ビューティ 関連の業績は向上:景気後退への懸念をよそに 2023年も10~12%の売上増と予測

DIGIDAY

ビューティ関連の上場企業はここ数週間で四半期や年間での売上高の伸びを続々と報告している。マクロ経済へのインフレ圧力やCOVID-19の影響によって、どの成長も予想外といえるだろう。

予想を上回ったe.l.f.ビューティの決算発表

たとえばe.l.f.ビューティ(e.l.f. Beauty)が5月25日に公開した決算発表では、第4四半期ならびに2022年通期の売上高が予想を上回るものとなった。主に国内外のリテール業の力によって、第4四半期の純売上高は13%増の1億510万ドル(約133億円)、通期では23%増になった。同社のCEOであるタラン・アミン氏は、売上の大幅な成長を記録した2021年の同時期と比較して厳しい四半期になると予測していたと、Glossyのインタビューで語った。

2023年は現在のところ10~12%の売上増と予測されており、同社の3つのブランド「e.l.f.コスメティックス(e.l.f. Cosmetics)」「キーズ・ソウルケア(Keys Soulcare)」「ウェル・ピープル(W3LL People)」すべてで成長が期待されている。

2021年度以降、ウェル・ピープルはアルタ・ビューティ(Ulta Beauty)へと拡大し、キーズ・ソウルケアは2月に発売した「レット・ミー・グロウ・イルミネイティング・セラム(Let Me Glow Illuminating Serum)」がオンラインで話題となった(その後、同ブランドのECサイトで売り切れになった)。e.l.f.コスメティックスも、3月末にダンキン・ドーナツ(Dunkin’ Donuts)とコラボしたコレクションを発売するなど、消費者とのエンゲージメントのための力強いコラボレーション戦略を継続している。パワー・グリップ・プライマー(Power Grip Primer)やグロッシー・リップ・ステイン(Glossy Lip Stain)も、売上を牽引したイノベーションとして業績発表会で取り上げられている。

「最近のダンキン・ドーナツとのコラボレーションや、TikTokで展開したチャレンジ企画、ゲーミングの世界への進出など、e.l.f.はいつでも予想外のことを実施するブランドだと期待していてほしい。私たちのコミュニティを楽しんでもらい、この領域でエンゲージメントを保ち続けていく」と、アミン氏は語る。

業績発表会の翌日、同社の株価は11%以上も上昇し、オンラインに特化して事業展開するザ・ビューティ・ヘルス・カンパニー(The Beauty Health Company)やコティ(Coty Inc)などの同業他社を上回った。両社とも5月中旬の業績発表で純売上高の増加を報告しているが、株価は下落している

多様な新規顧客を引きつけたセフォラとコールズの提携

リテール業でも、売上高の成長に陰りがみられる一方で、ビューティ部門の成長はかなりのものだ。5月19日に発表されたコールズ(Kohl’s)の2022年度第1四半期の決算によると、セフォラ(Sephora)のショップ・イン・ショップは大きな成功だったようだ。当初は200店舗への出店だったセフォラとコールズのパートナーシップは、店舗売上高の伸びが前年比で1桁成長と低調だった。もっとも売れたブランドはセフォラ・コレクション(Sephora Collection)、ナーズ(Nars)、フェンティ・ビューティ(Fenty Beauty)、シャーロット・ティルブリー(Charlotte Tilbury)、オラプレックス(Oraplex)、そしてトゥー・フェイスド(Too Faced)などだった。全体の売上高が前年比で5%減少したコールズにとって、セフォラとのパートナーシップは混迷する市場における希望の光なのだ。

「顧客に感動を届けるため、何らかの発見があるような仕掛けを店舗全体に、意図的に配置している。そして今後もさまざまなものを採り入れながら、アジャイルに関わっていきたい。重要なのは、これらの新形態の店舗がうまくいっているということだ」と、コールズのCEOであるマイケル・ガス氏は決算発表で述べた。

セフォラとコールズの提携は8月上旬までに、さらに400店舗で展開予定だ。この施策が奏功し、コールズはセフォラの既存顧客はもちろんのこと、より若くて多様な新規顧客を引きつけることができている。また、セフォラの顧客はコールズの平均的な顧客と比べると、約2倍の頻度で買い物をしているという。

「今年の夏でクリティカル・マス(普及率が一気に跳ね上がる分岐点)に到達すると、600に及ぶ店舗数が非常に大きなインパクトを持ち、今年後半にはポジティブな競争を展開できるようになる」とガス氏は語る。

売り上げを牽引したターゲットとアルタ・ビューティの提携

ターゲット(Target)は5月18日に、2022年第1四半期の業績報告を行い、アルタ・ビューティでのショップ・イン・ショップが当初の期待を上回っていること、そしてビューティやそれに近いカテゴリーで生産性と売り上げを向上させたことを強調した。ターゲットのビューティ関連の売上は2019年の第1四半期以降、45%以上も増加している。ただし、この成長の「大部分」はアルタ・ビューティとの提携よりも前のものであると、ターゲットのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼CGO(最高事業成長責任者)であるクリスティーナ・へニングトン氏は業績発表で語った。

一方のアルタ・ビューティは、COVID-19による制限が減った影響で、2022年度第1四半期の純売上高が23億ドル(約2961億円)となり、昨年同期の19億ドル(約2446億円)から21%増加したことを5月26日に発表した。トランザクション(同10%増)とバスケットサイズ拡大(同7.3%増)により、開店から14カ月以上経過した店舗とeコマースの売上は前年比で18%増加した。

[原文:Beauty sales continue to climb despite Wall Street’s uncertainty

EMMA SANDLER(翻訳:田崎亮子、編集:黒田千聖)

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