弐瓶勉×ポリゴン・ピクチュアズのオリジナルアニメ「大雪海のカイナ」とはどんな作品なのか?

GIGAZINE
2023年01月11日 09時00分
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2023年冬季(新春)の新作アニメとして、漫画家・弐瓶勉さんとアニメーション制作会社ポリゴン・ピクチュアズがタッグを組んだ『大雪海のカイナ』が、2023年1月11日(水)深夜からフジテレビ「+Ultra」枠ほかにてスタートします。アニメ開始に先行して、2022年2月から月刊少年シリウスにて武本糸会さん作画による漫画版の連載が行われていますが、本作は漫画原作をアニメ化したものではなくメディアミックスプロジェクトだということで、改めて作品の情報をまとめてみました。

『大雪海のカイナ』Official Site
https://ooyukiumi.net/


原作のある作品のアニメ化は、おおむね、まず原作読者が楽しめる作品作りが行われるので内容を類推することが可能ですが、オリジナルアニメはキャラクターも設定もすべてが新しいので、内容をうかがい知ることは難しくなります。しかし本作の場合、弐瓶さんが原作を務めることによりカラーがかなりはっきりと出ていて、「弐瓶作品の世界観や雰囲気が好きな人は見るべき」といえます。

PVでもしっかりと情報は開示されていて、「天膜の村」「アトランド」「バルギア」といった地名のほかに、ヒロイン・リリハによる「意味のないこの戦争を止めたい」というセリフや、「アトランド王女は天膜から勇者を連れてきた」というセリフから、主人公・カイナとリリハの出会いにより物語が大きく展開していくことがわかります。

TVアニメ『大雪海のカイナ』本予告/2023年1月11日(水)放送開始 – YouTube
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舞台となる世界は、「雪海(ゆきうみ)」が広がる異世界。子持ちの虫を見つけたカイナが「しめた」と喜びを見せるところや、その後の「天膜の村」でのやりとりから、「もうどうしようもなくなってしまい、あとは滅びるのを待つ世界」であることがうかがえます。

あけましておめでとうございます!
本年はいよいよ『#大雪海のカイナ』が1/11よりフジテレビ「+Ultra」ほかにて毎週水曜24:55~放送&Prime Videoにて見放題独占配信!

本日は第1話本編より主人公カイナ(CV.#細谷佳正)の狩りのシーンを特別公開!
放送&配信をお楽しみに!https://t.co/R02t6Udlae pic.twitter.com/qvsYFJdFhs

— 『大雪海のカイナ』公式 (@ooyukiumi_kaina)


この「もうどうしようもなくなった世界」は弐瓶勉作品ではよく描かれるものですが、本作ではまた見せ方が異なっています。ただし、弐瓶勉作品を貫く一部の設定は共通しています。たとえば、本作にも「東亜重工」の影がちらつきます。


カイナは習った文字を読むことはできるのですが、すべての意味がわかっているわけではありません。一方で、視聴者はあの特徴的なフォントになれれば、看板じいの部屋に置かれていた他の看板も読めるので「これはこういうことなのでは……」と推測することができます。

#大雪海のカイナ』が1/11よりフジテレビ「+Ultra」ほかにて毎週水曜24:55~放送&Prime Videoにて見放題独占配信!

カイナ(CV.#細谷佳正)が看板の文字を読むシーンを公開。この文字の雰囲気、どこか見覚えがある方もいらっしゃるのでは…!?https://t.co/R02t6UcNkG pic.twitter.com/zVGTDnDyvA

— 『大雪海のカイナ』公式 (@ooyukiumi_kaina)

物語の両輪となるのはリリハ。カイナの助けを借りつつ、自らの目的のために進んでいきます。


本作を見ていると、全体的にはじっくりと話を進めているようでいて、状況が刻一刻と変化するので、見ていて中だるみがなく、視聴時の体感時間が短いということ。ストーリーテリングの巧みさもさることながら、話の内容を説明するための不自然な会話や、このキャラクターがどういう属性なのかを示すためのわざとらしい言い回しが少なく、カイナたちが世界に確かに生きているという感覚があります。

以下の雪海のシーンの場合、雪海の雪位が上がっていることについて「今日だけは雪海に感謝ね」とリリハが言う一方、「雪になる前に急ぎましょう」とうながされていることから、そもそもこの世界において雪はあまり好まれる存在ではないことがうかがえます。こうした会話や行動が、本作では丹念に積み重ねられていきます。

そして、作品をしっかりと下支えしているのが細かな設定の数々。「設定はされているけれど、作中ではそこまでは描かれない」ものや「設定した人以外にとってはそれほど意味がない」というものもある中、本作の場合はそれぞれの設定が活きて、話を少しずつ分厚くすることに貢献しています。

#大雪海のカイナ』設定資料紹介】

この世界に存在が確認されている虫。
中でも、オオキドウジュムシは非常に大きな虫ということが確認できる。

2023年1月11日よりフジテレビ「+Ultra」ほかにて
TVアニメ放送開始!https://t.co/R02t6UcNkG pic.twitter.com/tng8ycVOER

— 『大雪海のカイナ』公式 (@ooyukiumi_kaina)

#大雪海のカイナ』設定資料紹介】

雪海において馬の役割を果たす”雪海馬”
その装具には剣や銃を取り付ける工夫がなされている。

2023年1月フジテレビ「+Ultra」ほかにて
TVアニメ放送開始!https://t.co/R02t6TVbW6 pic.twitter.com/XWPvr1KLYH

— 『大雪海のカイナ』公式 (@ooyukiumi_kaina)

【『#大雪海のカイナ』設定資料紹介】

[天膜の村・広間]
天空にある膜の上に存在する村の内部。
カイナと数人が暮らすその空間には、
特殊な環境下で暮らすための様々な工夫が散りばめられている。

フジテレビ「+Ultra」ほかにて
2023年1月11日~TVアニメ放送開始!https://t.co/R02t6UcNkG pic.twitter.com/DFEQdGAnaj

— 『大雪海のカイナ』公式 (@ooyukiumi_kaina)

#大雪海のカイナ』設定資料紹介】

[雪海(ゆきうみ)]
どこまでも広がる雪の海。浮力が弱く、浮遊棒や浮遊袋がないとしずんでいってしまう。

23年1月11日より
フジテレビ「+Ultra」ほかにて毎週水曜24:55~放送????https://t.co/R02t6TVbW6 pic.twitter.com/IsaCLNs6Fe

— 『大雪海のカイナ』公式 (@ooyukiumi_kaina)

これらの設定は独特の雰囲気の形成に役立っており、「この世界はどうなっているのか」「カイナたちは次にどういった行動を選び、決断していくのか」という続きが気になる作りになっています。シンプルに「続きが気になる」と表現していますが、ここが大事なポイントで、「どれぐらい次を知りたくなるか」が作品の強度を示しているといえます。

すでに「シドニアの騎士」のアニメ放送開始から約9年が経過していて、3DCGアニメであることを理由に敬遠する向きは減少していますが、特に本作においてはその点は無用の心配だといえます。実際に手元で55インチディスプレイで鑑賞して確認したほか、映画館での完成披露試写会が行われているように、映像のクオリティは総じて高いレベルにあり、むしろ「CGだから安心」という感覚すらあります。大スクリーンでの上映するにあたっては、小さなミスであっても目立ってしまい、目も当てられませんが、本作は1983年からCG映像を制作しているポリゴン・ピクチュアズが40周年記念作品として手がけていることもあって、高い完成度を誇ります。

もちろん、この独特の世界観は好き嫌いが分かれる部分もありますが、構造としてはシンプルなボーイ・ミーツ・ガールのファンタジー冒険譚といえるので、食わず嫌いせずに、ぜひ見てみてください。

天膜の村の少年・カイナ(声:細谷佳正)


大雪海にある国・アトランドの王女リリハ(声:高橋李依)


リリハの弟で機転が利くやんちゃ少年・ヤオナ(声:村瀬歩)


アトランドの親衛隊長・オリノガ(声:小西克幸)


リリハとヤオナの父で厳格なアトランドの王・ハレソラ(声:堀内賢雄)


黒い鎧をまとったバルギアの士官・アメロテ(声:坂本真綾)


アメロテの副官・ンガポージ(声:杉田智和)


バルギアの最高司令・ハンダーギル(声:檜山修之)


リリハが言ったように、アトランドとバルギアの戦争を止めることはできるのか?天膜の村を出て、カイナが世界にもたらす影響とは……?


「大雪海のカイナ」は2023年1月11日(水)24時55分から、フジテレビ「+Ultra」枠ほかにて放送開始。配信はAmazon Prime Videoで見放題独占配信です。

『大雪海のカイナ』Official Site
https://ooyukiumi.net/


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