2023年1月7日、ワシントン州シアトルの公立学校が共同で、TikTok、YouTube、Facebook、Instagram、Snapchatを提訴したことを発表しました。学校側は、これらのアプリが心理学や神経学を駆使して若者をソーシャルメディアの過剰使用へと駆り立て、子どもらのメンタルヘルスを害したと主張しています。
SPS Suit Against Social Media Companies for Creating a Youth Mental Health Crisis – Seattle Public Schools
https://www.seattleschools.org/news/social-media-case/
Seattle schools sue tech giants including TikTok, Meta over youth mental health crisis
https://www.axios.com/2023/01/08/seattle-public-schools-sue-tech-mental-health
Schools sue social networks, claim they “exploit neurophysiology” of kids’ brains | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2023/01/schools-sue-social-networks-claim-they-exploit-neurophysiology-of-kids-brains/
シアトル公立学校区(SPS:Seattle Public Schools)の発表によると、ワシントン州の10代の若者の50%は1日1~3時間をソーシャルメディアに費やし、30%は1日の平均的な使用時間が3時間を超えているとのこと。さらに問題なことに、ソーシャルメディアが若者にキュレーションするコンテンツの多くは自傷行為をたきつけるものや、1日300カロリーしか摂取しない過剰なダイエットを推奨するものなど、有害で搾取的なものだとSPSは指摘しました。
SPSが具体的に例示した有害なコンテンツの中には、TikTokで流行した肋骨が浮き出る体形を目指すダイエットである「コープス・ブライドダイエット」が含まれています。
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SPSは、こうしたソーシャルメディアの過剰な利用がシアトルおよびアメリカ全土の青少年の不安症、うつ病、自傷行為、自殺念慮を引き起こし、13~17歳の子どもの5人に1人が精神障害に苦しんでいる状況を作り出したとしてYouTube、TikTok、Snapchat、Instagram、Facebookの5つのソーシャルメディアを名指しで非難しました。
訴状では、シアトルの学区では「2週間以上続けてほぼ毎日とても悲しいか、または絶望的な気持ちでいつもの活動をやめてしまった」と話す生徒が2009年~2019年の間に30%増加したとの調査結果が報告されています。
こうした点からSPSは、今回ワシントン州西部地区連邦地方裁判所に提出した訴状の中で、「被告は青少年の脳の脆弱(ぜいじゃく)さに巧妙につけ込み、アメリカ全土で数千万人の学生をソーシャルメディアの過剰使用と乱用のフィードバックループに引きずり込んだ」として、TikTokを運営するByteDance、FacebookとInstagramのMeta、YouTubeのAlphabet、Snapchatを州の公害防止法違反で訴えました。
訴訟に対し、Googleの広報担当者であるJosé Castañeda氏は「私たちはプラットフォーム全体で、子どもたちに安全な体験を提供するために多額の投資を行っており、子どもたちの健康を優先するための強力な保護機能と専用機能を導入しました」と述べました。
またTikTokは、係争中の訴訟についてコメントすることはできないとした上で、アプリには年齢制限機能や休憩リマインダーなど「10代の若者の安全と幸福を優先する」機能が盛り込まれていると指摘したほか、Metaは「10代の若者とその家族をサポートするため、若者がInstagramに費やす時間を保護者が制限できる監視ツールや、10代の若者が年齢に応じた体験をするのに役立つ年齢確認技術など、30以上のツールを開発しました」と述べました。
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