ヘリウム風船つきカメラ
ヘリウム風船にカメラをつけて飛ばしたい。そして鳥になった視点から町の写真を撮るのだ。
ちょっと視点が上がっただけで風景はだいぶ変わる。幼い頃、母親の背中から見える世界の違いに驚いたときのように、こんどは鳥の視点を体験してみたい。
夢っぽいことを言っちゃってますが、たまにはいいでしょ。
※2006年10月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
本当に浮くのか
夢の実現のためには、まずは地道な調査が必要だ。カメラ一台を浮かせるためにはいったいどれくらいの風船が必要になるのか。
量ってみると、ぼくがふだん撮影につかっているカメラの重さは約160gだった。
まずはヘリウム風船を1つふくらませてみて、その浮力を調べてみることにしよう。
ヘリウムを調達
風船の専門店へ行き、ヘリウムのボンベを買ってきた。中ぐらいの大きさの風船20個分で約1万円。決して安くない。
ヘリウムを入れると、風船が浮いた。
こう書くとあたりまえだけど、でも空中でものが浮くというのはやっぱり不思議なことだ。
たとえばものをさがそうとして手を離すと、風船が天井にのぼってしまってあわてる。こんなこと普通ない。ジュースを一口飲んでテーブルに置いたら、ジュースが浮いてしまった、というようなものだ。
いや、違うか。
風船1つぶんの浮力は
風船のひもの先に1円玉と10円玉をいくつか結び付けて、つりあう重さをさがすと、ちょうど14円で浮きも沈みもしなくなった。
1円玉は1g、10円玉は約4.5gなので、このヘリウム風船の浮力は約10gといったところのようだ。
浮かせたいカメラの重さは160gだったから、つまり風船16個でちょうどつりあうことになる。保険のために20個もふくらませれば十分だろう。
もくもくと作る
目安がついたので、あとは風船を量産していく。
ガスはボンベからシューシュー入ってくれるので、風船をふくらませること自体には時間はかからない。
ただ、手先がたいそう不器用なので、風船の口をしばり、ひもをむすぶだけで3分くらいかかってしまう。20個とすると約1時間だ。
ふくらましている間、こちらでお待ちください。
ぜんぶ膨らませるにはまだまだ時間がかかる。
できあがるまでの間、ヘリウム風船を使ったアイデア商品の紹介でちょっとだけお待ちください。
(このページは「ヘリウム風船にカメラをつける」の続きです。場面がいきなり変わっていますのでご注意ください)
ヘリウムを使った便利グッズ
じつはカメラ以外にヘリウム風船をつけても、それなりに便利なアイテムとなることが分かった。ここではそれをちょっとだけ紹介しよう。
グッズその1: 「ヘリウムペン」のご紹介
―大北さん、こんにちは。今日はちょっとお見せしたいものがあるんです。
「はい、何でしょう」
―このペンなんですが…。
「な、なんだこりゃ!」
―ヘリウムペンです。万年筆なんか重くて持てない!という人のために、逆に軽いペンはどうかと思いまして…。ちょっと使ってみていただけますか?
「浮いてて掴めませんよ…。」
―大丈夫、そのうち沈んできますから。
―いかがでしょう、書き心地は。
「…ほんとのこと言っていいですか?」
―ええ。
「ふだん気にしていなかったですが、意外とペンの重さを頼りにしてペン先を紙に押し付けていたんだなー、ということが分かりました。」
―つまり、書きにくいってことですね。
「あ、でも、ペンが紙の上をふらふら動いちゃうのは自動書記みたいで便利だなと思いました」
グッズその2: 「ヘリウム箸」のご紹介
次は、お箸にヘリウム風船をつけてみた。
箸より重いものを持ったことがない、などというが、このお箸はなんと0グラムだ。どれだけ箱入り娘向けの箸なんだ、といえる。
閑話休題
それでは風船の準備作業のほうに戻ります。
準備はできた
1時間半ほどかけて、ようやく20個分のヘリウム風船を作ることができた。
ひもの先にデジタルカメラをぶらさげて、浮くかどうか確かめてみる。
かろうじてではあるが、ちゃんと浮いている。
本当はあと数個風船をつけたかったのだけど、残念ながらここでヘリウムが底をついてしまった。とりあえずは浮いているこの状態で外へ出てみよう。
公園へ
ふだん歩いているまちなか、たとえば新宿や渋谷の街頭でこのヘリウムカメラを試せたらすごく楽しいにちがいないけど、それはさすがに危険だ。
人気のあまりない、近所の公園で試してみることにした。
広場のまんなかに行き、風船を放してみる。
浮力は本当にぎりぎりだったらしく、ちょっと横向きの風が吹いただけで風船は沈んでしまった。
それでも、風が止むか、あるいは上向きの風が吹くと、ふうせんは少しづつ上がっていく。
1分ほどで、風船は公園内の木の上のほうまで上昇した。
そしてこれがそのときの風船からの写真。
それなりにきれいな景色が見える。ふだんからこんな視点で空を散歩することができたら、さぞかし楽しいだろう。
軽い釣り糸といえども長くなると重さにひびくのか、木を超える以上の高さには風船はなかなかあがらないようだった。うまく上昇気流がくるともっと昇りそうになるが、こんどは風にあおられて木に糸がひっかかりそうにもなるため、糸を伸ばすのを躊躇してしまう。
よしとしましょう
やってみると、風船を上げること自体が変わったたこあげのようで面白かった。
ただ、本当のことをいえば、もっと高いところまで見たいとは思う。50m、100m、あるいは高層ビルくらいの高さまで上げられたら楽しいだろう。でも事故があってもいけないし、これくらいでひとまずはよしとしたい。
機会があれば、もっと広い場所で、装備をそろえて再挑戦したいなあと思います。