11月16日より、NVIDIAの新世代GPU「GeForce RTX 40」シリーズの第2弾製品として、「GeForce RTX 4080」が発売される。
今回は発売に先立ち、GeForce RTX 4080のNVIDIA純正ビデオカードであるFounders Editionをテストする機会が得られたので、ベンチマークテストでそのパフォーマンスを確かめてみた。
- 16GBのVRAMを搭載したハイエンドGPU「GeForce RTX 4080」
- GeForce RTX 4080 Founders Edition
- ZOTAC GAMING GeForce RTX 4080 16GB AMP Extreme AIRO
- 比較用GPUとテスト環境
- ベンチマーク結果
- 3DMark「Speed Way」
- 3DMark「Port Royal」
- 3DMark「Time Spy」
- 3DMark「Fire Strike」
- 3DMark「Wild Life」
- 3DMark「DirectX Raytracing feature test」
- 3DMark「PCI Express feature test」
- 3DMark「NVIDIA DLSS feature test」
- VRMark
- ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
- FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
- サイバーパンク2077
- Microsoft Flight Simulator
- Forza Horizon 5
- DIRT 5
- フォートナイト
- エーペックスレジェンズ
- オーバーウォッチ 2
- アサシン クリード ヴァルハラ
- モンスターハンターライズ:サンブレイク
- エルデンリング
- Blender Benchmark 3.1.0
- システムの消費電力とワットパフォーマンス
- ベンチマーク実行中のモニタリングデータ
- 上位モデルとの差は大きいものの、それでも従来のハイエンドを圧倒できるGeForce RTX 4080
16GBのVRAMを搭載したハイエンドGPU「GeForce RTX 4080」
GeForce RTX 4080は、先日登場したGeForce RTX 4090と同じくGeForce RTX 40シリーズに属するハイエンドGPUで、Ada Lovelaceアーキテクチャに基づいて、TSMCの4Nプロセスで製造されたGPUコアを採用している。
GeForce RTX 4080のGPUコアでは、76基のSM(Streaming Multiprocessors)が有効化されており、9,728基のCUDAコアや、76基の第3世代RTコア、304基の第4世代Tensorコアなどが利用できる。GeForce RTX 40シリーズのラインナップ上ではGeForce RTX 4090に次ぐ位置づけのGPUだが、128基のSMを備え、16,384基のCUDAコアなどが利用できるGeForce RTX 4090と比べると、GPUコアの規模はだいぶ縮小されている。
VRAMには22.4Gbps駆動のGDDR6Xメモリを16GB搭載しており、GPUコアと256bitのメモリインターフェイスで接続することにより約716.8GB/sのメモリ帯域幅を実現している。バスインターフェイスはPCIe 4.0 x16で、TGPは320W。
【表1】GeForce RTX 4080の主な仕様 | |||
---|---|---|---|
GPU | GeForce RTX 4080 | GeForce RTX 4090 | GeForce RTX 3080 |
アーキテクチャ | Ada Lovelace | Ada Lovelace | Ampere |
製造プロセス | TSMC 4nm | TSMC 4nm | Samsung 8nm |
SM | 76基 | 128基 | 68基 |
CUDAコア | 9,728基 | 16,384基 | 8,704基 |
RTコア | 76基 (第3世代) | 128基 (第3世代) | 68基 (第2世代) |
Tensorコア | 304基 (第4世代) | 512基 (第4世代) | 272基 (第3世代) |
テクスチャユニット | 304基 | 512基 | 272基 |
ROPユニット | 112基 | 176基 | 96基 |
ブーストクロック | 2,505MHz | 2,520MHz | 1,710MHz |
メモリ容量 | 16GB (GDDR6X) | 24GB (GDDR6X) | 10GB (GDDR6X) |
メモリスピード | 22.4Gbps | 21.0Gbps | 19.0Gbps |
メモリインターフェイス | 256bit | 384bit | 320bit |
メモリ帯域幅 | 716.8GB/s | 1,008GB/s | 760GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
消費電力 (TGP) | 320W | 450W | 320W |
GeForce RTX 4080 Founders Edition
今回テストするのは、GeForce RTX 4080を搭載するNVIDIA純正ビデオカード「GeForce RTX 4080 Founders Edition」だ。
ビデオカードのデザインはGeForce RTX 4090のFounders Editionを踏襲しており、3スロットを占有する大型GPUクーラーや、補助電源コネクタに新規格の「12VHPWR」を採用している。ブラケット部の画面出力端子はDisplayPort(3基)とHDMI(1基)。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 4080 16GB AMP Extreme AIRO
今回ベンチマークテストは行なわないのだが、ZOTACのオリジナルデザインを採用したビデオカード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4080 16GB AMP Extreme AIRO」を撮影することができたので、ここで紹介しておこう。
ZOTACのフラッグシップモデルである「AMP Extreme AIRO」の名を与えられたこのビデオカードは、丸みを帯びたユニークなフレームを採用する超大型GPUクーラーを搭載しており、カードサイズは355.5×149.6×72.1mm(長さ×高さ×厚み)となっている。これはFounders Editionの304×137×61mmよりだいぶ大きなサイズだ。
このように、AMP Extreme AIROのような上位モデルはカードサイズの大型化と引き換えに、強力な冷却性能を備えたGPUクーラーを搭載しており、その冷却性能をGPUオーバークロックによる性能向上や、静粛性の向上に活用している。ケースやマザーボードのレイアウト的に搭載スペースを確保できるなら、このような上位製品を選ぶことで、より快適に使えるゲーミングPCを構築できるだろう。
比較用GPUとテスト環境
GeForce RTX 4080の比較対象には、GeForce RTX 4090を搭載する「Colorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-V」と、前世代のハイエンドGPUである「GeForce RTX 3080 Founders Edition」を用意した。なお、Colorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-Vについては、リファレンスクロック相当で動作するノーマルモードでテストする。
各ビデオカードの動作時仕様は以下の表の通り。GPUドライバについては、GeForce RTX 4080にはレビュアー向けに配布された「Game Ready Driver 526.72」、その他のGPUには「Game Ready Driver 526.47」を適用している。
【表2】各ビデオカードの動作仕様 | |||
---|---|---|---|
GPU | GeForce RTX 4080 | GeForce RTX 4090 | GeForce RTX 3080 |
ビデオカードベンダー | NVIDIA | Colorful | NVIDIA |
製品型番 | Founders Edition | iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-V | Founders Edition |
ベースクロック | 2,205MHz | 2,235MHz | 1,440MHz |
ブーストクロック | 2,505MHz | 2,520MHz | 1,710MHz |
メモリ容量 | 16GB (GDDR6X) | 24GB (GDDR6X) | 10GB (GDDR6X) |
メモリスピード | 22.4Gbps | 21Gbps | 19.0Gbps |
メモリインターフェイス | 256bit | 384bit | 320bit |
メモリ帯域幅 | 716.8GB/s | 1,008GB/s | 760GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
電力リミット | 320W | 450W | 320W |
温度リミット | 83℃ | 84℃ | 83℃ |
Resizable BAR | 有効 | 有効 | 有効 |
GPUドライバ | GRD 526.72 (31.0.15.2672) | GRD 526.47 (31.0.15.2647) | GRD 526.47 (31.0.15.2647) |
ビデオカードを搭載するベース機材には、Ryzen 7 7700Xを搭載したAMD X670E環境を用意した。
その他の機材や条件については以下の通り。
【表3】テスト機材一覧 | |||
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GPU | GeForce RTX 4080 | GeForce RTX 4090 | GeForce RTX 3080 |
CPU | Ryzen 7 7700X (8コア/16スレッド) | ||
CPUパワーリミット | PPT=142W、TDC=110A、EDC=170A、TjMAX=95℃ | ||
CPUクーラー | ADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%) | ||
マザーボード | ASRock X670E Taichi [UEFI=1.11.AS03] | ||
メモリ | DDR5-6000 16GB×2 (2ch、30-38-38-96、1.35V) | ||
システム用SSD | Samsung SSD 980 PRO 500GB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | ||
アプリケーション用SSD | CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB 10Gbps) | ||
電源 | 玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1200W/80PLUS Platinum) | ||
OS | Windows 11 Pro 22H2 (build 22621.755、VBS有効) | ||
電源プラン | バランス | ||
計測 | HWiNFO64 Pro v7.32、ラトックシステム RS-BTWATTCH2 | ||
室温 | 約24℃ |
ベンチマーク結果
今回実施したベンチマークテストは、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「サイバーパンク2077」、「Microsoft Flight Simulator」、「Forza Horizon 5」、「DIRT 5」、「フォートナイト」、「エーペックスレジェンズ」、「アサシン クリード ヴァルハラ」、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」、「エルデンリング」、「Blender Benchmark」。
なお、今回のテストにおいてDLSSを利用する場合、NVIDIAの推奨設定に基づいてDLSSの設定をWQHD以下では「Quality(品質)」、4Kでは「Performance(パフォーマンス)」にしている。
3DMark「Speed Way」
3DMark最新のDirectX 12高負荷テストであるSpeed Wayで、GeForce RTX 4080が記録したスコアの7,164は、GeForce RTX 4090の9,817を約27%下回り、GeForce RTX 3080を約52%上回った。
3DMark「Port Royal」
3DMarkのDirectX Raytracing(DXR)テスト「Port Royal」において、GeForce RTX 4080はGeForce RTX 4090を約29%下回り、GeForce RTX 3080を約51%上回った。
3DMark「Time Spy」
3DMarkのDirectX 12テストであるTime Spyでは、標準テストの無印版Time Spyのほかに、高負荷版のExtremeを実行した。
GeForce RTX 4080は、GeForce RTX 4090を無印版で約16%、Extremeで約20%下回った。一方、GeForce RTX 3080との比較では、無印版で約41%、Extremeで約40%上回っている。
3DMark「Fire Strike」
3DMarkのDirectX 11テスト「Fire Strike」では、標準テストの無印版Fire Strikeのほか、高負荷版のExtremeとUltraを実行した。
GeForce RTX 4080は無印版ではGeForce RTX 4090を約10%下回る程度だが、Extremeでは約20%、Ultraでは約27%下回っており、高負荷になるほどGeForce RTX 4090との差が広がっている。
一方、GeForce RTX 3080に対しては、無印版で約26%、Extremeで約46%、Ultraでは約51%上回っており、こちらでは高負荷になるほど差を広げている。これは、Extreme以下ではCPU性能などGPU以外の要素がボトルネックとなるため、GPU性能を十分に発揮できていないがゆえの結果だろう。
3DMark「Wild Life」
3DMarkのVulkanテストである「Wild Life」では、標準テストの無印版Wild Lifeと、高負荷版のExtremeを実行した。
GeForce RTX 4080は、GeForce RTX 4090を無印版で約13%、Extremeで約29%下回った。一方、GeForce RTX 3080を無印版で約55%、Extremeで約51%上回っている。
3DMark「DirectX Raytracing feature test」
DXRによるリアルタイムレイトレーシング性能の計測に特化した3DMarkの「DirectX Raytracing feature test」では、GeForce RTX 4080はGeForce RTX 4090を約37%下回り、GeForce RTX 3080を約73%上回っている。
GeForce RTX 4090に対してはRTコア数の違いからか他のテストよりも大きな差が開いているが、RTコアの数が8基しか違わないGeForce RTX 3080を圧倒したこの結果からは、Ada Lovelaceアーキテクチャで第3世代となったRTコアの進化が感じられる。
3DMark「PCI Express feature test」
バスインターフェイスの帯域幅を計測する3DMarkの「PCI Express feature test」では、今回テストした全てのGPUが26.9GB/s弱の帯域幅で横並びとなっている。
いずれのGPUも、バスインターフェイスに採用しているのは最大約31.5GB/sの帯域幅を実現するPCIe 4.0 x16だ。理論値ほどの速度は出ていないが、NVIDIAのGPUがこのテストで出せる実効速度としては26.9GB/sあたりで頭打ちとなるようだ。
3DMark「NVIDIA DLSS feature test」
NVIDIAの超解像技術であるDLSSをテストする3DMarkの「NVIDIA DLSS feature test」では、フレーム生成に対応する最新版のDLSS 3と、フレーム生成を行なわないDLSS 2でテストを行なった。いずれも出力解像度は3,840×2,160ドットで、DLSSの品質設定は「Performance」に設定している。
フレーム生成を行なうDLSS 3において、GeForce RTX 4080のフレームレートはDLSS無効時に38.60fpsだったが、DLSS有効時は132.96fpsへと3.4倍以上も上昇した。
一方、フレーム生成を行なわないDLSS 2においては、DLSSを利用することで39.40fpsから102.53fpsへと約2.6倍も高いフレームレートを記録している。フレーム生成の有無を問わず、GeForce RTX 4080環境でフレームレートを引き上げる手段としてDLSSが有効であることが分かる。
VRMark
VRMarkでは、「Orange Room」、「Cyan Room」、「Blue Room」を実行した。
Orange Roomについては、CPUのボトルネックにより440fps前後でフレームレートが頭打ちになっているため有意な差はついていない。
Cyan Roomでは、GeForce RTX 4080がGeForce RTX 4090を約7%下回る一方で、GeForce RTX 3080を約42%上回り圧倒している。GeForce RTX 4090との差が比較的小さくなっているが、これはGeForce RTX 4090の平均フレームレートが633.1fpsに達することでCPUのボトルネックが生じた結果であると考えられる。
5K解像度で実行されるBlue Roomでは、GeForce RTX 4080はGeForce RTX 4090を約28%下回り、GeForce RTX 3080を約49%上回った。3DMarkの高負荷テストやBlue Roomの結果を見ると、GeForce RTX 4080自体の性能は、GeForce RTX 4090より3割ほど低く、GeForce RTX 3080より5割ほど高いというあたりのようだ。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。
GeForce RTX 4080は、GeForce RTX 4090を7~20%下回り、GeForce RTX 3080を23~38%上回った。
強力なGPU性能を備えたGeForce RTX 40シリーズにとって、このテストはCPUのボトルネックの影響が大きく、4KであってもGPUが常に全開で動作するわけではない。このため、GPU負荷が低くなる低解像度テストほど、上位と下位、新旧の差が小さくなっている。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、画質プリセットを「高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。
GeForce RTX 4080は、GeForce RTX 4090を4~24%下回り、GeForce RTX 3080を22~43%上回った。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、レビュアー向けに配信されたDLSS 3対応ベータ版を使ってテストを行なった。
テストでは、グラフィックプリセットの「レイトレーシング:ウルトラ」をベースに、DLSSとフレーム生成の有無による3パターンの描画設定を、フルHD~4Kまでの画面解像度でテストした。なお、グラフについては画面解像度ごとにまとめている。
DLSS無効時のGeForce RTX 4080は、GeForce RTX 4090を14~28%下回り、GeForce RTX 3080を48~272%上回った。4KでGeForce RTX 3080と極端な差がついたのは、GeForce RTX 3080がVRAM容量不足で性能を発揮できなかったためであり、VRAM容量が16GBに増量されたことがGeForce RTX 4080の大きな強化ポイントであることが分かる。
フレーム生成を行なわないDLSS有効時の結果では、GeForce RTX 4080はGeForce RTX 4090を2~16%下回り、GeForce RTX 3080を27~50%上回った。フルHDではGeForce RTX 4090との差が僅差となっているが、これはCPUのボトルネックでフレームレートの限界が120fps前後に存在しているためだ。
DLSS 3のフレーム生成を有効化した場合、GeForce RTX 4080はGeForce RTX 4090を7~19%下回っているが、平均フレームレートはフルHDで約211.48fps、WQHDで約155.02fps、4Kでは114.24fpsを記録しており、GPU負荷の高いサイバーパンク2077の結果とは思えないほど高いフレームレートを実現している。
Microsoft Flight Simulator
Microsoft Flight Simulatorでは、DLSS 3対応のベータ版である「Sim Update 11(v1.29.25.0)」で、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。結果は画面解像度ごとにまとめている。
なお、テストではグラフィックスAPIを「DirectX 12」、画質プリセットを「ウルトラ」にそれぞれ設定。羽田空港から関西国際空港へのルートをエアバスA320neoでAIに飛行させ、離陸から3分間の平均フレームレートを計測した。DLSS有効時の超解像設定については、品質重視の「DLAA」を適用している。
DLSS無効時のGeForce RTX 4080はGeForce RTX 4090とほぼ同等のフレームレートを記録している。これはCPUのボトルネックが大きく影響しているためで、4Kでは52%上回ったGeForce RTX 3080にWQHD以下ではそん色ないフレームレートを記録されている。
DLSSを「DLAA」で有効化した際のGeForce RTX 4080は、WQHDまではGeForce RTX 4090と同等のパフォーマンスを発揮しているが、4Kでは約7%下回っている。これは、DLAAはネイティブ解像度に対してDLSSベースのアンチエイリアシングを行なう設定であるため、増加した負荷によってGPUのボトルネックが生じたためだ。
DLSS 3によるフレーム生成を行なった場合、GeForce RTX 4080は全ての画面解像度で100fps以上のフレームレートを記録。フルHDとWQHDではGeForce RTX 4090を約2%下回り、4Kでは約21%下回っている。CPUボトルネックの壁を超えてフレームレートを向上させられるのはDLSS 3の魅力であり、それはGeForce RTX 4080でも変わらない。
Forza Horizon 5
Forza Horizon 5では、画質プリセットを「エクストリーム」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 4080は、GeForce RTX 4090を4~18%下回り、GeForce RTX 3080を32~46%上回った。
DIRT 5
DIRT 5では、画質プリセットを「Ultra High」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。全ての条件でレイトレーシング(Raytraced Vehicle Shadows)を有効にしている。
GeForce RTX 4080は、GeForce RTX 4090を19~29%下回り、GeForce RTX 3080を44~55%上回った。
フォートナイト
フォートナイトでは、グラフィックプリセット「最高」をベースに、レイトレーシングとDLSSの有無による3パターンの設定で、フルHD~4Kまでの画面解像度の平均フレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIはDirectX 12で、結果は画面解像度ごとにまとめている。
レイトレーシングとDLSSを無効にした際のGeForce RTX 4080は、フルHDで276.4fps、WQHDで213.3fps、4Kで114.5fpsを記録。GeForce RTX 4090を7~22%下回り、GeForce RTX 3080を25~41%上回った。
レイトレーシングを最高品質で有効にした場合、GeForce RTX 4080はフルHDで127.8fps、WQHDで79.3fps、4Kで37.7fpsを記録。GeForce RTX 4090を17~32%下回り、GeForce RTX 3080を56~59%上回った。
DLSSとレイトレーシングを有効にした際のGeForce RTX 4080は、フルHDで163.0fps、WQHDで132.9fps、4Kで106.9fpsを記録。GeForce RTX 4090を7~21%下回り、GeForce RTX 3080を24~55%上回った。
エーペックスレジェンズ
エーペックスレジェンズでは、描画設定を可能な限り高く設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。
GeForce RTX 4080は、フルHDで280.7fps、WQHDで254.9fps、4Kで182.7fpsを記録。GeForce RTX 4090を6~25%下回り、GeForce RTX 3080を29~48%上回った。
オーバーウォッチ 2
オーバーウォッチ 2では、描画品質をもっとも高い「エピック」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fps。
GeForce RTX 4080は、フルHDで422.6fps、WQHDで315.0fps、4Kで167.5fpsを記録。GeForce RTX 4090を21~31%下回り、GeForce RTX 3080を33~54%上回った。
アサシン クリード ヴァルハラ
アサシン クリード ヴァルハラでは、画質プリセットを「最高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 4080は、フルHDで189fps、WQHDで153fps、4Kで95fpsを記録。GeForce RTX 4090を7~22%下回り、GeForce RTX 3080を32~37%上回った。
モンスターハンターライズ:サンブレイク
モンスターハンターライズ:サンブレイクでは、画質プリセットを「高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。
Ryzen 7700XにDDR5-6000メモリを組み合わせた今回の環境では、210fps前後でCPU側のボトルネックが生じているようで、WQHD以下ではGeForce RTX 4080と比較用GPUがかなり近いフレームレートとなっている。
4KではGPU性能の差がフレームレートに反映されており、GeForce RTX 4080はGeForce RTX 4090を約25%下回り、GeForce RTX 3080を約32%上回っている。
エルデンリング
エルデンリングでは、画質プリセットを「最高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。ゲームの上限フレームレートは60fpsで、自動描画調整は無効にしている。
結果はグラフを見れば一目瞭然で、今回テストした全てのGPUは4Kでも上限フレームレートの60fpsに張り付いているため、パフォーマンスに差はつかなかった。
Blender Benchmark 3.1.0
Blender Benchmark 3.1.0では、標準で用意されている3つのシーン(monster、Junkshop、classroom)をテストした。テストに用いたBlenderのバージョンは「3.3.0」。
GeForce RTX 4080はGeForce RTX 4090を23~25%下回り、GeForce RTX 3080を54~92%上回った。
システムの消費電力とワットパフォーマンス
ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。
アイドル時消費電力で104.1Wを記録したGeForce RTX 4080は、100.1WのGeForce RTX 3080に次ぐ2番手の結果で、GeForce RTX 4090の117.4Wより13Wほど低い数値だった。
ベンチマーク実行中にGeForce RTX 4080が記録した平均消費電力は269.7~445.7Wで、これはGeForce RTX 3080の449.8~489.8Wや、GeForce RTX 4090の281.7~601.7Wを下回り、全てのテストでもっとも低い消費電力となっている。
なお、60fpsで各GPUのパフォーマンスが頭打ちになっていたエルデンリング実行中の消費電力は、GeForce RTX 40シリーズが300W未満であるのに対し、GeForce RTX 3080は平均474.6Wを記録している。GPU的に余裕のある状況では省電力機能が作動し、無駄な電力を消費しないように動作していることが伺える。
ベンチマーク実行中のシステム平均消費電力で、ベンチマークスコアや平均フレームレートを割ることによって求めた「ワットパフォーマンス」をまとめてみた。
ワットパフォーマンスについては、GeForce RTX 4080とGeForce RTX 4090はテストによって優劣が入れ替わる程度に僅差だが、どちらもGeForce RTX 3080より明確に高いことが見てとれる。
ワットパフォーマンスの差を分かりやすくするため、GeForce RTX 3080を基準に指数化したグラフをみると、GeForce RTX 4080はGeForce RTX 3080の1.5~1.7倍程度のワットパフォーマンスを実現していることが分かる。
ベンチマーク実行中のモニタリングデータ
モニタリングソフトのHWiNFO64 Pro v7.32を使って取得した、FINAL FANTASY XVベンチマーク(4K/高品質)実行中のモニタリングデータから、GPU温度などをまとめてみた。
GeForce RTX 4080のGPU温度は最大61.0℃(平均57.2℃)、メモリ温度は最大68.0℃(平均62.9℃)で、サーマルスロットリングが作動した様子は見られない。GPU消費電力も最大306.2W(平均281.1W)で、電力リミットの320W未満で動作しており、GPUクロックも終始2,800MHz前後を維持している。
上位モデルとの差は大きいものの、それでも従来のハイエンドを圧倒できるGeForce RTX 4080
GeForce RTX 4080のパフォーマンスは、先に登場したGeForce RTX 4090より3割ほど低いものであり、ラインナップ上で隣接するモデルとしては大きな差が存在する。
ただ、それでも従来のハイエンドGPUであるGeForce RTX 3080を3~5割ほど上回る素晴らしいゲーミング性能を備えており、それに見合う16GBのVRAMを搭載したGeForce RTX 4080は、新世代のハイエンドGPUと呼ぶに相応しいGPUだ。
ゲーミング性能に優れたIntelとAMDの新CPUの登場や、DLSS 3に正式対応するゲームタイトルが登場してきたことで、GeForce RTX 4080が優れたパフォーマンスを発揮できる環境が整いつつある。ゲーミングPCの新調やアップグレードを検討しているパワーゲーマーにとって、GeForce RTX 4080はGeForce RTX 4090とともに検討すべきGPUの1つとなるだろう。
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