気づけば12月も中旬になってしまった。
今年やった仕事といえばなんといってもヤマザキのまんじゅうを紹介する記事を書いたことである。
なによりも誇らしいことで2022年はきらめきの1年だったと胸をはって言える。
そんな栄光の記事執筆後、記事を読んでくださった方から「山崎謹製和菓子はご存じでしょうか」とお知らせいただいたのだ。
「酒まんじゅう」と「蓬まんじゅう」
山崎謹製和菓子……! 正直に言おう。知らなかった。まったく。
おしえてくれた方によると、山崎謹製和菓子は先だって紹介したまんじゅうと同じ山崎製パンの和菓子のブランド名のようだ。
まさかと玄関から飛び出し、勢いにまかせ荒々しくスーパーをたずねまわる。
黒糖、よもぎ、吹雪のいずれかが並ぶスーパーが数軒続いたが……
スーパー「ライフ」で山崎謹製和菓子とフィルムにプリントされたまんじゅうに出会うことができた。
ラインナップは「酒まんじゅう」と「蓬まんじゅう」のふたつだ。
このスーパーには黒糖、よもぎ、吹雪はどれもない。
他メーカーのまんじゅうならあるが、ヤマザキからは山崎謹製和菓子の2種のみが並んでいた。
店の方に聞くと、最近はおおむねこのラインナップだそうだ。そういう店もあるのだな……。人生、勉強であることよ。
アイドルグループと同じことがまんじゅうの現場で
しかし、酒まんじゅうは良いが、蓬まんじゅうの「蓬」は、言わずもがなであるが読みは「よもぎ」だ。
漢字とひらがなで同じメーカーからふたつのまんじゅうがリリースされていたとは……。
アイドルグループには不案内な私だけれど、現在の日向坂46がかつてけやき坂46として活動し、欅坂46に対して「ひらがなけやき」と呼ばれていたことは知っている。
状態としては、アイドルと同じことがまったく同じことがまんじゅうの現場起きていたのだ。
アイドルとまんじゅうの共通点、それは漢字とひらがなの混在……。
解くつもりのない謎を解き、やぶからぼうに脱出してしまった。ここはどこだ。
でかいのにカロリーが同じ
謎が解けたところでそれぞれのまんじゅうをあらためて味わいたい。
上の写真のとおり、山崎謹製和菓子のまんじゅうは黒糖、よもぎ、吹雪3品のあのサイズ感よりも大きい。
これも読者の方から教えていただいて興味深かったのだけど、漢字蓬の方が大きいのにカロリーはひらがなよもぎとだいたい同じだそうなのだ。
ただこれは、両方を入手することでこたえの想像がついた。
漢字蓬の方がふわっと軽いのに対し、ひらがなよもぎはずっしりしている。はかってみると重量は漢字が79gなのに対し、ひらがなが74g。僅差だ。
そしてその理由は、そう。
あんこの方が皮よりも水分があり重く、糖分も含んでおりカロリーも高い。
重さは僅差で、かつ、ひらがなの方があんこ量が多いことを考えるとカロリーがほぼ同じなのもうなずける。
漢字は餡が粒、ひらがなはこし
あんこ量、皮の厚みのバランスが違うとなるとつまり味もかなり違いそうだ。
しっかり観察すると、あんが粒あん(漢字蓬)とこしあん(ひらがなよもぎ)で両者別だった。
アイドルファンがグループの特性をしっかりつかみ見分けているのと同じく、まんじゅうファンは粒あんとこしあんの違いを昼と夜の違いほど激しく感じているものだ。
漢字蓬とひらがなよもぎ、このまんじゅうはやはりまったく別物だ。
漢字蓬が搭載する粒あんはしっかりと小豆の味と粒を感じさせてくれる田舎風の餡だった。よもぎの風味もあり、全体的に良い意味で(激しく良い意味で)やぼったい。まんじゅうはこうこなくっちゃという味。
いっぽうのひらがなよもぎは草っぽさを全身に感じさせながらしかし餡をたらふく食べる意味で無駄なくソリッドに設計されている。あんこはなめらかで体細胞に一瞬にしていきわたる。
素朴で親しみのある漢字と、効率的で合理的なひらがな。同じタイプのまんじゅうでこうも違いがあった。
酒まんじゅうファンも集合してもらえますか
最後に、味の点で特筆すべきが実は酒まんじゅうの方だったこと、お伝えしよう。
この酒まんじゅう、酒の味が思いもよらず本気を出しているんだ。
アルコール分について表記はないが、それにしても日本酒のあの鼻から抜けるかおりが郁郁としている。
酒まんじゅうというとこうじで皮を発酵させて作るものだが、もっとダイレクトに酒をだばだば入れてる感じする。
酒まんじゅう好きの方にはぜひぜひおすすめしたい。
ありがたい情報をいただき、今年は年内に3本のまんじゅう記事を書くことができた(山崎製パンのまんじゅうほ他に栗まんじゅうの記事も編集したのだ)。
来年も鋭意まんじゅうを語り、味わっていきたい。みなさまもどうか引き続きお付き合いください。これからも元気で一緒にまいりましょう。