「ネタバレサイト」にもメス――運営者ら2人を書類送検 ほか【中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」2022/6/9~6/16】

INTERNET Watch

1. 「ネタバレサイト」にもメス――運営者ら2人を書類送検

 すでに「漫画村」に代表されるようなコミック作品を無断でアップロードする「海賊版サイト」が著作権法違反で摘発されたが、もう1つの違法サイトでもある「ネタバレサイト」にもメスが入った。ついに、ネタバレサイトを運営していたとされる秋田市の男性など2人が著作権法違反の疑いで書類送検された。

 NHKが報じたところによると(NHK)、「おととし2月までのおよそ3か月間に、小学館の『週刊少年サンデー』で連載されている漫画『BE BLUES!~青になれ~』のセリフを抜き出したり、登場人物の動作などを文字で説明したりしたものをいわゆる『ネタバレサイト』に無断で掲載した」という容疑だ。そして、「1年半余りの間に少なくとも300万円の広告収入があった」とみられるという。

 しかし、これは氷山の一角ともいえそうだ。海賊版サイトでは次々と後継となるサイトも登場しているとされることから、これで撲滅されたとはとてもいえない。

ニュースソース

  • 「ネタバレサイト」運営者ら2人 著作権法違反容疑で書類送検[NHK

2. インターネットに関連する2法案が可決・成立

 インターネット上の誹謗中傷に対応するための「侮辱罪」を厳罰化し、懲役や罰金刑の対象とする改正刑法が参院本会議で可決・成立した(ITmedia)。2020年に木村花さんがSNSで中傷を受けたあとに死去し、それをきっかけとして見直し議論が拡大した。国会では「憲法が保障する表現の自由との兼ね合いが論点」となってきた経緯がある。

 また、インターネット利用者情報の保護を強化する電気通信事業法の改正法が参院本会議で可決・成立した(Yahoo!ニュース)。「閲覧履歴を広告会社などの第三者に提供する場合、企業に利用者への通知や公表を義務付ける仕組みをつくる」ことが骨子となる。EUのGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)に見られるような利用者の「事前同意」にまでは踏み込んでいない。

ニュースソース

  • 侮辱罪厳罰化の改正刑法成立 ネット上の誹謗中傷対策[ITmedia
  • ネット利用者情報の保護強化 改正電気通信事業法が成立[Yahoo!ニュース

3. 「縦スクロール型コミック」「オーディオブック」など電子メディアのトレンド

 電子書籍を配信するhontoは「2022年上半期『電子書籍』と『紙の本』トップ10」を発表した(ITmedia)。それによると、「『電子書籍 上半期ランキング』の1位は『呪術廻戦 19巻/集英社』だった。2位は『SPY×FAMILY 9巻/集英社』、3位は『キングダム 64巻/集英社』、4位は『転生したらスライムだった件 20巻/講談社』、5位は『その着せ替え人形は恋をする 9巻/スクウェア・エニックス』だった」。電子書籍の市場規模調査でも知られていることだが、コミック作品がこの電子出版市場を支えている。

 また、楽天グループは縦スクロール型フルカラー漫画の制作やプロデュースなどを手掛けるトゥーンクラッカーと協業し、スマートフォン向けの縦スクロール型デジタルコミック事業に参入することを発表している(ITmedia)。縦スクロール型コミックはスマートフォンでの閲覧に適していることから、読者からも支持されている。

 さらに、音楽配信の国際的なサービスを展開するスポティファイは、オーディオブックに参入すると発表した(Impress Watch)。日本でのオーディオブック市場ではオトバンクが「audiobook.jp」などのサービスを行っているが、規模としては成長は持続しているものの、黎明期ともいえる段階か。米国ではリフロー型(テキスト型)の電子書籍と同等の規模で一般書市場の10%前後のシェアがある。スポティファイのダニエル・エクCEOは「世界の書籍市場規模約1,400億ドルのうち、オーディオブックの市場シェアは6~7%程度でそこに成長余地がある」とコメントしている。

 そのオトバンクは関西福祉科学大学、ベルピアノ病院との共同研究で「認知症予防のトレーニングにおける新たなツールとして期待」できるという結果を発表している(CNET Japan)。オトバンクの上田渉代表取締役会長は「今後シニア層も含めたオーディオブック普及のアプローチを続けるとともに、音声を活用した社会課題の解決に取り組んでいく」と述べている。

ニュースソース

  • 楽天、縦スクロール型コミック市場に参入 オリジナル作品の制作も[ITmedia
  • 認知症予防トレーニングの課題解決にオーディオブック活用–オトバンクらが研究[CNET Japan
  • Spotify、オーディオブックに参入[Impress Watch
  • 22年上半期に最も売れた電子書籍、「SPY×FAMILY」「キングダム」上回る1位は?[ITmedia

4. ますます巧妙になる手法――政府機関や自治体の「偽サイト」に注意

 内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、政府機関や地方公共団体などの公的機関、企業・団体等の本物のウェブサイトと同じ内容を表示する「偽サイト」が確認されていることから、サイバー犯罪に注意するように呼び掛けを行っている(Impress Watch)。先日、「検索エンジンの『Bing』で自治体公式サイトより偽サイトが上位に表示される問題」なども指摘されている。こうした「偽サイト」は巧妙になっていて、見分けがつきにくくなっている。なんらかの国際標準による技術的な解決策も求められる。

 また、警察庁は「不正プログラム『Emotet』に、Webブラウザ『Google Chrome』に保存されたクレジットカード番号や名義人氏名、有効期限などのカードデータを盗み、外部に送信する機能が追加された」ことを発表し、さらに注意を促している(PC Watch)。「不審なメールを開かない、マクロの自動実行機能を無効にする、セキュリティ製品や不正通信ブロックサービスを導入する」ことなどが対策として例示されているようだが、誰しも「魔が差す」瞬間を突いてきている手法でもある。

 こうしたことの対策となりそうなのが、グーグルが次期バージョンのChormeで計画している「セーフブラウジング」の機能アップデートだ(ケータイWatch)。これは「フィッシングの疑いがある危険なサイトにアクセスすると、画面が真っ赤になる」というもので、機械学習技術の応用により「悪意のあるサイトやフィッシング攻撃を従来の2.5倍多く特定している」とされている。

ニュースソース

  • 政府機関や自治体の「偽サイト」に注意。「ドメイン名を確認」[Impress Watch
  • Emotet感染でChromeのクレカ情報が盗まれる。警察庁が警告[PC Watch
  • 「Google Chrome」の次バージョン、スマホ上のAI処理で「危険なサイトは画面が真っ赤に」[ケータイWatch

5. 「Internet Explorer」サポート終了

 ついにマイクロソフトのウェブブラウザー「Internet Explorer(IE)」のサポートが終了した。INTERNET Watchでは過去28年のウェブブラウザーのシェア推移について言及している(INTERNET Watch)。「最盛期の2002年12月には92.8%とほぼ独占状態」であったことには改めて驚く。

 そして、現在、「世界シェア1位は米グーグルの『Chrome』だった。シェア率は驚異の64.95%(2022年5月末時点、以下同)と他を圧倒」していて、「シェア2位は米アップルが手掛ける『Safari』で19.01%」という結果となっている(ITmedia)。

 IEのサポート終了により、今後、ユーザーはEdgeなどへの乗り換えを行うことになるが、ウェブサービス側で対応ができていない事例も多くあるとみられる。「Edgeブラウザは『Internet Explorerモード』(IEモード)を備えている。IEのみで動作するように作成されたコンテンツは、Edgeブラウザで同モードを有効にすると閲覧できる」という記事(CNET Japan)も見られたが、昨今のセキュリティ上の観点からも、本質的にはこれを契機として新たなプラットフォームへの対応を急ぐべきだろう。

ニュースソース

  • 本日でサポート終了のIE、最盛期はこんなにすごかった! シェアの推移をまとめた動画[INTERNET Watch
  • Webブラウザの世界シェアランキング 3位「Edge」、2位「Safari」、“圧倒的王者”のシェア率は?[ITmedia
  • Internet Explorerがサポート終了– Edgeブラウザで「IEモード」を使う方法[CNET Japan

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