シフトノブ・マウス
長距離トラックの運転手さんは運転席のインテリアにこだわりを持っている人が多い。長時間の移動である。自分好みの快適な空間作りに余念がないのだ。それは楽しく仕事をこなす為の工夫であり、パソコンに向かっている時間が長い僕たちにも応用出来るのではないだろうか。
自分のデスク周りをトラックの運転席風にデコレイトして、快適なパソコンライフを目指すのだ。
※2006年11月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
トラックの思い出
3年前の企画で「タマゴ大追跡」という記事を書いた。タマゴが産み落とされてからスーパーの店頭に並ぶまで、その過程に密着してトレーサビリティについて考えた。
その取材で、タマゴを運搬するトラックに同乗させていただいた。千葉さんという若者が運転するトラックの助手席に乗り、埼玉県内の出荷先をいくつかまわった。5時間ほどの移動中、千葉さんと色々な話をして過ごした。礼儀正しく仕事熱心な好青年であった。今でも元気に配送しているだろうか?
千葉さんの運転席はそれほど派手に飾られていなかったが、白い革製のハンドルカバーと水中花をあしらったシフトノブが印象的であった。夜を徹して長距離移動するトラックはもっと装飾に凝っていて、まるで自分の部屋みたいです。と千葉さんは言っていた。
今回は、その自分の部屋みたいな運転席に習い、会社のデスク周りを快適空間にしてみたい。
夜を徹するという部分では、長距離トラックもWebデザイナーも一緒である。
トラック用品を集める
ネットでトラック用品を専門に扱うお店を見つけた。兵庫県姫路市にあるトラックストップターンである。ネットショップも開いているので、めぼしい商品を選んで注文した。選んだ商品は以下である。
どうやら、「金華山」というブランドがトラック運転手さんたちの間では人気らしい。「トラック男たちが愛した」「変わらぬ価値がここにある」「男気を感じる」など「金華山」の売り文句がページ上で踊っていた。確かに購入した「金華山」の生地柄には独特の世界があり、これぞトラック運転席という趣がある。
そんな「金華山」やハイビスカスのシフトノブなど、トラック用のグッズをアレンジしてデスク周りに配置する。
インテリア関連の次に手配したのは、「音楽」である。
トラック運転手さん向けのラジオ番組「歌うヘッドライト ~コックピットのあなたへ~」がCD化されていたので購入した。1974年から2001年にかけて、深夜の3時から5時という時間帯で放送されていたたラジオ番組だ。
「北は北海道から南は沖縄まで、日本全国をカバーしてお送りする歌うヘッドライト。新旧の歌謡曲を中心に、道路情報、ドライブイン情報、留守番電話など今働いているあなたとともに過ごす生情報番組です」
という当時のオープニングナレーションもそのまま収録されているコンピレーションCDは、「初恋編」「季節の中で編」「雨に泣いてる…編」「雨の慕情編」などのコンセプト毎にリリースされていて、その中から僕が選んだのは「雨に泣いてる…編」。
ラインナップは、「星影のワルツ/千昌夫」「夜空/五木ひろし」といった演歌から、「前略、道の上より/一世風靡セピア」「キッスは目にして/ヴィーナス」といったポップス、さらには「少女人形/伊藤つかさ」「夢みてTRY/田中美奈子」というアイドル作品までと幅広い。
i-TuneでこのCDを聞きながら仕事をすれば、気分はもう、長距離トラックの運転手。
さあ、早いところインテリアを完成させよう。
デスク周りのBefore、After
上の写真がいつものデスク周りである。何の変哲もない面白みのないデスク周りだ。
ここをトラック用品で装飾する。
果たしてデスク周りはトラックの運転席ライクになるのか?
トラックの運転席というより昔の実家風になってしまった感は否めないが、装飾後のディテールを紹介しよう。
シフトノブ・オン・ザ・マウス
七色に光るレインボーマウスに、ハイビスカスのシフトノブを取り付けた。マウス上部のプラスチックにドリルで穴を開け裏からネジで止めている。
シフトノブでマウスを操作する事により、いつもよりダイナミックなマウスさばきが可能となった。
八代亜紀・オン・ザ・デスクトップ
パソコンの壁紙は、トラック運転手さんたちのアイドル、八代亜紀さんである。苦しくてくじけそうになっても、デスクトップにはいつだって八代亜紀さんがいる。
憧れの金華山と一緒に
トラック運転手たちが愛した「金華山」の布地を机に敷きつめた。ティッシュケースにも似たような柄の「金華山」を合わたので同化しているが、これが正解である。
全体的に暑苦しく見えるが、これから季節は冬に向かうのでちょうど良い。
肉体疲労時の栄養補給
夜を徹しての作業に備え、アリナミンVを箱買いしておいた。また、急な眠気にはブラックコーヒーで対抗する。眠いからといって、作業という名の高速道路を途中で降りる事は出来ないのだ。
周囲に対する気配り
僕たちは自分一人で仕事をしている訳ではないのだ。そこがトラックの運転手さんとは違うところである。周囲のスタッフを気遣い芳香剤を置いた。また、レースのカーテンを一枚挟むことで、プライベートな空間を作る事に成功した。スタッフに用事がある時は、カーテンをめくって声をかければいいのだ。
今夜もエンジン全開で
ガシッ!
ドラッグ・オーライ!
ドラッグ!!
ジャーンッ!
クリック。
※BGMは「星影のワルツ(千昌夫)」で。
トラックの運転席を真似てデスク周りを装飾してみたが、どうにも落ち着かない。職場環境に愛着を持ち自分なりに工夫する運転手さんたちの姿勢には見習うべきところがあるとは思う。しかし、インテリアには趣味趣向みたいなものがある訳で、「金華山」のテイストには中々馴染めそうにないのだ。
あと、演歌を聞きながらだと気が散って仕事になりません。気をつけましょう。