「朝食はたっぷり夕食は少なめ」の食事にしても消費カロリーに変化はない、それでも専門家がこの食事スタイルを推奨する理由とは?

GIGAZINE
2022年09月25日 07時00分



健康やダイエットへの関心が高い人の中には、「1日の早い時間にカロリーを多く摂取し、夜の摂取カロリーは少なめにすると体重が減る」という話を聞いたことがある人も多いはず。被験者の食事を徹底的に管理した新しい研究の結果により、この食事法には消費カロリーを増やす効果がほとんどないことが判明しました。その一方で、ダイエットにつながる可能性がある重要なメリットも分かってきたと専門家が報告しています。

Timing of daily calorie loading affects appetite and hunger responses without changes in energy metabolism in healthy subjects with obesity: Cell Metabolism
https://doi.org/10.1016/j.cmet.2022.08.001

Weight loss: the time of day you eat your biggest meal has little effect – new study
https://theconversation.com/weight-loss-the-time-of-day-you-eat-your-biggest-meal-has-little-effect-new-study-186775

「朝にたくさん食べて夜は控えめに食べる」というダイエット法の下地になったのは、2013年に行われた食事の摂取タイミングに関する研究です。参加者から提出された食事記録や睡眠時間のアンケートなどを元に、食事の摂取タイミングと消費カロリーの関係を分析したこの研究では、主要な食事をとるのが遅い人は早い人より体重が減らないことが示唆されました。

人体は概日リズムと呼ばれる周期で活動しており、代謝を含むほとんどの生物学的機能もこれに沿って調節されているため、「1日の活動が始まる朝にカロリーを多く摂取し、寝る前の食事は控えめにしたほうがいい」という考え方には一定の説得力があります。


この仮説について検証するため、スコットランド・アバディーン大学のLeonie C. Ruddick-Collins氏らの研究チームは、30人の参加者の食事を4週間にわたり厳密に管理する研究を行いました。参加者は「朝は多く夜は少なめの食事」をするグループと「朝は少なめで夜は多めの食事」をするグループに分けられ、昼食を含めた食事は全て研究チームが提供したとのこと。また、参加者が規定の食事以外で何かを口にした場合は全て報告されたほか、食べ残しも全て計量して記録がつけられました。

研究チームは当初、「多めの朝食と少なめの夕食を食べるグループの方が、消費カロリーが増加し体重は減少する」と考えていました。しかし、安静時の基礎代謝量や活動量、水分の消費量から算出した総エネルギー消費量などを比較しても両グループの消費カロリーに違いは見られず、体重の減少量もほぼ同じでした。また血中のインスリンや脂質、血糖値を調べる検査も実施されましたが、これらのデータにも違いはなかったとのことです。

今回の研究では、体重や消費カロリーだけでなく、参加者が感じた空腹感も測定されました。研究チームが、元は患者の痛みの尺度として考案されたビジュアルアナログスケールという手法で参加者の空腹感を測定して比較した結果、朝たくさん食べるグループの参加者は、1日を通して感じる空腹感が少ないことが分かりました。


この結果から、研究チームは「私たちの研究で見られた唯一の違いは、自己申告による空腹感と食欲だけでした。つまり、たっぷりの朝食と控えめな夕食という食事パターンにより、参加者の空腹感がやわらげられていたことになります。この効果は、空腹感をうまくコントロールし食べる量を減らすことにつながるため、減量を目指す人にとって有用であると考えられます」と述べました。

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2022年09月25日 07時00分00秒 in サイエンス,   , Posted by log1l_ks

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