気候変動対策を求める活動が過激化している

GIZMODO

1. ゴッホの「ひまわり」にトマトスープぶっかけ

tomato soup on van gogh's sunflower
Image: Finite Doc & Just Stop Oil

昨年10月にイギリスの環境団体Just Stop Oil(ジャスト・ストップ・オイル)の活動家2人が、イギリスの国立美術館であるロンドンのナショナル・ギャラリーに展示されているゴッホの代表作ひまわりにトマトスープをかけ、その後自分たちの手を絵画の下の壁に接着しました。

絵画はガラスケースに入っていたため、スープによるダメージはありませんでしたが、周囲にいた見学者は思わず驚きの声をあげました。

2. 空港でプライベートジェット機を封鎖

Blocking Private Jets From Flying
Image: Marten van Dijl / Greenpeace Netherlands

プライベートジェット機は、一度のフライトで平均的なアメリカ市民が1年間に排出する温室効果ガスを超えてしまう可能性があります。

それを憂慮する活動家たちが、エジプトのシャルムエルシェイクで国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が開催された昨年11月に、アムステルダム(オランダ)やイビサ島(スペイン)、ストックホルム(スウェーデン)、ミラノ(イタリア)の空港で飛行機に体をつなぐなどして滑走路を封鎖しました。

FlightRadar24のデータによると、本来は世界のリーダーが気候変動を止めるための野心的な気候変動対策を決めるはずのCOP27が開催される直前の11月4日から6日までの間に、シャルムエルシェイクに着陸したプライベートジェットは30機以上を数えたそうです。

世界各地の活動家は、気候変動国際会議に参加する各国要人に対し、プライベートジェット機の使用を禁止するよう求めています。

3. 銀行のドアと体を鎖でつなぐ

Chained to Chase Bank
Image: Brian Emerson

科学者と気候変動活動家は昨年4月、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告書の発表にあわせて、世界各地で抗議活動を行ないました。報告書は、地球温暖化の壊滅的な影響を避けるには、世界が一丸となって3年以内に大幅な排出量削減をはじめなければならないとしています。

気候科学者であり活動家でもあるPeter Kalmus氏も、ロサンゼルスにあるJPモルガン・チェース銀行のドアに体を鎖でつないだ科学者のひとりでした。

チェース銀行を選んだ理由は、同行が2050年までのネットゼロ計画を発表しているにもかかわらず、化石燃料開発プロジェクトに投融資を行なってきたからとのこと。警察官が鎖を切って逮捕するまで、科学者らは何時間も出入り口を占拠しました。

4. なんちゃって使い捨てジーンズキャンペーン

Singe-Use Jeans
Image: Oceana

リアリティー番組の人気出演者だった経歴を持ち、現在は気候変動活動家としても有名なHeidi Montagさんは昨年4月、Instagramで「もう縮まない。もう色あせない。いい感じしかしない。SINGLEJEANSなら一度しか履かないから、いつだってベストでいられる」と、使い捨てジーンズキャンペーンを展開。

まあ、ジョークだったんですけどね。

彼女はキャンペーン動画の中で「使い捨てのジーンズなんて、使い捨てのペットボトルと同じくらいばかげています。この最も愚かな使い捨て製品はすでに世に出回り、私たちの海を汚染しています。一緒に海を救ってください」とナレーションし、海洋保護団体Oceanaと広告代理店The Communityによる#refillagainの嘆願書に署名するよう呼びかけています。

このキャンペーンサイトは、ごみ処理場にたどり着くのを防ぐため、飲料メーカーに対して使い捨てペットボトルを廃止するよう働きかけてほしいと訴えています。

5. スペインの国会議事堂に赤ペンキぶちまけ

Bloody Steps in Madrid
Image: Scientist Rebellion

EuroNewsによると、昨年4月にスペインの国会議事堂に集まった約100人の抗議者らは、気候危機によって失われた人々の血を象徴する赤いペンキを階段にぶちまけたそうです。Scientist Rebellionがその様子を撮影してツイートしています。

この直接行動によって、50人以上が逮捕されました。

6. クリムトの「死と生」にオイルぶっかけ

Oil Slick on Klimt’s Death and Life
ウィーンのレオポルド美術館にて Image: Letzte Generation

昨年11月には、環境団体Last Generation(ラスト・ジェネレーション)の気候活動家2人がグスタフ・クリムトの「死と生」に真っ黒な油をかけたあと、活動家のひとりが絵画を保護するガラスケースに手を接着させたと伝えられています。絵画へのダメージはありませんでした。

ツイートされた動画には、美術館の警備員が活動家のひとりを捕まえ、もうひとりがケースに手を接着している様子が映し出されています。活動家は「化石燃料による破壊を止めろ。私たちは気候変動地獄に突き進んでいる」と主張したそうです。

7. ドイツで滑走路に体を貼りつけ

Glued to German Airport Tarmacs
Image: Letzte Generation

ロイター通信によると、Last Generationの活動家らは昨年12月、ドイツの主要な空港に侵入し滑走路に体を貼りつける抗議活動を行ないました。

活動家たちは同国政府に対し、航空会社への助成をやめ、より環境に悪影響を与えない代替交通手段である鉄道に投資するよう求めました。彼らは地元警察によって身柄を拘束されました。

AP通信は、抗議活動によってミュンヘン空港の運航に混乱が生じましたが、ベルリンのブランデンブルク国際空港では運航に影響はなかったと伝えています。

8. ロンドンのシェル本社を占拠

Taking Over Shell’s London HQ
Image: Rob Pinney / Getty Images

先述した昨年4月に世界各地で行なわれた抗議活動で、石油大手Shell(シェル)ロンドン本社に多くのデモ参加者が集まりました。そのうちの2人がフロントデスクに手を接着させ、他の参加者はビルの外側で体を地面に貼りつけ、同社のCEOであるBen van Beurden氏との面会を要求したとGuardianは報じています。

抗議に参加した活動家のChloe Naldrettさんは、Guardianに「現在、彼らは今後数十年にわたって化石燃料事業を20%拡大する計画を進めていますが、私にとってそれは子どもたちに対する死刑宣告です」と話しています。

9. 科学者が体をホワイトハウスにつないで抗議

Chained to the White House
Image: Scientist Rebellion

昨年4月に世界規模で市民的不服従運動がはじまったとき、活動家と科学者がホワイトハウスの敷地を囲むフェンスに鎖で体を固定して抗議活動を行ないました。

鎖を切った警察に逮捕されるまで抗議を1時間続けた土壌科学者のRose Abramoffさんは、Eartherにこう述べました。

事実を伝えること、地球上に存在する生命の存続を願うことは政治的な問題ではありませんし、そうであってはなりません。知っているのに知らないふりはできません。

10. モネの「積みわら」にマッシュポテト

Mashed Potatoes on Monet
「積みわら」はバルベリーニ美術館に展示されている(ドイツ) Image: Letzte Generation

Just Stop Oilの活動家がゴッホの「ひまわり」にトマトスープをかけてから9日後の10月末、今度はドイツの環境団体Last Generationの活動家2人がクロード・モネの「積みわら」にマッシュポテトを投げつけ、絵画の下の壁に接着剤で手を貼りつけました。

美術館によると、ガラスケースに保護されていた絵画に損傷はありませんでした。

活動家は次のように訴えました。

人々は飢えています。凍えています。死んでいます。私たちは気候をめぐる大惨事の真っただ中にいるというのに、あなたたちはスープや食べ物をかけられる絵画の心配ばかりしています。私が恐れているのは、2050年までに家族を食べさせてあげられなくなるという科学者の警告です。絵画にマッシュポテトを投げつければ、耳を傾けてくれますか?将来、人類が食料を奪いあうようなことになったら、この絵画にはなんの価値もありません。

Reference: The Guardian, Tong et al. 2019 / Nature

タイトルとURLをコピーしました