TikTok でオリジナル曲マーケティングに投資するブランドたち:96億回再生された #eyeslipsface キャンペーンも

DIGIDAY

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ブランドや小売業者は、TikTokによる「耳からの」マーケティングを進めている。

バイラル化を期待して、独自のTikTokサウンドを開発しはじめている企業もある。ペプシ(Pepsi)は10月4日、、楽曲「フットルース(Footloose)」の新規バージョンをリリースするため歌手で女優のクロイ・ベイリー氏とパートナーシップを組むことを発表し、TikTokユーザーに、このサウンドを使ったダンスチャレンジへの参加を呼びかけた。一方でアメリカンイーグル(American Eagle)とTikTokの歌手であるキャサリン・リー氏は、新学期キャンペーンの一環として、同氏の楽曲「パプニング・アゲイン(Happening Again)」のカスタムバージョンを作成するために手を組んだ。ピザハット(Pizza Hut)もまた、TikTokで700万人近いフォロワーを持つジョン・モス氏の協力により、デトロイトスタイルのピザの復活を祝うため、デトロイトにヒントを得たアンセム(賛歌)を制作した。

TikTokのサウンドは、プラットフォームの不可欠な部分だ。プラットフォーム上のバイラルなサウンド、たとえばハリー・スタイルズ氏の「アズ・イット・ワズ(As It Was)」や、クッキー・カワイイ氏の「バイブ(イフ・アイ・バック・イット・アップ)(Vibe(If I Back It Up))」は合計で360万以上の動画に使用されてきたが、ライセンスの問題で、各ブランドが必ずしもこれらのサウンドを使用できるわけではない。法的な問題を解決するため、小売業者はアーティストと提携し、TikTokでより多くの消費者にリーチするためのチャレンジを開始した。

サウンドのバイラル化

クリエイターがオリジナルサウンドを含む動画をTikTokにアップロードすると、ほかのユーザーは基本的に、そのサウンドを使用して自分たちの新しい動画を作成できる。より多くのユーザーがそのオリジナルサウンドを使用すると、サウンドがバイラル化する。ブランドにとっては、バイラルなサウンドによって知名度が得られ、多くのユーザーの「フォー・ユー(For You)」ページに到達する可能性が高くなる。一部の小売業者は、ユーザーがオリジナル動画に独自の改変を加えるよう働きかけるため、オリジナルサウンドとともにダンスチャレンジを開始した。

マーケティング企業のジ・インフルエンサー・マーケティング・ファクトリー(The Influencer Marketing Factory)の共同創設者でCEOを務めるアレッサンドロ・ボグリアーリ氏は次のように述べる。「TikTokのサウンドは当初から重要だった。アルゴリズムはうまく機能しているものを推進しようとするため、ブランドはこれらを実際に有効活用できる」。

オリジナルのサウンドや音楽を広告ツールとして使用するのは新しい試みではない。実際に、小売業者は、ブランドの認知や検討を促すために、キャッチーなコマーシャルソングをテレビやラジオで何十年にもわたって作り出してきた。しかしTikTokでは、マーケターはこのプラットフォームの短い動画形式や、変化し続けるトレンド、予測不能なアルゴリズムに適応する必要がある。

TikTokで楽曲を作るためにアーティストと提携するブランドの多くは、すでにうまくいっているものを再現しようと試みている。たとえば、アメリカンイーグルはペプシと同様に、アプリでいくらかの注目を集めた曲をリメイクしている。リー氏は同プラットフォームに40万人以上のフォロワーを抱えており、TikTokで曲の音源の一部をリリースし、ある動画は1000万回以上の再生回数を記録している。

しかし、このような方法を使用しても、曲が常に成功するわけではない。現在のところ、アメリカンイーグル版の曲を使用している動画は100本強しかない。

アルゴリズムをブランドにとってうまく機能させるための方法

専門家は、バイラルなTikTokのサウンドキャンペーンを作り出す決まった方法はないと語る。しかし、それによってもたらされ得る恩恵は、投資に見合うものだ。

たとえば、エルフコスメティクス(E.l.f. Cosmetics)は2019年にTikTokで、ホーラ・ファイシックスワン氏とソングライターのイル・ウェイノ氏による初のオリジナル曲「アイズ・リップス・フェイス(エルフ)(Eyes.Lips.Face.(e.l.f.))」をリリースした。「#eyeslipsface」キャンペーンは現在までにこのハッシュタグで96億回も再生され、この曲を使ったTikTokの動画は140万本に達している。ジェームズ・チャールズ氏やアディソン・レイ氏などのインフルエンサーや、リゾ氏などのセレブリティまでもが、このキャンペーンに参加してサウンドを使用した。

@avani eyes, lips, face, SAFE &lt3 #eyeslipsface #elfpartner #ad @elfyeah ♬ Eyes. Lips. Face. Safe. e.l.f. Cosmetics – elfyeah

「アイズ・リップス・フェイス」を使ったTikTok動画

エルフは2020年のインタビューで、同社が#eyeslipsfaceキャンペーンを推進するため有料広告を使用したと、グロッシー(Glossy)に語った。しかし、同社はそれに続く、2番目のオリジナル曲を使用した#elfvanishingactキャンペーンでは有料広告を使わなかった。バイラル化したキャンペーンの結果、同社のリップエクスフォリエーター、ジェントルピーリング・エクスフォリエーター、バイトサイズアイシャドウの売上が向上した。

エルフのCMOを務めるコリー・マーキソット氏はそのときにこう語った。「あのとき以来、当社の商品の多くがバイラル化してきた。当社はこれらの商品がキャンペーンでバイラル化するより前から追跡しており、キャンペーンでバイラル化してからは、商品の売上が2〜6倍、ときには8倍に達した」。

TikTokユーザーも、松原みき氏の「真夜中のドア~Stay With Me」など昔の曲を復活させてきた歴史がある。1984年の曲「フットルース」のペプシのバージョンは、そのようなノスタルジアを利用した試みといえるかもしれない。炭酸飲料の大手である同社は、この夏にアプリでバイラル化したフットルースのトレンドにヒントを得たと語る。

インフルエンサーマーケティング企業のインフルエンシャル(Influential)のCEOを務めるライアン・デタート氏は、小売業者が同アプリでサウンドマーケティングを使用していることについて、「コマーシャルソングの先祖返りであり、同時に新しいバージョンでもある」と話す。「多くのダンスは特定のサウンドとうまく合う。それが時代精神となり、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の機会となるためだ」。

予測不可能なアルゴリズム

クリエイター管理プラットフォームのグリン(Grin)のマーケティング担当バイスプレジデントを務めるアリ・ファザル氏は、ブランドや小売業者は、トレンドに乗る、または同アプリの若い客層にアピールしようと試みた結果、中核となる顧客を遠ざけてしまう結果になる可能性もあると語る。さらに、企業にはTikTokのトレンドを緻密に追うチームが必要だ。そうしなければ、時代遅れと思われる恐れがある。

「十分に動向を追っていなければ、サウンドを正しく使用できないだろう。作り出したコンテンツに本物らしさが感じられなくなる」と同氏は述べている。

同氏は、プラットフォームでのマーケティングキャンペーンが「あからさまにスポンサー付きの広告」であれば、多くのTikTokユーザーの共感を呼ばないと語る。

「TikTokとそのアルゴリズムの驚くべき点は、予測が不可能なことだ。このため、すべてのブランドは成功のため、非常に多種多様なクリエイター管理戦略を必要とする」と同氏は述べている。

エルフがバイラルになった機会を再現するのはいまだ困難だと、専門家は語る。同社の2番目のオリジナルサウンド「バニッシング・アクト(Vanishing Act)」も、その曲を使用した動画は630本ほどで、最初のリリースに比べると大きく見劣りする。それでも、小売業者は継続的な試みを行うだろうと、専門家は予測している。

インフルエンシャルのデタート氏は次のように述べている。「これらはますます一般的で不可欠のものになっていくだろう。反対方向に向かうことはあり得ない」。

[原文:Brands are investing in original sound marketing on TikTok] 著者:MARIA MONTEROS(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:)

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