テフロン加工のフライパンに傷がつくと「230万個のプラスチック粒子」が料理に放出されるとの研究結果

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「テフロン」の商品名で知られるフッ素樹脂のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でコーティングされたフライパンは、表面の摩擦が小さく素材が焦げ付きにくいので、料理人の強い味方となっています。しかし、そんなフッ素樹脂加工のフライパンや鍋を使用中にコーティングが壊れると、おびただしい数の微細なプラスチック粒子が料理に放出されてしまうことが分かりました。

Raman imaging for the identification of Teflon microplastics and nanoplastics released from non-stick cookware – ScienceDirect
https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2022.158293

Not-so-tough Teflon – News
https://news.flinders.edu.au/blog/2022/10/31/not-so-tough-teflon/

One Small Crack on a Teflon Pan Can Release Thousands of Plastic Particles : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/one-small-crack-on-a-teflon-pan-can-release-thousands-of-plastic-particles

Should you immediately throw away a pan when you scratch its coating?
https://www.universal-sci.com/article/should-you-throw-away-a-pan-with-a-scratched-coating

テフロン加工の調理器具に使用されるPTFEは、極めて長期にわたって環境中に残留することから「永遠の化学物質」と呼ばれている「パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)」という物質群に属しているため、健康上の問題が懸念されることがあります。

そこで、オーストラリア・フリンダース大学のYouhong Tang氏らの研究チームは、テフロン加工のプライパンを料理に近い環境にして、フライ返しがコーティングにダメージを与えた際にどのような影響が現れるのかを調べる実験を行いました。


実験では、料理を再現するためテフロン加工の調理器具にステンレスやプラスチック、木製のフライ返しを当てて、料理に似た動きでこすりました。そして、ラマンイメージング法を用いてコーティング表面のマイクロプラスチックとナノプラスチックの粒子の数を計測し、特殊なアルゴリズムでどれだけの粒子が料理中に放出されるのかを調べました。

その結果、コーティング表面に小さな傷がついただけで30秒間に9100個の微細なプラスチック粒子が料理に混入することや、コーティングが壊れた場合は230万個もの粒子が放出されることが判明しました。

Tang氏は実験結果について、「食品汚染を避けるには、調理器具の選択や使用に十分注意を払うことが欠かせないということを、強く警告する結果となりました。テフロンがPFASの仲間であることを踏まえ、マイクロプラスチックとナノプラスチックのリスクを評価する上で、さらなる研究が求められます」と話しました。


マイクロプラスチックやナノプラスチックが人体に及ぼす影響については、まだはっきりとしたことは分かっていませんが、マイクロプラスチックは血液中の中、さらには母親と胎児をつなぐ胎盤など人体内のさまざまな場所で見つかっており、劣化したり分解されたりせずに長期間残留することから、健康被害も懸念されます。

そのため、今回の研究論文を取り上げた科学系ニュースサイトのUniversal-Sciは、テフロン加工の調理器具を使っても食事に「永遠の化学物質」が混入しないように、以下の点に注意するよう呼びかけました。
・料理器具の説明書の指示を守ること。
・コーティングが損傷するのを防ぐため、調理器具を過熱させないこと。
・強くかきまぜたり、とがったもので突いたりしないこと。
・表面に傷が付いたり、コーティングが損傷したりしたら速やかに破棄すること。

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