タコライスがでかい(デジタルリマスター)

デイリーポータルZ

タコスとライスでタコライス。

タコスの具をご飯に載せたタコライスは沖縄で生まれたメニューだ。基地に住むアメリカ人を相手に商売をしていたタコス屋さんが考え出したといわれている。

そのタコライスの発祥の地として有名なのが沖縄本島北部にある金武(きん)町。今回ここタコライスの聖地金武町で、なにやらでかいタコライスを作ることになったというので食べに行ってきた。驚愕のでかさだった。

2007年2月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

独特の雰囲気です

アメリカ軍基地を有する金武町では商店の看板が当たり前のように英語だ。町にアメリカ人が多いこともあってか雰囲気も明らかに他の地域とは違う。国境の町、みたいな感じだ。

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商店街と道を挟んですぐ基地。
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元祖キングターコス。
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こちらも老舗のタコス屋さん。3ドル。
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シンプルな地図にもちゃんとタコライス。

金武町の案内地図にもちゃんとタコライスの歴史が書かれていた。タコライス愛だ。そしてこの案内地図、公園と交番、それに駐車場と基地しか書かれていない実にシンプルなものなのだが、拡大してみると。

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キングタコス(ただし手書き)。

老舗のタコス屋「キングタコス」の位置がちゃんと書き込まれていた。今では沖縄中にいくつもの支店を持つキングタコスだが、1号店はここ金武町にあるのだ。それは確かに表示されていない方がおかしい。

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町のメガネ屋さん。もちろんドル。
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定食屋のメニューもやっぱりドル。
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町を歩けばアメリカ人。

 今回はここ金武町の商工会がタコライス発祥の地のプライドをかけて、とにかくでかいタコライスを作るのだという。そういえばアメリカ人向けのステーキハウスとか行くと、ビーチサンダルみたいなステーキが出てくるがそういう感じだろうか。これは期待せずにはいられない。

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ライブとビールケース

会場は先ほどの町内案内図でも表示のあった商店街の一角にある公園だ。敷地内ではアマチュアバンドの演奏や芸人さんの物まねショーなんかが行われていた。観客席がビールケースなのもアメリカンだ(ここにいると不思議なものはすべてアメリカンで納得してしまう)。

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ウッドストックみたいだ。

それにしてもどこかからずっといい匂いがしている。

そういえば公園に足を踏み入れた瞬間からすでにいろいろな匂いが混ざり合って立ち込めていた。そのうちの一つがこちら、でかい釜で調理されていた肉だ。

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給食室みたいな鍋で肉を炒める。

タコライスはご飯の上に味付けされたひき肉、チーズ、レタス、トマト等を載せる(タコは入っていない)。このでかい釜の肉は言うまでもなく今回作るタコライスの具だ。肉だけで120キロあるというからやばい。この人たちが考えていることは僕の予想をはるかに超えていた。

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ここがタコライス色に染まるわけだ。

そして準備されたタコライスフィールドがこちら。普通車なら3台くらいとめられそうだ。すでに多くの観客が今か今かと待ち構えていた。

準備は整った

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進行役のひな壇もやはりビールケース。

いよいよでかいタコライス作りが始まる。今回のイベントは金武町の観光・特産品全国展開支援事業の一環として計画された。1000人分のタコライスを作ってギネスに挑戦しようというものなのだ。来年の申請に向けて今回はその練習との位置づけらしい。よくわかんないからとにかく一回やってみよう、ということなんだと思う。

進行役の合図とともにフィールド内にご飯が運び込まれた。いよいよ始まるのだ。

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お釜からご飯がフィールドへ投入される。
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ご飯は全部で200キロ。

釜から炊き上がった米がフィールドに投入されると同時に、待ち構えていた作業係りの人たちがそれを均等にならしていく。衛生面を考えて全員ビニール手袋をつけてはいるが、なにせ炊きたてなのでそうとう熱いに違いない。

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熱い、熱い熱い。

すべてのご飯はものの10分くらいでタコフィールド全体にまんべんなく敷き詰められた。この状態ですでに圧巻だが、これから具を載せてタコライスに仕上げていくのだ。

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お米はすべて金武町で採れたもの。

ご飯の次はさっきからいい匂いを放ってきた肉の投入だ。肉の味付けは各店舗の「うちの味」を主張できる部分なのだが、今回は金武町商店街にある6店の専門店が協力して味付けを行っているという。まさに全町民一丸となってのタコライス作りなのだ。

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でかいタッパーをどさくさに紛れて差し出したくなる。

120キロの肉もご飯同様、非常に手際よくまんべんなく敷き詰められた。

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肉投入。
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きれいに敷き詰めていきます。

次、チーズ60キロ。肉の色がチーズに移らないようにと、ここで全員の手袋が新しいものに換えられた。細かい心遣いがうまくて美しいタコライスを仕上げるのだ。

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茶色に黄色が映えます。

確かに肉の茶色にチーズの黄色が美しい。荒野に咲いた可憐な花みたいだ。だけど匂いは肉とチーズですでにタコライス。係りの人がしきりに「まだ食べないでください」とアナウンスしていた。やっぱりみんな我慢ならんのだ。

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まだ食べちゃだめ。

50キロのレタスの投入。ここから先は一般市民が作業に加わる(衛生面などを考慮して、チーズまでは商工会の方々が行った)。大人から子供まで、みんなで力を合わせて美しく盛り付ける。

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レタスを敷き詰めて。

最後はトマト20キロだ。お店によっては肉が少なかったりトマトが入っていなかったりもするが、今回だけはどれをとってもたっぷりだからうれしい。

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トマトを載せたらいよいよ完成間近。
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姿を現したジャンボタコライス

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見事にできたタコライス。

そしてついに1000人分のタコライスが完成した。こうやって寄ってみると普通のタコライスにしか見えないが、引いてみるとどうだ。

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お花畑のようです。

全員で万歳三唱をしてジャンボタコライスの完成を祝った。総重量450キロ。アナウンスでは「おめでとうございます、たぶん世界最大のタコライスです」と繰り返していたが、確かにこれと比較できるタコライスは他にはないだろう。

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みんなでばんざーい。

いざ実食

一息ついたら全員で食べる。「間違いなく全員分ありますので心配しないでください」とアナウンスされているが、みんな我先にとタコライスに群がる。

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次々と分配されていきます。

僕も並んで1人前頂いた。ほとんど会場の全員に渡ったと思われた頃、まだフィールドには半分くらいのタコライスが残っていた。たぶん関係者は3日くらいタコライスだろう。

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子供もゲット。

みんなの手にタコライスが渡ったらビールケースに座って食べる。なんてすてきなイベントなんだろう。ちなみに今回のイベントは完全に無料だった。金武町は太っ腹だ。

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すてきなイベントです。

でかい、しかもうまい

あの会場ででかいタコライスを囲んだ時、全員が一つになれた気がしました。うつくしくまとめようとしてみましたが、ようするに1000人分のタコライス作りはとても楽しかったです。そしてなによりうまかった。来年はこれでギネスに申請するとのことなので、また参加したいと思っています。

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うんめー。

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