フランス国内において無償提供されている学校・学生用Microsoft Office 365がEUの一般データ保護規則(GDPR)に準拠していないとして、フランス国民教育省が教育機関に使用停止を要求しました。
Question n°971 – Assemblée nationale
https://questions.assemblee-nationale.fr/q16/16-971QE.htm
Le ministre de l’Éducation nationale ne veut pas de Microsoft Office 365 ni de Google Workspace
https://siecledigital.fr/2022/11/17/le-ministre-de-leducation-nationale-ne-veut-pas-de-microsoft-office-365-ni-de-google-workspace/
2022年11月15日、国民教育省がフランスのフィリップ・ラトンベ議員からの質問に回答する形でMicrosoft Office 365に言及しました。ラトンベ氏の質問は「Microsoft Office 365は一見すると魅力的に見えるかもしれませんが、このサービスの無償提供は究極の不当廉売であり、不当競争に値します。また、個人データがアメリカのクラウド上にあるため、主権に重大な問題をもたらします。この件についての意見をお聞かせください」というものでした。
これに対し、国民教育省はフランスの情報通信・自由貿易委員会(CNIL)が発行した過去の書簡を引用し、「CNILは高等教育機関に対し、欧州連合内でデータをホストし、アメリカに転送しない、欧州法にのみ従う企業が提供するサービスを使用するよう勧告しています」と記述。GDPRに反するMicrosoft Office 365の使用を停止するよう教育機関に要請している段階だとしました。
フランスのデジタル省庁間総局(DINUM)は以前から「セキュリティ侵害、あるいはアメリカの諜報機関による悪用からデータを守るために、行政機関でMicrosoft Office 365を導入することは禁止されている」と明記しています。
国民教育省もこの点に言及し、「地方・地域当局には、データを欧州連合内で管理し、アメリカに転送しない『欧州法にのみ従うサービスプロバイダー』を選択することが求められているのです。設備や運用だけでなく、インフラや機材の取得・維持管理も自治体の責任です」と述べました。
なお、EU圏内においてはフランスだけでなくドイツも学校でのMicrosoft Office 365の使用を禁止しています。ドイツもフランスと同様に「Microsoft Office 365がアメリカのデータセンターと情報をやりとりしていること」がGDPRに違反していると判断しており、プライバシー情報保護の観点から2019年に禁止されました。
Microsoft Office 365がドイツの学校で使用禁止へ – GIGAZINE
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