いきなりだが、高速道路のサービスエリアでよく見かける「懐かしのベスト盤CD」は誰が買っているのだろうか。あらためてラックを確認すると、美空ひばり、天童よしみ、小林旭などのベストコレクションに紛れて『人生たまたま……さいたまで』なる謎のCDも並んでいた。
最近はCD非対応のカーオーディオが増えている。ってか、Bluetoothでスマホとオーディオ機器を接続している方がほとんどだろう。ってことで、最近のベスト盤CD事情をサービスエリアの担当者やコンシェルジュに尋ねた結果、メチャメチャほっこりしたので報告したい。
・ベスト盤CDの今
さて、冒頭で “よく見かける” と言ってしまったが、昔と比べると「ベスト盤CDの売り場」は減っているようだ。日本一大きな海老名SAでは「下り」で取り扱いがなく、「上り」でも現在(2022年6月10日時点)CDは1種類のみの販売ですとのことだった。
・70年代の青春
最近のCD事情について、売り場の空気感をめちゃめちゃ丁寧に教えてくれたのは菖蒲(しょうぶ)PAの担当者。「やはり70年代に青春を過ごした方が多いですね。おにぎりとセットで懐かしいCDを買っていきますよ」とのこと。
「長距離トラックの運転手はもちろんですが、シニア世代の夫婦が “あの頃のベストテン” をかけながらドライブを楽しんでいるのでしょうね。夫婦仲良くCDを選んでいる姿を見かけるので、私はこのコーナー(CD売り場)が好きです」と担当者。いい話だな〜。
話は続く。「実は私も何枚か購入したんですよ。昭和に青春を過ごした世代ですから。黒木憲の『霧にむせぶ夜』とか懐かしいですね。とにかく、カセットで聞いていた曲がたくさんあるから嬉しいですよ。貸しレコード店の黎紅堂(れいこうどう)を思い出します」
たしかにドライブのお供は青春時代の曲が1番。ざっくりまとめると中高年向けには懐かしの歌謡曲やフォーク系のオムニバスが人気で、若年層にはヒット曲をつないだノンストップ・ミックスCDが売れ筋なのだとか。
また、長時間のドライブで子供が飽きないようにアニメのDVDも買っていく方も多いという。「なんだかんだでCDやDVDを買う人は一定数います」ということでした。
・ご当地ソングも
それと、ご当地ソングを「置いてください」と頼まれることも。冒頭で紹介した『人生たまたま……さいたまで』は地元ラジオで人気らしく、そこそこ売れているらしい。売れ行きが好調だったら「もう少し置いてみようかな」となるそうだ。
というわけで、サービスエリアのCDコーナーには様々なドラマがあった。機会があれば、休憩ついでにチラッとチェックしてみてはいかがだろうか。今度実家に帰る時にでも買って帰ろうかなァ〜。
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.