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アクティブノイズキャンセリング機能=ANC。音楽だけでなく、リモート会議でもヘッドホン/イヤホンが活躍する現代では、もはや当たり前かつ必須の機能です。今の段階でも音のアイソレーションは十分な気がしますが、ANCにはもっと先があるのだとか。ワシントン大学の研究チームが、不要な背景音を今よりもっと消去する技術をデモしています。
左右の時間差を判別した高度なノイズ除去
最高峰の呼び声高いソニー WF-1000XM4や、Apple(アップル)AirPods Maxなどで採用されているANCでは、低音(飛行機のエンジン音や地下鉄の音など)の除去は比較的得意なものの、カフェやオフィスでの周辺の人の声などはまだ限界があります。もちろん音楽を聴くにはほぼ気にならない程度ではありますが、会議など人と会話する場合は、やはり相手にとって自分の声は聴きづらい状況。
ワシントン大学研究チームが開発しているイヤホン「ClearBuds」は、コロナ禍で生まれたプロダクト。チームの研究員ふたりは実はルームメイトで、自粛期間中にお互い邪魔にならないようにリモートワークする上でANCのヒントを得たのだとか。
Bluetoothを利用したスマホ&イヤホンの組み合わせだと、スマホとイヤホンの片方が接続され、そのイヤホンからもうひとつのイヤホンにデータを送ります。これだとスマホに送るデータが限られてしまうため、イヤホンは自身に搭載されたハードでノイキャンプロセスを行います。
一方、ClearBudsは独自のBluetooth接続プロトコルを用いることで、左右のイヤホンそれぞれがスマホと接続し、それぞれがANCマイクで拾った音をスマホに送ることができます。こうして左右それぞれが収音することで、音の方向を見極めることができます。たとえば自室でリモート会議中、ルームメイトがリビングで掃除機をかけているとします。ユーザーの声は左右イヤホンに同時に届くのに対し、掃除機の音は(リビングが部屋の右側なら)左のイヤホンより右のイヤホンに先に届きます。このミリ秒という音の伝達スピードの差を利用して、より賢く音を聴き分けることで不要な音を見極め除去することができるのです。ちなみにClearBudsのANC処理にかかる時間は20ミリ秒。右と左で異なる方向から音が届くこと、イヤホンよりも性能の高いスマホで雑音処理することで、一歩先行くANCを実現しています。
気になることを挙げるとすれば、イヤホンをペアで使用しないとダメなこと。スマートウォッチではなく、スマートフォンと接続する必要があることでしょうか。ただ、開発中&コンセプト段階のプロダクトなので、まだまだ改善の余地はあって当然。
ClearBudsは、オレゴン州ポートランドで6月末に開催されたACM MobiSys2022でデモが行われました。
Source: ACM