【仕事のためのPCレビュー】コスパに優れたビジネスモバイル「MousePro-NB211H」 有線LAN搭載、USB給電、3画面対応の14インチモデル

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マウスコンピューター「MousePro-NB211H」

 マウスコンピューターのビジネスPCブランド「MousePro」から販売されている「MousePro-NB211H」は、軽量&薄型モバイルノートのエントリーモデルエントリーと言うだけに、Core i5を搭載しながら標準構成価格12万9580円からと低価格なのが魅力だ。

 仕事に使うモバイルノートPCを自分で選ぶBYODの時代においては、コストパフォーマンスの重要性も高まっている。MousePro-NB211Hは価格が魅力というだけではない。スリムさ、軽量さ、駆動時間などのモビリティを備え、その上でリモートワークを含め業務を潤滑に行えるパフォーマンスを魅力的な価格で実現したビジネスモバイルノートPCだ。

HDMI出力とUSB 3.1 Type-C端子を使えば3画面構成にできる

有線LANがそのまま利用できるのもポイントだ

USB PDで給電が受けられる。ちなみに、付属のACアダプターは専用の丸コネクタを使うもの

ビジネスPCとして十分な性能を持つCore i5-1135G7を搭載

 PCの価格において大きな要素は、搭載するCPU・GPUだ。

 モバイルノートPCの場合はCPUに内蔵されたGPU機能(統合GPUまたはiGPU)を利用するため、実質的にCPUが価格に対する大きな要因だ。もちろん、CPUの価格=パフォーマンスと言える。

 たとえば5万円以下の低価格PCでもモバイルノートPCをうたうモデルもあるが、そのCPUパフォーマンスでビジネスを戦えるのかと言えばノーだ。ビジネスPCのCPU選びで基準となるのが「5」のグレード。Intel製CPUで言えばCore i5だ。

 MousePro-NB211HのCPUはCore i5-1135G7。第11世代Coreの「5」グレードだ。「5」グレードとなると4コア8スレッドに対応しており、十分に高性能と言えるマルチスレッド性能を手にできる。

 統合GPUはメモリがシングルチャネル時はインテル UHD グラフィックス、デュアルチャネル時は従来のものからアーキテクチャを進化させ、高性能になったIntel Xe Graphics。標準構成はメモリがシングルチャネル(8GB)なので、インテル UHD グラフィックスとなる。

Intel第11世代Core i5-1135G7を採用

メモリーは標準で8GB。ただしSO-DIMM×1枚構成なのでシングルチャネル動作だ。予算に余裕があれば16GB以上にカスタマイズし、デュアルチャネルモードで性能を引き出したい

ビジネスPCとして満足できるベンチマーク結果

 標準的なベンチマークでMousePro-NB211Hのパフォーマンスを紹介しておこう。

 以下のベンチマークは、標準仕様(Core i5-1135G7/メモリ8GB[シングルチャネル]/SSD 256GB/Wi-Fi 5)のWindows 11 Pro搭載機をお借りして、電源モードを「最適なパフォーマンス」にして計測したものだ。

 まずはCPU性能をCINEBENCH R23で計測した。

 CPU(Multi Core)のスコアは4704pts、CPU(Single Core)のスコアは1348ptsだ。クロックを抑えたモバイル向け、8スレッド対応のCore i5-1135G7なりのマルチスレッドスコアであり、ビジネス用途にとって不足のない性能と言えるだろう。

 また、シングルスレッド性能は旧世代のモバイル向けCoreと比べて向上している。処理実行時ももたつきのない快適なレスポンスが得られる。

CINEBENCH R23のスコア

 グラフィックス性能を求められる製品ではないが、メジャーな3Dベンチマークである3DMarkのスコアを紹介しておこう。代表的な4つのシナリオのスコアを見ると、DirectX 12のTime Spyが937point、DirectX 12の軽量テストにあたるNight Raidが8396point、DirectX 11のFire Strikeが1973point、Vulcanを用いたクロスプラットフォームテストのWild Lifeが5619pointという結果だ。

 相当に軽量な3Dゲームなら息抜きとして楽しめるが、本格的な3Dゲームを楽しむための性能ではない。

3DMark-Time Spy

3DMark-Night Raid

3DMark-Fire Strike

3DMark-Wild Life

 ストレージパフォーマンスを計測しよう。評価機に搭載されていたのはKingstonのOEMモデルと思われる「OM8PD3256B」。PCI Express接続でNVMe対応であることは分かるが、接続バス幅の情報は得られなかった。

 CrystalDiskMark 8.0.4で計測したところ、シーケンシャルリードが2.5GB/s、同ライトが1.28GB/sと、十分な性能だった。PCI Express 3.0 x4接続と思われるパフォーマンスだ。

CrystalDiskInfoから見た内蔵ストレージ情報

CrystalDiskMarkで計測した内蔵ストレージの転送速度

 こうした各ベンチマークのスコアを踏まえつつ、システム総合ではどのようなパフォーマンスなのか、PCMark 10のスコアを紹介しよう。総合スコアは4618point。モバイルノートPCにとって総合スコアはあまり意味がないので、各シナリオのスコアで得手不得手を見ておこう。

PCMark 10(Standard)のスコア

 ホーム用途シナリオのEssentialsは8876point。M.2 NVMe SSDを採用しているためApp Start-upが高スコアで、Video Conferencing(ビデオ会議)やWeb Browsing(ウェブブラウジング)のスコアも十分だ。ビジネス用途シナリオのProductivityは6249pointで、Spreadsheets(表計算)、Writing(文書作成)といった一般的なビジネス用途には十分なスコアだ。

 コンテンツ制作シナリオのDigital Content Creationは4818pointと、ほかのシナリオと比べると低い。ただしPhoto Editingが8181pointと高いので、ちょっとした写真補正を頼まれた際でも安心だ。

 映像編集を行うVideo Editingは4582pointで、CPU内蔵のハードウェアエンコーダーを利用できる点では簡単な映像編集作業も可能だが、本格的な用途には向かない。また、3DMarkの通り統合GPUの3D性能は高性能とは言えず、3DレンダリングのRendering and Visualizationは2984pointと低い。

 このように、MousePro-NB211Hのパフォーマンスはビジネスモバイルのメインストリーム層をターゲットにしている。ビジネス文書作成が快適に行え、ほかのアプリケーションを実行しながらのビデオ会議も余裕だ。プレゼンテーション資料に挿し込む写真、映像コンテンツも簡単な加工なら不自由なく行えるといったところのパフォーマンスといえる。

14型ディスプレイながら軽さ、コンパクトさを実現

 サイズや重量などモビリティについて紹介していこう。モバイルノートPCではディスプレイのサイズで、おおまかなサイズ感がつかめる。

 MousePro-NB211Hは14型ディスプレイ搭載モデルだ。一般的なモバイルノートが13.3型と言われるため、それらと比べると少し大画面だが、ディスプレイベゼルのスリム(狭額縁)化が進む昨今では14型を採用するモデルが増えてきている。

 MousePro-NB211Hも狭額縁ベゼル採用モデル。本体サイズは324.9×219.5×19.7mm(幅×奥行×厚さ)を実現しており、まだベゼルが太かった時代の13.3型モバイルノートPCと比べると、同じか少し小さいくらいのサイズ感だ。

専有面積は324.9×219.5mm

厚さは19.7mm。実際にはゴム脚部の厚みを加えて2cmを若干上回る

 ディスプレイ解像度は標準的な1920×1080ドット(フルHD)だ。14型というモバイルとしてはやや大きなパネルを採用しているので、テキストが小さすぎるといったこともない。

 パネル駆動方式は言及されていないが、ビジネス用途に絞ったスペックだと感じた。たとえば最大輝度は若干控え目で、斜めからの視点では光量が落ちる(色みの変化は小さい)。

 ホーム用途・エンターテインメント用途のノートPCでは、もっと明るく、視野角の広いパネルを採用しているモデルもある。このあたりは個人の好みにもなるが、ビジネス視点に立てば、「ギラギラせず目にやさしい」「のぞき見防止にもなる」というメリットがあるといえる。

ディスプレイは最大輝度がやや控え目で、浅い角度から見るとやや画面が暗くなる

ディスプレイは180°開くことができる

天板部はフラットでシンプル

 重量は約1.35kg。軽さは加工技術や使用素材に左右され、価格に反映される。14型というやや大きめのディスプレイを搭載しながらの1.35kg、さらにこの価格を考えれば良好なバランスと言えるだろう。

 そして肝心のバッテリー駆動時間。公称バッテリー駆動時間はJEITA測定法2.0で約10時間。ただしJEITA測定法2.0は同じ条件で異なる製品を比べる際の目安という意味合いが強い。実際の利用に近いPCMark 10のバッテリーベンチマークを用いて計測してみよう。

 ここではPCMark 10 ProfessionalにあるBattery Benchmarkの、Modern Officeシナリオを利用してみた。オフィスソフトを使い、ビジネスシーンを想定したワークフローをバッテリーが切れるまで繰り返し実行(途中アイドル時間も挟む)するといった内容だ。電源モード「トップクラスの電力効率」での計測結果は9時間53分。実際のビジネスシーンでもスペックどおり10時間駆動が期待できる。

PCMark 10のバッテリーテストでは9時間53分という結果 ※電源モード「トップクラスの電力効率」。そのほか液晶輝度50%、Wi-Fiオン(接続)で計測

標準OSはWindows 10 Pro、11 Proのダウングレード権を利用

 標準OSはWindows 10 Pro 64bit版(Windows 11 Proのダウングレード権を利用、ただし検証機はWindows 11 Proで各種検証を行った)。オプションにWindows 11 Home(-2640円)/Pro(0円)が用意されている。

 今のタイミングで買うPCで古いOSを使うことは、セキュリティ上の観点から基本的に推奨されない。しかし、社内リソース不足、基幹システムの更新が間に合っていないなどの理由でWindows 10を使い続けている企業も多いだろう。Windows 10 Proは現時点でまだサポート期間内なので、当面の間、Windows 10ベースの社内システムと整合性をとるのに都合がよい。

MousePro-NB211Hの製品ページ(BTOの項目の一部)

 なお、肝心なところだが、Home版にはダウングレード権が付与されない。もちろんHome向けOSをビジネスに利用することも推奨されないので、あくまでMousePro-NB211Hを家庭向けに利用する際のオプションとして考えるのがよい。

 WindowsのHomeエディションではなくProエディションで利用できる機能としては、ドメイン参加、グループポリシー管理など、企業によっては必須の設定や、BitLockerによるドライブの暗号化、WIP(Windows情報保護)といったセキュリティの向上、リモートデスクトップやHyper-V、そしてWindows Update自動更新の停止や更新タイミングの手動設定できる点が挙げられる。

まとめ

 MousePro-NB211Hは、実用性もコストパフォーマンスも、どちらも求めるビジネスユーザーに適しているだろう。リモートワークで求められる機能やパフォーマンスを備え、モバイルでも長時間駆動や軽さ、スリムさを実現している。これらを実現しながら価格を抑えているため、デザインとしては非常にシンプルだ。ただしシンプルであるからこそ好まれるシーンもあるだろう。

 今回のレビューでMousePro-NB211Hのポイントと思われるのは、標準でWindowsのProエディションが搭載されている点だ。

 ビジネス用途で検討しているのにBTOでのオーダー時にProエディションの選択を忘れ、いざ社内システムに接続しようとした際に慌てるといったことがない。あまりOSやPCに詳しくない場合でも、BTOカスタマイズがよく分かっていなかったとしても、MousePro-NB211Hなら大丈夫だ。安心して購入できるビジネスモバイルノートPCと言えるだろう。

MousePro-NB211H(標準構成) スペック表
項目 内容
CPU Intel Core i5-1135G7(4C8T)
メモリー DDR4-3200 8GB(DIMM2スロット、空き1スロット)
グラフィックス シングルチャネル:インテル UHD グラフィックス、デュアルチャネル:インテル Xe グラフィックス
ストレージ M.2 NVMe SSD 256GB
ディスプレイ 14型、1920×1080ドット、ノングレア
USB USB 3.1 Type-A×1、USB 3.1 Type-C×1、USB 2.0×1
映像出力 最大3画面出力(HDMI×1、USB 3.1 Type-C×1)
LAN 1000BASE-T×1、Wi-Fi 5(最大433Mbps)
その他のインターフェース オーディオコンボジャック×1、microSDカードリーダー×1、セキュリティロックスロット×1
Webカメラ 100万画素×1
マイク デュアルアレイ
スピーカー ステレオ
セキュリティ 指紋認証センサー
キーボード 日本語88キー(キーピッチ19.1mm、ストローク1.2mm)
バッテリー駆動時間 約10時間
本体サイズ 324.9×219.5×19.7mm
本体重量 約1.35kg
OS Windows 10 Pro 64bit(Windows 11 Proのダウングレード権を行使)
価格 標準構成:12万9580円~/Office 2021搭載版:15万7080円~

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