次の立民代表は共闘を続けるか – NEWSポストセブン

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次の代表の判断は(時事通信フォト)

 11月10日に衆院選を受けての特別国会が召集され、首相指名選挙で岸田文雄・首相が297票という過半数の票を得て、総理大臣に指名された。10月31日の衆院選で与党の自民、公明が勝利したことで岸田政権が続くわけだが、対照的に立憲民主党をはじめとする野党は先行きが見えなくなっている。

【写真】日本共産党の志位和夫・委員長。共闘は続くのか?

 菅義偉・前首相の退陣とその後の自民党総裁選の結果を受けて岸田氏が首相に指名されたのは10月4日のこと。今回は衆院選の結果を受けて再度の指名となるわけだが、1か月前とは状況が大きく変わっているのが野党である。前回の首相指名選挙では、立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組の野党4党が、足並みを揃えて立憲民主党の枝野幸男・代表の名前を書いた。政治ジャーナリストが言う。

「前回は、衆院選での野党共闘や選挙を経て政権を獲得した際に共産党が閣外協力に回るなどの点で合意したことを受けての“枝野指名”だった。しかし、先の衆院選では立憲民主党も共産党も議席を減らす結果となり、惨敗を受けて枝野氏は代表辞任を表明。今後、野党共闘を続けられるかは不透明になっています」

 今回の首相指名選挙でも、共産党は枝野氏に票を投じた。同党の志位和夫・委員長は投票後に記者団に対して「(閣外協力の)合意を掲げて総選挙を戦った以上、国民に対する公約でもある。枝野氏に投票するのが当然」と説明したが、その枝野氏は代表を退くことが決まっている。来年夏の参院選でも共闘が続くかは、11月30日の投開票で調整が進む立憲民主党の代表選の結果次第で変わってくる。立憲民主党関係者は「代表選のカギを握るのは党内の各グループがどんな候補を支持するか」だと話す。

 今回の衆院選で議席を減らし、立憲民主党の国会議員の数は衆参合わせて140人になったが、代表選の立候補には20人の推薦人が必要になる。もともと立憲民主党の党内グループには、自民党の派閥ほどの結束力はないが、ひとつのグループからまとめて支持を取り付ければ、困難な推薦人確保がスムーズに進む。
「党内最大グループは、旧社会党出身の赤松広隆氏(今回の衆院選で引退)が率いていた『サンクチュアリ』で、党内左派中心の26人がメンバーでリベラル色が強い。共産党との共闘を主導した枝野氏も、代表辞任を表明後に顧問としてグループ入りしています。

 同グループの小川淳也・元総務政務官は立候補に意欲を見せているが、2017年に旧・民進党が分裂する際に、立憲民主党ではなく希望の党からの出馬を選んだ経緯がある。結党時からのメンバーが核となる同グループで、支持を取り付けられるかどうか。野党共闘の継続についてどう考えているかがカギとなるだろう」(同前)

 旧・国民民主党から合流し、約20人の「新政権研究会」を率いる泉健太・政調会長も代表選立候補が取り沙汰されるが、こちらは衆院選後に野党共闘について「再検討は必要」と述べるなどしている。このあたりのスタンスが、党内で幅広い支持を得られるかの分水嶺になるのかもしれない。

 共産党を含む野党協力で多くの選挙区で候補者を一本化したものの、先の衆院選では立憲民主党も共産党も議席を減らしたわけだから、共闘の見直しを考える次期代表が選出されても不自然ではないように思えるが、話はそう単純ではないという。前出・政治ジャーナリストはこう話す。

「共産党の基礎票は各小選挙区で1.5万票とされる。今回5野党が共闘した213選挙区のうち、野党は59選挙区で議席を獲得した。共産党支持者の票を得たことで、比例復活できた議員もいると考えられる。そうした選挙で生き残った立憲民主党の議員たちが代表を選ぶのだから、簡単に共闘をやめるとは言えないだろう。自民党が公明党の組織票に依存して選挙を戦っているのと同様の構図が、野党である立憲民主党にも生まれつつあるとみることもできる」

 今月末にも誕生する立憲民主党の新代表は、次の国政選挙となる参院選が来年夏に迫るなか、共産党との関係をどう見直すのか。

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