グループ・ナインとボックス・メディア、 クリエイティブスタジオ 統合の背景:「豊富なキットを広告主に提案できる」

DIGIDAY

ボックス・メディア(Vox Media)とグループ・ナイン(Group Nine)のブランデッドコンテンツスタジオが合併して4カ月。新たに誕生したボックス・クリエイティブ(Vox Creative)のトップを務めるシニアバイスプレジデントのヨセフ・ジョンソン氏とオーディオ担当エグゼクティブプロデューサーのアンヌ・スブラマニアン氏によれば、ボックス・クリエイティブではさまざまなポッドキャスト広告フォーマットを駆使し、広告主のキャンペーンに音声広告を統合したり、すでにポッドキャストを活用している広告主にアップセルを行ったりしているという。

ホストやプロデューサーが読む標準的なポッドキャスト広告に加えて、ボックス・クリエイティブは3種類の主要なポッドキャスト広告を提供している。1~5分のカスタムブランデッドセグメント、カスタムシリーズスポンサーシップ(広告主がエピソードを選択し、すべての広告枠を購入)、スタンドアロンポッドキャストだ。スタンドアロンポッドキャストでは、広告主はボックス・クリエイティブのポッドキャストチームと連携し、ボックス・メディア・ポッドキャスト・ネットワーク(Vox Media Podcast Network)のブランデッド番組を制作、宣伝できる。

「これらのツールをそれぞれキットとして持っているため、アップセルの機会を探ったり、彼らが見たことすらないものをツールキットに盛り込んだりできる。以前動画で成功したブランドが今、『もう一度動画に戻ろう。音声も試してみよう』と言っている。そのため、音声広告の顧客にアップセルを行うだけでなく、ボックス・クリエイティブ全体から利益を得ることができている」とスブラマニアン氏は説明する。

ジョンソン氏によれば、ボックス・クリエイティブは2021年、約300の広告主とカスタム音声広告の仕事をしたが、そのうち70%が複数のポッドキャストに広告費を投じたという。ただし、ボックス・メディアの広報担当者は前年比についての言及を避けている。ボックス・メディア・ポッドキャスト・ネットワークの番組は200を超え、ブランデッドオーディオを担当するチームは、この1年でその規模を2倍に拡大している。ジョンソン氏によれば、グループ・ナインとボックス・メディアの「主要」広告主は「ほとんど重複がない」。合併前、グループ・ナインは主に消費財(CPG)と小売、ボックス・メディアはテクノロジー、メディア、エンターテインメント、金融サービスの広告主と仕事をしていたとジョンソン氏は説明する。

ジョンソン氏とスブラマニアン氏から話を聞いた後、DIGIDAYは改めてジョンソン氏にインタビューを申し込み、2つのスタジオがどのように統合されたかを語ってもらった。

なお、以下のインタビューには編集を加えている。

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──2月に合併が完了した後、グループ・ナインとボックス・メディアのクリエイティブスタジオはどのように統合され、それぞれのチームは何をもたらしたのか?

何をもたらしたかに関して言えば、どちらのスタジオも互いをよく補完していた。グループ・ナインのブランド・ショップ(Brand Shop)はエディトリアルとブランデッドコンテンツの観点から、ソーシャルチャネルでの配信に重点を置いていた。私たちは広告主と連携し、グループ・ナインがソーシャルで実現していた規模をうまく生かすことができた。それとともに、Facebook、インスタグラム、そして最近はTikTokやSnap(スナップ)と、さまざまなプラットフォームの専門知識がもたらされた。グループ・ナイン側は間違いなく、ソーシャルのノウハウがひとつの焦点になっていた。

もちろん、ボックス側もソーシャルキャンペーンに取り組んでいたが、ボックス・クリエイティブのチームはボックスの型にはまっていた。つまり、上質なストーリーテリングと実用的なコンテンツだ。その最たる例がエクスプレイナー・スタジオ(Explainer Studio)であり、ボックスのエクスプレイナーズ(Explainers)を広告主向けにしたものだ。ブランデッドドキュメンタリーも一緒にもたらされ、最近、HBOマックス(HBO Max)でそのひとつを公開した。現在、いくつもの制作が進行している。ボックス・メディア・ポッドキャスト・ネットワークのオーディオも、ボックス・クリエイティブのチームが持つ大きな能力だ。

つまり、補完という意味では、グループ・ナインは片方の領域、ボックスはもう片方の領域を重視していた。そして、私たちは今、ブランデッドTikTok、ブランデッドドキュメンタリー、その中間にある、あらゆるものを手掛けている。

──グループ・ナインのブランド・ショップから来たチームは、グループ・ナインのブランドに焦点を合わせているのか? それとも、ボックス・メディアのポートフォリオ全体でブランデッドコンテンツを制作しているのか?

今、ミックスしているところだ。肝心なのは、それぞれの成功している部分から互いに学び合うことだ。間違いなく、私たちは今、間違いなく相互的に補完している。そして、私たちは心から興奮している。私たちはそれぞれの会社からコンテンツの専門知識を持ち寄り、それを全員がトレーニングし、学習している。移転が可能なスキルも多い。制作出身だが、オーディオに精通している人材がいれば、ポッドキャストチームで働き、チームに新鮮なアイデアをもたらすことができるし、その逆もあり得る。

──ボックス側の強みをグループ・ナインのブランドにもたらすこと、そしてその逆のことを重視しているようだが、ボックス・クリエイティブはこのような統合キャンペーンをどう売り込んでいるのか?

私たちはキャンペーンをさまざまなフォーマットに拡大する方法を考えている。カスタム動画、ライティング、ソーシャルの要素を組み合わせたキャンペーンを行うのはごく普通のことだ。同様に、オーディオ、ハブ体験、メディア単位の配信プロモーションを組み合わせたキャンペーンもある。特にオーディオを中心に、そうした要素を融合させることをとても楽しみにしている。カスタムポッドキャストのようなものでは、それに付随するカスタム動画コンポーネント、それを宣伝するための小さなソーシャル要素、ソーシャルでライブ配信するスタンドアロンコンテンツもあり得るのではないだろうか?

グループ・ナインとボックスがひとつになったボックス・クリエイティブ全体の統合キャンペーンを見ると、オーディオを主人公に据え、他のコンテンツフォーマットでサポートする機会がとても多い。それこそ、私たちが積極的に取り組み、話し合っていることだ。

オーディオに参入した広告主がデイリー広告から始め、カスタムセグメントや本格的なカスタムシリーズに移行することもある。そしてそこから、動画やソーシャルに進出する。その多くは、私たちのチームが別々の会社だったこと、両社のメンバーがそれぞれの立場で話をしていた広告主が、グループ・ナインとボックスを別々の会社として知っていたことに起因する。

今、私たちのチームは皆、ワクワクするような会話を繰り広げている。「昨年、私たちと一緒にいろいろやったことを覚えていますか? ところで、もっといろいろなことができるようになりました。マットレス・ファーム(Mattress Firm)のためにつくったカスタムポッドキャストをご覧ください。以前お聞かせいただいたホリデー戦略にぴったりだと思います」といった感じだ。

──私が行ったいくつかの報告によれば、パブリッシャーは広告主に、以前より長いポッドキャストを売り込んでいるようだ。あなたも他のポッドキャスト広告フォーマットよりブランデッドポッドキャストを売り込んでいるのか?

どちらか一方ではない。両方を売り込んでいる。私たちはカスタムポッドキャストが大好きで、これまで手掛けてきた数々のカスタムシリーズを見ればわかるように、私たちは本当に魅力的なものをつくることができる。しかし、私たちは常に、その広告主にとって適切なフォーマットは何かということに焦点を当て、そこから出発している。

デイリー広告は私たちの広告ビジネスの相当な部分を占めている。広告主はそこに大きなチャンスを見いだしている。カスタムポッドキャストを行うには、間違いなく、異なるレベルの時間と投資が必要で、一部の広告主や特定の機会にとっては意味がある。そして、デイリー広告は、ボックス・メディア・ポッドキャスト・ネットワークの活用を検討している多くの広告主にとって大きな意味がある。

[原文:Q&A: How Vox Media’s branded content studio is working to integrate its podcast ad capabilities post-merger

Sara Guaglione(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:分島翔平)

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