ヘアケアブランドのブリオジオ(Briogeo)が目指しているのは、頭髪密度の分野だ。
シャンプー、コンディショナー、ヘアセラム、サプリメントを含む4つの製品からなる新しいライン、デスティンド・フォー・デンシティ(Destined for Density)が、2022年12月16日にデビューした。これらの製品は日常的に使用するよう処方されており、より豊かで太い髪のために、毛髪の3段階の成長サイクルの各段階で髪の密度を促進する。チームの独自調査によると、全世界で1億5560万人が抜け毛の影響を受けている。また、sephora.comでは「育毛」が上位に検索される悩みとなっており、「育毛/薄毛」は現在Googleの検索ワードで上位にランクインしている。
Advertisement
サプリメントと外用製品で髪と頭皮と内面の健康を向上
「デスティンド・フォー・デンシティは、髪のスキニフィケーションと360度のホリスティックアプローチの完璧な例」と、ブリオジオの創業者でCEOのナンシー・トゥワイン氏は言う。「髪のスキニフィケーションとは、これまでは頭皮と肌を結びつけることだったが、デスティンド・フォー・デンシティは、多くの意味で髪と頭皮と内面の健康を結びつけるものだ」。
トゥワイン氏が意味するのは、デスティンド・フォー・デンシティは、摂取する製品と局所的に使用する製品によって、内側と外側の美に注力したコレクションであるということだ。このようなサプリメントを摂取して外用薬の効果を高めるというコンセプトは、ここ数年、スキンケアブランドのあいだには存在していたが、ヘアケアへと拡大したのはごく最近である。外用の製品と組み合わせるサプリメントを提供しているほかのヘアケアブランドには、ニュートラフォル(Nutrafol)、ヴェガムール(Vegamour)、ジュピター(Jupiter)、アレイ(Arey)などがある。
新コレクションに対応するため、ブリオジオは既存のBウェル(B.Well)のウェルネスフランチャイズを解消し、既存製品を売却する。そのラインのサプリメントやヒマシ油、ティーツリーオイルなどは、ほかのコレクションに移すことで存続させる予定だ。デオドラントは、時期は未定だが後日リローンチするとトゥワイン氏は述べた。Bウェルは、その後ヘアケア業界全体に広まったウェルネスヘアケアのトレンドの初期のイテレーションであり、かつアーリーアダプターとして2019年1月にローンチされている。
ウェラカンパニーが買収したブリオジオ
4月には、ウェラカンパニー(Wella Company)がブリオジオを買収した。買収の条件は明らかにされていないが、WWDは業界関係者の話として、ブリオジオの年間売上高が当時1億ドル(約136億円)を超えていたと報じている。ウェラは、ウェラプロフェッショナルズ(Wella Professionals)、クレアロル(Clairol)、ナイオキシン(Nioxin)、GHDといったヘアケアブランドや、マニキュアブランドのOPIを販売している。ウェラ自体は近年、ちょっとしたM&Aを繰り返してきた。2020年には、プライベートエクイティ企業のKKRが同社の60%の株式を取得し、旧単一株主のコティ(Coty)は残りの40%の株式を保持した。2021年12月には、同社は独立企業として1周年を迎えている。KKRとウェラカンパニーは、約4年後にIPOを目指すという野望に言及している。
「私たちには信じられないような会社になる驚異的なチャンスがある。当社が第一に注力しているのは、確実に消費者のニーズを満たす適切な(製品)を持つことだ」と、ウェラカンパニーCEOのアニー・ヤング=スクリヴナー氏は、4月にGlossyビューティポッドキャストで語っている。「2番目は、正しい方法で成長しているか確かめること。私たちには多くの(出口戦略の)選択肢がある」。
女性の脱毛のニーズに応える
調査会社インサイトパートナーズ(Insight Partners)によると、世界の抜け毛予防製品市場は2021年に235億ドル(約3.3兆円)で、2028年には315億ドル(約4.3兆円)に達すると予想されている。これまで、ロゲイン(Rogaine)などの外用剤やプロペシア(Propecia)などの医薬品は男性をターゲットにしていたが、産後の抜け毛、脱毛症、さらにはCovid-19の感染にまつわる話がよりオープンになるなど、女性の声が大きくなってきている。
「ひとりの女性として、こうした(毛髪再生の)ニーズを抱えているせいで罰を受けているような気持ちにさせないことが大切だと考えている。また同時に、それを乗り越えるときに楽しい体験をしてもらいたい。なぜなら、自分のアイデンティティの一部に欠陥があるかのように感じると、それがトラウマのようになってしまうかもしれないからだ」とブリオジオのCMOクラウディア・オールウッド氏は話す。
そのため、ブリオジオのデスティンド・フォー・デンシティのマーケティングでは、女性たちのストーリーと製品を使用している人々のビフォーアフターの紹介に重点を置く予定である。特に焦点を当てるのは、強く引っ張られたヘアスタイルが原因で起こる牽引性脱毛症の人々だ。同ブランドでは、科学的な裏付けのある主張と処方を示すために、これまで行ってきた以上に皮膚科医など専門家のインフルエンサーも活用する。オールウッド氏によると、このキャンペーンは1月から数回にわたって展開する予定である。
[原文:Briogeo’s new collection underscores the popularity of hair-growth products]
EMMA SANDLER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)