兵庫県尼崎市は6月23日、同市の業務委託先事業者の関係社員が、全市民46万517人分の住民基本台帳の情報を保存したUSBメモリーを紛失したと発表した。当該のUSBメモリーはパスワードが設定されたうえで情報は暗号化されており、発表時点で外部への情報漏えいは確認されていないという。
住民税非課税世帯等に対する臨時給付金支給事務の受託者であるBIPROGY株式会社関西支社の関係社員が、6月21日、大阪府吹田市のコールセンターでのデータ移管作業のために、必要な情報を記録したUSBメモリーをかばんに入れ、尼崎市市政情報センターから持ち出した。受託者は、委託者の事業所外でのデータ処理の許可は尼崎市から得ていたものの、関係社員個人が電子記録媒体(USBメモリー)で個人情報をデータを運搬することについては、許可を得ていなかったという。
USBメモリーを持ち出した関係社員は、データ移管作業終了後に飲食店に立ち寄り、帰宅時に、当該のUSBメモリーを入れていたかばんの紛失が判明した。その後、かばんを捜索したが発見できなかったため、6月22日に警察に遺失物届を提出。同日15時45分ごろに、BIPROGYから尼崎市に紛失について電話連絡が行われた。
当該のUSBメモリーに保存されていた情報は、統一コード、氏名、郵便番号、住所、生年月日、性別、住民となった年月日などを含む、全市民46万517人分の住民基本台帳の情報。
そのほか、住民税に関わる税情報が36万573件(統一コード、住民税の均等割額)。非課税世帯等臨時特別給付金の対象世帯情報が令和3年度分で7万4767世帯分、令和4年度分で7949世帯分(世帯主の統一コード、申請書番号、申請受付日、申請書不達理由、振込済処理日時など)。
さらに、生活保護受給世帯1万6765件と児童手当受給世帯6万9261件の口座情報も含まれる。この情報には、統一コード、金融機関コード、支店コード、口座区分、口座番号、口座名義を含むという。
尼崎市では、次の3点を本事案の原因としている。
- 受託者は、受託者の関係社員個人が電子記録媒体で個人情報を運搬するという具体的方法についての許可を尼崎市から得ていなかった。また、尼崎市は受託者に対して、持ち出す際に許可を得るべき旨を徹底していなかったこと
- 個人情報を記録した電子記録媒体を、運送会社のセキュリティ便などを使用することなく、個人が委託者の事業者外に持ち歩いたこと
- データ移管作業の終了後、その場で速やかにUSBメモリー内のデータの消去を行わなかった。また、作業の終了後に速やかに帰宅することなく、飲食店に立ちより、食事や飲酒をした結果、カバンを紛失したこと
尼崎市では、個人情報の漏えいに不安がある人は、専用ダイヤルまで問い合わせてほしいとしている。また、セキュリティマネジメントを徹底して信頼回復に務めるとともに、本件の経過をウェブサイトで知らせるとしている。