自主制作映画っぽい映像を撮る

デイリーポータルZ

知人がマンションの一室を借りて事務所にしていた。

その事務所を訪れたときに、住人が自由に使える屋上を見せてもらった。

学校の屋上に似ていて、学生の頃に撮った映画を思い出した。

見ただけで若返る。いいな、ここ。ここはいいぞ。

ここでSFとか頭でっかちな映画を撮りたい。撮ろう。
 

ここがその屋上

「うお、ここで映画撮りたい!」と思った景色がこれ。

夏休みに集まって撮った景色だ
こちらが事務所を借りていたよしだともふみさん

なんだかんだデイリーによく登場するよしださんはもともと映画を撮っていたらしい。そのため今回の企画に快く協力してくれた。いっしょに過去の自分に折り合いをつけよう。

持っているスケッチブックは僕が描いて持たせたものである(後述する「自主映画あるある・理屈っぽいこと言いがち」のひとつ)。

ビデオカメラを手に入れ直した

撮影機材はminiDVテープのビデオカメラである。

知り合いがジャンク品を大量に買ったとFacebookに書いていたのでひとつもらった。お礼にクラフトビールを送った。高校生の僕にはない社会性である。

これで撮るだけで床の上をのたうち回りたくなる映像になる。

ほらね

機材もあるし場所もある。半日かけて自主映画っぽいシーンを目一杯入れた動画を撮った。あるあるを優先させたのでシーンごとに繋がりはないがモンタージュということにしたい。

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でもなんかそれっぽくなった。

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映像の解説・自主映画あるある

シーンの狙いをひとつひとつ紹介したい。

1.第1回監督作品って入れがち

この文字を入れた時点で満足だ。英語で “a Yuji Hayashi film” と入れてみようとしたが(こういう書き方80年代に流行らなかった?)、恥ずかしくて奥歯に銀紙があたったようなヒヤーッが来たので断念。 

こういうやつ

2.抽象的なシーン

自主制作映画といえば心象風景だ。魚がビチビチ跳ねたり、ネバネバした液体が流れたり、難しい漢字や倒れる人が突然出てくる。

たまたま一番早く来た米田さんにお願いした。赤い血はフエルトを使った。って書かなくても浮いてるから分かりますね。

そして米田さんは会議があるからと言って帰っていった。昼休みだったようだ。昼カラオケのように昼不条理をして帰った。

2.カンフー

高校生が学園祭で撮る映画といえばカンフーである。カンフーを入れたい派とアートシネマ派の折り合いがつかずどっちも入って作品は一層混迷を深める。

カンフーの衣装がなかったので空手着になった。

3.空中を浮きながら移動する

ビデオカメラ・8mmカメラを手にした90年代キッズが真っ先に撮るのがコマ撮り空中移動だ。

こういうことをしていた人は信頼できる

さっきインスタを検索したらひとりだけやっている子がいた。スマホの画面に指紋がつくぐらいの勢いでいいねを押した。

4.UFO

僕らが知っているUFOはこの画質だ。べつやくさんがデイリーの記事のために作った発泡スチロールのUFOもしっかりUFOである。 

16:9の横長の画角ではUFOではない。4Kなんてもってのほかだ
撮影のようす。iPhoneの写真だとUFOが作りものにしか見えない。

高解像度になって宇宙人は消えた。

怪獣だってリアリティがある(はじっこに手が見えていたとしても)
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5.あるものを見立てて使う

高校の学園祭でラジカセの取っ手をスロットルレバーとして使っているSF映画を見た。宇宙船に見立てた部屋で、手前に置いてあるラジカセの取っ手を倒して「発進!」と言っていたのだ。ラジカセにしか見えなかったが、そういうのも含めて自主映画だ。

今こそ我々も見習おう。

未知の惑星に到着した宇宙船から出たところ。階段室から出てきたところではない。

6.悪役はサングラス

学生映画に登場する悪役はだいたいサングラスである。NETFLIXのドラマも悪者はサングラスかけてるぐらいわかりやすくして欲しい。

しかも左のよしださんが笑ってる

7.簡単な合成

編集で分身できることに感動して、つい入れてしまう。 

柵と後ろのビルを合成の目印にしたことがわかる画

今回の映像では古賀さんが分身しているが会話が噛み合ってないのが味わい深い。後半、偉そうにしていた右側が急にお辞儀するところが白眉である。

8.エンドロールに変な名前のやつがいる

ニックネームのやつがいる。Special Thanksも入れがちだ。

文字のモサモサ具合は動画編集ソフトでは出ないので、ビデオにタイトルを入れる装置を買った。 

メルカリで500円。ケーブルのほうが高かった

このほか、ストーリーをナレーションですべて済ましてしまう、主演のやつがバイトで来ない、そもそも学園祭に間に合わないなどもあるあるだ。

あるあるというか、すべて自分の話である。

もっと恥ずかしいことがしたい

あるあるを言い訳にしながらも映像を作るのは恥ずかしさ7割、嬉しさ8割で10割にまるで収まらない体験だった。

これ以来、もっと恥ずかしいことしないとだめだね!などと口走っているが、傍からきくと変態性がすごい。

次回は泉重千代がザビエルに会うという高校生のときに撮った映画のリメイクでお会いしましょう。

フィルムカメラで撮った オフショット。これまた90年代

 

勝手な機材で取り合うのもあるあるですね。

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