世界初、標準外径の光ファイバーで1.53Pbpsの伝送に成功。NICTが55モード多重にて 

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実験に成功した伝送システム

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は10月3日、世界で初めて、標準外径の光ファイバーで毎秒1.53ペタビット(Pbps)の大容量伝送実験に成功したと発表した。

 NICTネットワーク研究所のラーデマッハ・ゲオルグ・フレデリック主任研究員らのグループが、米ベル研究所、仏・蘭のプリズミアン、豪クイーンズランド大学と共同で実施した研究によるもの。NICTでは、増大し続ける通信量に対応すべく研究を進めており、近年では既存設備を利用して敷設可能な標準外径(国際規格で定められている、皮膜層の外径0.235~0.265mm)の新型光ファイバーの開発を行っている。

 現在広く普及している光ファイバーはシングルコア(光を通す「コア」と呼ばれる部分が1本)、シングルモード(コアの中の光の経路が1本)だが、これまでにNICTでは、シングルコア・15モードの光ファイバーや4コアの光ファイバーで、1Pbpsの伝送実験に成功している。

 ただし、標準外径の光ファイバーでは、増やせるコア数に限界がある。一方で、モード数を増やしたモード多重転送では、モードごとの伝搬特性の違いがあり信号品質の劣化や信号処理負担の増大が生じることから、15モードを超える大容量伝送実験は報告されていなかった。

 今回の実験では、標準外径でシングルコア、55モードの光ファイバーを使用。25.9kmの距離で1.53Pbpsでの伝送に成功した。

55モードの断面とモード伝搬のイメージ

伝送システムの概略図

 今回の実験は、従来から商用として使用されている波長帯域の「C帯」を使用し、情報を発信する光源側で「16QAM」という変調方式の184の波長を生成。受信側で分波を行い、コヒーレント受信機(光の強さと位相の両方に情報を乗せる「光コヒーレント伝送方式」の受信装置)で電気信号に変換したあと、光信号同士の干渉を除去するMIMO(Multi-Input-Multi-Output)処理を行った。

 プリズミアンのシングルコア・55モード、NICTのモード多重送受信技術、ベル研究所およびクイーンズランド大学の設計・製作による多重反射位相板方式のモード合波器/分波器を使用。NICTが伝送システムを構築して実験を行った。情報の密度は「周波数帯域当たりのビット数(ビット/秒/Hz)」で表されるが、以前の15モードでの伝送実験の3倍以上となる、332ビット/秒/Hzを記録したという。

標準外径による大容量伝送の比較

今回の成果と過去のNICTの成果との比較

 今回の実験結果の論文は、9月18日~22日に開催された第48回欧州光通信国際会議「ECOC 2022」で非常に高い評価を得て、最優秀ホットトピック論文として採択され、現地時間9月22日に発表された。

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