モーションキャプチャーという技術に憧れる。人間という複雑な要素を持つものでさえも、「動作」という現象だけを取り出して表示してしまうアレ。
しかし、 高価な機材とかが必要だったり、モーションキャプチャーを実際に使うにはいろいろ大変そうだ。いや、でも、静止画でなら手作業でそれっぽいものができるのではないだろうか。できる気がする。
静止画の時点で「モーション」では無いことには目を瞑って、やってみることにした。
※2007年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
ピンポン玉を購入
モーションキャプチャーっぽい画像を作り出すには、各関節がどうなっているかをはっきりさせる必要がある。
そのために全身の関節にマーカーと呼ばれる玉をつける。みなさんもどこかでタイツにピンポン玉のようなものをつけて演技をする人を見たことがあると思う。
近所のスポーツ用品店に材料を探しに行ったら、ちょうど良いピンポン玉が売っていた。60球で1500円。なんだかわからないが、すごく安い気がする。
モーションキャプチャー初心者なので試しに、動かないものの形を写し取ってみることにした。完全にモーションじゃなくなってるが、練習だ。
小さな吸盤を接着剤でピンポン玉に付けて、平らでつるつるしたところになら取り付けられるようにしてみた。
こんな感じだ。
さて、上の画像で角がちょこっと写っているものは何かといえば、近所にあったポストだ。まずは練習ということで、このポストのモーションをキャプチャーしてみた。
意外と簡単だった。まず左の画像のピンポン玉の部分に点を打って、そのあとから本物のポストを参考にしつつ、各点の間に線を引くだけである。複雑なことは一切無い。
ちなみに、上の画像のポストのうしろにおじいちゃんが写っているが、おじいちゃんなので幽霊ではない。
続いて電話ボックスだ。なんだか四角いものばかりだが、吸盤が付かないとダメなのでしかたがない。上画像のラインにジャギー(ギザギザ)が入ってしまっているが、なんか初代プレイステーションとかセガサターンっぽいのでこれはこれでいい味なのではないだろうか。
今回は、電話ボックスの上部右奥のマーカー(ピンポン玉)がどうやっても写真におさめられなかったのだが、「心の目」でその位置を見抜くことにより、補完した。
……「心の目」?
ピンポン玉は必要か?
「心の目」なんて使ってしまっていいのなら、はじめからピンポン玉を使ったマーカーなど用意する必要ないと思う人もいるかもしれない。
だがそんなことはないのである。下の画像を見てもらいたい。
上記の画像は、近所のイトーヨーカドーと、マーカーを使用せず勘だけを頼りに抜き出した点と線である。見るに無残というほか無い。
やはりピックアップする点がはっきりしないと、だめなんですね。わかりましたか。ピンポン玉は必要ですね。
ピンポン玉の必要性が明確になったところで、吸盤ではりつけられるものもそんなにないことがわかった(要は飽きた)ので、ようやく自分の体の動きを取り出してみることに。
ただの点と棒には見えない
今度はモーションキャプチャーらしく、体にマーカーであるピンポン玉をくっつけてみた。場所は頭・胸・両肩・両肘・両手首・腰の両側・両膝・両足首の14箇所だ。
例えばこんな感じ。
ご覧のように、ピンポン玉で関節の位置を取って、その間を線でつなぐとちょうど棒人間のようになる。
これは写真の角度や線のつなぎ方のせいで、ちょっとぎこちない感じになっているかもしれないが、どんどん見ていこう。
今度は歩いたり自転車に乗ったりしているところだ。軽い運動をしているだけとはいえ、はじめの棒人間と比べて人間っぽいというか、活き活きして見えないだろうか。
たとえ静止画であっても、運動しているところの画像だとモーションキャプチャー風に作られた棒人間も動的になるようだ。
上の画像はジュースを買うために自動販売機のボタンを押す動作で、下の画像は人ん家の塀を押す動作だ。下の動作は全然無意味な行為なのだが、モーションキャプチャー風画像を見比べれば同じようにしか見えない。
「押す」という動作としてはどちらも同じなわけだ。現象学ってこういう話ですかね。
モーションキャプチャー風の画像の面白さに引き込まれながら、他にもいろいろと試してみた。
というようないい一日に、僕はこんなポーズをとっていたのだ。さて、連続して上下に並べられた画像をみてどうだったろうか。どんどん下の画像が妙に生々しく、活き活きとして見えないだろうか。
モーションキャプチャー脳というか、ただの点と棒の集まりに過ぎない図像がなんだかちゃんと生きているように見える。
さらに自分で上下の画像を見比べていると、僕の体の中にこの黄色い軸が突き刺さっていて、この軸こそが僕の体を動かしているのではないかと思えてくるような、不思議な気分がする。
モーションキャプチャー風に作られた棒人間というのは、思ったよりも人間の雰囲気をうまく捉えることができるみたいだ。
もっと効果的につかう方法はないだろうか?
軍隊仕込風
モーションキャプチャーは身体動作をいきいきと捉えることができる、 という特性を生かして「おむすび体操」という僕が開発した独自の体操を紹介したい。今思いついた。
おむすび体操を簡単に説明すると、おむすびをモチーフにした「ビリーズブートキャンプ」みたいなものだ。見たこと無いけど、たぶん。
棒人間に負けるな
モーションキャプチャーの仕組みはただの棒人間に命を与えることがわかった。例え静止画であろうとも、である。普通に生きている我々も、この棒人間に負けないくらいの生命力を表現してみたいものである。