TikTokスターたちがいま次々参加する、ショート動画アプリ「Flip」の戦略とは?

DIGIDAY

アディソン・レイ氏は、7月27日、アイテムビューティ(Item Beauty)のまつ毛プライマーの1分間のモバイルビデオチュートリアルを行った。しかしこれはTikTokにいる8850万人の彼女のフォロワーに向けたものではなかったし、4010万人のインスタグラムのフォロワーへのリール動画でもなかった。彼女は最近フリップ(Flip)に参加した主要インフルエンサーのひとりなのだ。

主要な美容インフルエンサーが次々と参加

2019年にローンチし、6000万ドル(約80億円)のシリーズB資金を確保したばかりの美容ソーシャルコマースアプリであるフリップには、この1カ月で同プラットフォームの熱狂的な日常の美容ファンのなかに、主要な美容インフルエンサーが多数加わっている。レイ氏に続いて、ハイラム・ヤーブロ氏とソマー・レイ氏が、7月29日に初のフリップ動画を投稿した。それ以前には、昨年12月からフリップに投稿しているパトリック・スター氏、パトリック・ター氏、シャイラ・ミッチェル氏、エンジェル・メリノ氏、そして4カ月前に参加したアリエル・テハダ氏などのインフルエンサーがいる。

フリップの創業者でCEOのヌーア・アガ氏は「セレブリティに関してもっとも重要なのは、自分の名前やブランドを背負って何かを語りたい人たちを集めること」と話す。彼は、フリップにとって「独占性は戦略ではない、今日もそして今後も」と強調した。

自ブランドの製品を宣伝できる創業者カテゴリー

ユーザーの動画はすべて同プラットフォームを通じて購入したアイテムレビューなので、フリップはブランド創業者が自身の商品を宣伝できるように「創業者」カテゴリーを別に設けている。このプラットフォームのメガインフルエンサーの多くは、これまでのところ、その創業者カテゴリーに属して、自身のブランドを宣伝している。アガ氏の推定では、合計で30〜40人の創業者が現在このアプリ上で活動している。フリップのユーザー数は公表されていないが、今年に入ってからユーザー数は500%、トランザクション数は600%増加している。

インフルエンサーたちは、フリップと自分たちのマネージャーやエージェントとの話し合いの後にこのアプリに参加したが、参加や投稿に報酬は支払われていないとフリップのCCOピーター・ウィングソー氏は述べている。このプラットフォームに動画を投稿した個人は自動的に収益化され、ビュー数やレビューに基づいて、売れたアイテムに対する手数料を得ることができる。

プラットフォーム上で短い動画を作成することに加えて、すべてのインフルエンサーは8月と9月にフリップ上でライブストリームを行う予定だ。Facebookのようなプラットフォームがライブストリームショッピング機能を縮小している一方で、アガ氏いわく、ライブストリームは「我々の製品のコアとなる機能」だと述べている。

個人の共有によるユーザー増加を狙う

さらに多くの大物創業者がまもなくこのプラットフォームに登場するはずだと、フリップのチームは言う。

「これは、今後3〜4カ月のあいだに我々が参加してほしいと望んでいる、一連の大物セレブたちの始まりに過ぎない」とウィングソー氏。彼は名前の公表は避けたものの、セレブリティやインフルエンサーは別の方法でこのアプリと提携している。アバウト・フェイス(About-Face)の創業者ホールジー氏は、昨年12月にLAで開催されたフリップのローンチパーティで公式ホストを務めた。

これまでのところ、このプラットフォームでのインフルエンサーのフォロワーはまだ少ない。テハダ氏のフォロワー数は約1800人、レイ氏は322人のフォロワーで4万5000ビューの動画、ヤーブロ氏にはフォロワー数496人、最初の動画が4万8000ビュー近くを獲得している。ほかで獲得している膨大な数のフォロワーを活用して、フリップに誘導している人もいる。パトリック・ター氏とパトリック・スター氏は、フリップでのレビューをほかのプラットフォームで共有している。しかしアガ氏は、フリップではインフルエンサーよりも個人の共有によるユーザー増加に主眼を置いていると強調した。

「我々のユーザーの大半は、投稿を行って友人を招待してくれるほかのユーザーを通してやって来ている。本当に我々にはインフルエンサー戦略というものがないんだ」とアガ氏は述べた。

[原文:From Addison Rae to Hyram, TikTok stars head to short video app Flip]

LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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