突然だが、皆さんは焼津(やいづ)と言われてピンと来るだろうか? 私(中澤)は何もピンと来なかった。なんなら読み方もあやふやなくらい。だから、核シェルター取材の帰り、駅に向かって歩いていた時、突如現れた『焼津さかなセンター』にはビックリした。
おそらく、市場なのだが、広大で町のようになっており、遊園地のゲートみたいな入口には「ようこそさかなの国へ」と書かれている。ディズニーランドみたいだ。駅からも遠いこの場所にこんなスポットがあるなんて……! 魚介好きとしてはスルーできないので入ってみることにした。
・市場と飲食店で町のようになってる
ゲートから伸びる道路に沿って歩いていくと、まず見えたのは『渚』という食堂。市場に隣接しているだけあり、メニューは海鮮が際立っている。どうやら、飲食店も集まっているようだ。
ちょうどお昼時のため、この園の中でご飯を食べることにした。しかし、これだけ広い敷地なので、ほぼ見ないうちに一発目に入るのはもったいない。ちょうど、『渚』の向いに市場の入り口があるため、中を散策しながら決めることにした。
市場の中は、鮮魚店だけでなく、佃煮や缶詰などの加工食品など、様々なお店がズラーッと並んでいる。近所にこれがあったら魚には困らなさそうだ。
・市場の中
それにしても、迷子になりそうな広さである。通りがずーっと奥まで伸びているのだ。方向音痴の私が、適当に歩いていても自分の位置を見失わないのは通りが色分けされていたり「まぐろ街道」や「かに街道」などの名前がついているからだと思う。市場にしては分かりやすい。
さて置き、所せましと並ぶ鮮魚店の合間に飲食店が見受けられる。やはり回転寿司や海鮮丼などの店が多いが……
ハンバーグとか沖縄そばを扱う店も。なかなかバリエーションに富んでいると言えるだろう。
・てっか丼山もと
見ているうちに、ハズレがない気がしてきたため『てっか丼山もと』に入ってみた。
入店の理由は店構えが開けているため入りやすかったというだけなのだが、よくよく見ると、「インスタ映えメニュー」と書かれたものがある。「豪快!!はみ出し丼(税込み2000円)」がそれだ。
2000円はちょっと高めにも感じるが、せっかくの焼津さかなセンターだし、どちらかと言うと奮発したい。というわけで、今日はお金に糸目をつけずに楽しむ日とする。「豪快!!はみ出し丼」イッケェェェエエエ!
そして、運ばれてきた丼は……
SUGEEEEEEEEEE!!
・はみ出すどころか
はみ出すどころの騒ぎではない。垂れ下がっとる! マグロ、ビントロ、サーモンがすだれみたいになってご飯だけではなく桶の側面まで隠しているではないか!! なんなら、桶すら超えて接地しているからか下にまな板が置かれている始末。寿司桶の意味……!
そんな寿司桶のアイデンティティすら否定したマグロは、食べてみるとデカイだけでなく分厚い! ビントロもサーモンも口いっぱいに頬張れる! 嬉しい! 好き!!
失礼。あまりの快感についついわからせられてしまった。それにしても、酢飯も粒が立っていてウマイし、ネギトロも入っているからご飯と海鮮のハーモニーが楽しめるところも良い。要するに、見た目の強さだけではなく、海鮮丼としてのクオリティーがしっかりしているのだ。
映え重視のオラオラ系かと思いきや、しっかりした考えをお持ちのこの丼。2000円なのは映え料ではなく中身の値段であることが感じられる。しゅき。
・静かなる焼津出身者
というわけで、謎のスポット・焼津さかなセンターは最高であった。それにしても、駅からも海からも離れている上、ただ歩いていたらあっただけで噂を聞いたこともないのだが、ここって有名なのだろうか?
そう言えば、ロケットニュース24の営業のシノミヤは焼津出身だったような気がする。普段、冷静沈着で無駄口も叩かず、事務所の隅でひっそり仕事をしているシノミヤ。フラッと立ち寄った焼津さかなセンターが最高だったことを報告してみたところ……
シノミヤ「かー! 見つかっちゃいました?」
シノミヤ「ついに焼津さかなセンターがロケットニュース24に載る時が来たんですね。感無量ですわ」
シノミヤ「焼津さかなセンター最高ォォォオオオォォォオオオ!!」
ヤバイことになった。
7~8年一緒に仕事をしているが、シノミヤが叫ぶところを初めて見たかもしれない。焼津さかなセンターの名前を出しただけで、あの静かな男がこんなことになってしまうとは。恐るべし、焼津さかなセンター。
しかし、逆に言うと、それくらい地元民から愛されているスポットと言えるだろう。焼津にこんな場所があったなんて。駅からは少し離れているが、歩いていけない距離ではないし、駅前からバスも出ているので、焼津に行った際はぜひ寄ってみて欲しい。
・今回紹介した店舗の情報
店名 焼津さかなセンター
住所 静岡県焼津市八楠4丁目13−7
営業時間 9:00~17:00
定休日 無休
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.