば良かった。だからといって、今も元気な母親にそういう思いを伝えているかといえば、それはそれで出来ていない。やはり面と向かって「ありがとう」とは言いづらいのだ。
そこで、日頃の感謝の思いをビデオレターに込める事にした。
ビデオなら照れずに素直な気持ちを伝えられそうだ。
※2007年7月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
ビデオレターを作るにあたり、僕の母親の雰囲気をお伝えするべきであろう。どんな母親に向けたメッセージなのか、そこが分からないと、どんなにビデオレターに心を込めても皆さんにその内容が伝わらない。
しかし、本物の母親をインターネットに公開するのは気が引ける。そこで、素材集で「母親、年輩」と検索をかけてみた。
検索結果で出て来た写真が、割と僕の母親に似ていたのだ。なので、この人(写真左)を僕の母親だと思っていただければ幸いである。
早速、この母親に向けてビデオレターを作っていく。
どこで撮ればいいのか
ビデオレターなら恥ずかしくないと思い立ったものの、実際にビデオレターを撮ろうとするとそれが意外と簡単ではない事が分かった。撮影場所が定まらないのだ。
まず、自分の部屋で撮影をしてみたが、部屋の壁全面におもちゃがディスプレイされていて、どうにもまずい。いい年しておもちゃに夢中になって大丈夫か、と母親に心配されてしまう。小さい頃に買い与えなかったからね、とひがまれても厄介だ。
さらに、僕が家にいる時間は主に深夜なので家の人間を起さないように喋らないといけない。ヒソヒソ声のビデオレターは寝起きレポートのようで誠意が感じられない。パジャマだし。
場所を変える。
大きな声を出せるガード下でカメラを回してみたが、これもやはり失敗だ。電車の音の方が大きくて、カメラが僕の声を拾ってくれない。電車よりも大きな声でメッセージを伝えようとすると、周りの人たちの注目を集めてしまう。
場所を変える。
母親へのメッセージなので、東京タワーにやって来た。東京タワーをバックにメッセージを伝えれば、かなり感動的なビデオレターになるに違いない。
しかし、僕と母親の間には東京タワーにまつわるエピソードが一つもない。東京タワーに行く約束も交わしていない。他人様の思い出に乗っかろうとしてもダメなのである。
どこで撮るのかではなく、何を伝えるのかが大事なのだ。
画面に余計な情報が映らないようにして、僕の思いだけが映るようにすればいい。
背景に無地のバック紙を敷きその前でメッセージを伝える事にした。
母へ
では、母に向けた感謝のメッセージです。
ズームしていきます。
戻っていきます。
という訳で、母親へのビデオレターという体裁を借りて政見放送をやってみた。本音を言えば、政見放送がやりたかっただけでした。すみません。
このためにミニスタジオをレンタルして、シチュエーションを作りました。2時間で8000円です。
政見放送気分を独り占めするのは忍びないので、誰でも政見放送してる風に見えるフレームを用意しました。うまいこと合成してみてください。政見放送、楽しいですよ。
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