大阪出身者に「鶴橋に住んでました」と言うと、「ああ焼肉の!」と言われる。それほどに焼肉の匂いがするのが鶴橋駅の特徴だ。改札を出て迷路のように入り組んだ商店街を歩くと、濃厚なアジア感があるから、西日本一のコリアタウンは伊達じゃない。
どこか日本じゃないみたいな空気も漂う街なので、見慣れないものがあったとしても「まあ鶴橋だしな」と思ってしまう。ある意味、記者殺しの街でもあるが、先日、歩いていた時、そんな鶴橋の空気を持ってしてもスルーできない自販機に出会った。
・衝撃
北東に商店街を抜けた果て。千日前通りと大阪市道上新庄生野線が交わる大きい交差点にその自販機はある。夜になると、はす向かいのドミノピザと、パチンコ屋「123」が強烈な光を放つため、交差点の中でも影になる商店街側の一画。その闇の中、静かに佇んでいたのである……
鶴橋ポン酢自販機が。
【衝撃】アカンかったら金返してくれるらしい。
自動販売機でどうやって返金するのかはさて置き、その意気は天晴だ。しかし、こんなところにこんなものがあったとは。ここを通る時はドミノピザに気を取られてこっち側を気にしたことがなかったため、いつからあるのかもよく分からない。
・日本初
しかも、自動販売機の横面に書かれている文字によると、鶴橋ぽんずを販売する自販機は日本初なようだ。えっ、日本初なんだ凄い! ところで……
鶴橋ぽんずって何?
鶴橋に住んでたけど聞いたことがなかった。自販機にラインナップされた「鶴橋ぽんず(300ml750円、200ml450円)」のパッケージを見ても全くピンと来ない。凄い……のか?
・買ってみた
見れば見るほどに謎は深まるばかりの鶴橋ぽんず自販機。これ以上のことを知るためには、もはや、買ってみるしかないだろう。というわけで、300mlの瓶を購入してみたところ……
どうやら、鶴橋のてっちり屋『とらや』のぽんずのようだ。
住んでた頃は金がない学生だったのでフグ鍋なんて食べようと思ったこともなかったが、『とらや』の名前は確かに記憶にある。そのとらやが閉店した後、残ったのがこのぽんずなんだって。
・キレ味
味わってみると、甘さはなく酸っぱめの味。その上、ゆずとすだちの柑橘系の風味がビシッと効いてるので、後味が「スパーン!」と爽やかだ。
試しに豚しゃぶで使用してみたところ、その爽やかさが肉の味を引き締める。普段からゆずぽんずは愛用しているが、ここまで鋭いキレ味のものはあんまり食べたことがないかもしれない。
よって、酸っぱいぽんずが好きな人にはオススメ。ちなみに、私はぽんずはまろやか党なのだが、気がついたら使い切ってしまっていた。
でしゃばりすぎず素材の味を生かす上品さに趣味は違えど高級感が感じられる。公式サイトでは通販も行われているので、「ぽんずは酸っぱいほど良い」という人は一度ご賞味ください。