不思議で美しい生物の姿。2022年度ニコン顕微鏡写真コンテストの入選作&佳作10選

GIZMODO

ヤモリの手

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Image: Grigorii Timin & Dr. Michel Milinkovitch

1位を飾ったのは、グランディスオオヒルヤモリ(Phelsuma grandis)の胚の手です。ジュネーヴ大学の遺伝学と進化学科の博士課程の学生Grigorii Timinさんが、Michel Milankovitchの監督の元で撮影しました。ヤモリの手を共焦点顕微鏡で撮った後、数百枚の画像を合成するという過程を経て完成したそう。ヤモリの神経、骨、腱、靭帯などの細部がくっきりと写っています。

Timinさんは、「この特別な画像は美しく情報を与えてくれる断面図であり、特定の領域を拡大すると、構造がどのようにまとまっているのかを細胞レベルで明らかにしています」とコンテストのサイトにコメントを寄せています。

クモ

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Image: Andrew Posselt

長い足が特徴的なイエユウレイグモを捉えた、Andrew Posseltさんによる作品が4位に入賞。同じクモガタ綱に属するザトウムシも長い足を持っていますが、実際はダニなどに近い生き物です。どちらの種も、人間には無害です。

サイケデリックな幼虫

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Image: Karl Gaff

アイルランドの首都ダブリンのKarl Gaffさんが撮影した選外佳作。何ともカラフルなクリーチャーの正体は、淡水地から採取されたユスリカの幼虫で、偏光を使って撮影されました。

変形菌

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Image: Alison Pollack

Alison Pollackさん撮影の5位入賞作は、ルリホコリという変形菌の属。変形菌は非常に独特で、理解があまり進んでいない生き物です。かつては菌類の1群かと思われましたが、現在は原生生物に属しています。既知の数種には、生活環の中で単細胞生物から胞子を形成する多細胞体へと時期によって形を変える特性があります。

真っ赤な紅藻

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Image: Nathanaël Prunet

8位入賞作はノースカロライナ大学チャペルヒル校の生物学者Nathanaël Prunetさんが撮影した、紅藻の一種の成長点。この藻類は主に海水環境に生息しています。他の多くの藻類と同様に厳密には植物だと見做されていないものの、光合成のためにクロロフィルを活用するという共通する特徴もあります。人間は大昔から食料源や天然の染料として用いてきました。

ヒトデ

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Image: Laurent Formery

こちらはカリフォルニア大学バークレー校のLaurent Formeryさんによる選外佳作で、Patiria miniataという種の生後2カ月のヒトデの写真です。この美しい生物は、腕の間に水かきがあるような見た目から、海のコウモリやコウモリヒトデと称されることも。さまざまな体色をしていますが、大抵は赤みあるオレンジで、特に中部カリフォルニア沿岸に多く生息しています。

ハンミョウVSハエ

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Image: Murat Öztürk

トルコの首都アンカラ在住のMurat Öztürkさんによる10位の入賞作品です。わかりにくいかもしれませんが、ハンミョウのアゴの下にいるのはハエです。ハンミョウの一種オーストラリアハンミョウ(Cicindela hudsoni)は、最速の昆虫として最高時速5.5マイル(約9km)を出すと知られており、1秒間に体長の171倍の距離の移動に相当するそう。

舌のバイオフィルム

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Image: Tagide deCarvalho

19位にランクインしたのは人間の舌の一細胞を囲む細菌のバイオフィルムの写真で、メリーランド大学のTagide deCarvalhoさんが撮影。バイオフィルムとは細菌の集合体で粘性を持ち、抗生物質など過酷な環境下でも細菌が生き残れるようになってしまいます。舌上のバイオフィルムは、口臭と歯科疾患の一般的な原因となりえます。

貴重な卵

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Image: Ye Fei Zhang

中国江蘇省で撮影された蝶の卵で、Ye Fei Zhangさんによる選外佳作。蝶の種類はわかっていません。

心臓の細胞の初期の姿

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Image: Hui Lin and Dr. Kim McBride

20位の受賞作は、米オハイオ州のネーションワイド・チルドレンズ病院心臓血管リサーチセンターのHui LinさんとKim McBrideさんが撮影。ほぼすべての細胞に分化できるiPS細胞から作られた心筋細胞(人間の心臓の細胞の一分類)の画像です。心筋細胞は心臓を収縮させ血液を体中に送り込むほか、中には心臓の自然のペースメーカーの役割を果たすことに特化したものもあります。

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