暑さだけじゃない、「突発的な干ばつ」が猛威を振るっている

GIZMODO

これまた厄介な…。

この夏、全米各地が観測史上最高気温によるダメージを受けていく中で、暑さがもたらす新たな脅威「突発的な干ばつ」が問題を起こしているようです。

突発的な干ばつも通常の干ばつと同じように降雨量が少ないことが原因ですが、異なるのは短期間で発生するという点です。アメリカ国立気象局気象予測センターの気象学者Brad Pugh氏は、突発的な干ばつは、まったくのゼロかそれに近い雨量が異常に高い気温と組み合わさることで引き起こされ、状況を急変させると述べています。

「突発的な干ばつは暖候期に起きますから、春の終わりから夏を経て初秋に当たりますね…その深刻な影響は概して、農業と畜産にかかわるものです」と米Gizmodoに語っていました。

オレゴン州の気候学者Larry O’Neill氏によると、米国内では突発的な干ばつの条件が揃う頻度が増えつつあるそう。「7~10日間の長期的もしくは猛烈な熱波が、ゼロかそれに近い降雨量と結びつけば、大抵は突発的な干ばつを生じさせるには十分」だと米Gizmodoへのメールに書いていました。「突発的な干ばつは、突然で重大な影響を及ぼします」とのこと。

予測不可能な食糧供給の危機

同氏は、気候危機によって降水量の変化と暑くて長期的な熱波の可能性が高まるにつれ、合衆国のこれからの夏はさらに多くの突発的な干ばつに見舞われるかもしれないと説明。このような必要条件は生育期の間に生じるため、米国の食糧供給を脅かします

オクラホマ州とカンザス州など米国中部の各州は、今まさに突発的な干ばつに襲われているところです。北東部も特に酷暑である今年の夏の間は影響を受けている模様。マサチューセッツ州では5月初旬の段階ではどこも干ばつ状態だという報告はなかったのに、7月中旬の時点で州の80%が“中程度”から“深刻”な干ばつを経験する事態に…。同州アンドーバーといった地域の農場では、クリスマス・ツリーのような冬に販売されるはずの生産物が、暑さと乾燥のせいで枯れてしまったことも。ニュージャージー州の各地も突発的な干ばつに見舞われていて、住民らは貯水量を必要な用途のために残して置くため芝生への水やりを控えるよう要請されていると、NJ Spotlight Newsは報じています。

Pugh氏によると、この現象の長期的な影響は、突発的な干ばつの長さに左右されるそう。「(いくつかの)突発的な干ばつは、干ばつが急に始まってから何カ月も続いてしまうかもしれません。他方で急激な干ばつの到来の後に豪雨か雨の多いパターンへと一転することもあります」と言いました。「天候次第で、本当にさまざまなんです」

Pugh氏が記憶している突発的な干ばつで最も壊滅的だったのは、2017年7月にノース・ダコタ州とサウス・ダゴタ州に被害をもたらしたものです。そのたった2カ月前の2017年5月、その地方に干ばつの兆候は全くなかったとNOAA(アメリカ海洋大気庁)は報じています。夏の暑さが到来するいなや、乾燥した状態が26億ドル以上に相当する農業上の損害を引き起こしたのです。

つまり突発的な干ばつは備えるのがずっと難しく、農業的な被害を食い止めるのが難しいということ。現在、アメリカ西部の給水に影響している長期的な干ばつは、NOAAが今年の初めに予測していたものです。同庁は3月に、全米の60%が何らかの形で干ばつの状態を経験すると述べたレポートを公開していました。カリフォルニア州では、特に同州シエラネバダ山脈の雪塊量が歴史的に低かったこともあり、干ばつが起こりそうだと認識していました。突発的な干ばつはもっとトリッキーなのです。

「我々には突発的な干ばつの進展を警告するモニタリングと予測する能力が欠けている。突発的な干ばつは急激に生じるので、干ばつ絡みの水理学的、農業的そして社会生態学的な悪影響を見るまでその渦中にいると分からない」とO’Neil氏は語っていました。

Source: NIDIS Drought.gov(1, 2, 3,), Successful Farming, U.S. Drought Monitor, NBC10 Boston, NJ Spotlight News,

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