メモ
学校に対してテーザー銃を備えた遠隔操作ドローンを導入することを提案していたメーカーのAxonが、倫理委員会のメンバー9人が辞意を表明したことを受けて、ドローン開発計画の中止を発表しました。
UPDATE 4-Taser-maker halts project to arm drones with stun guns as ethics panel quits | Reuters
https://jp.reuters.com/article/axon-enterprise-drones-idINL1N2XT176
Axon halts plans for Taser drone as 9 on ethics board resign | AP News
https://apnews.com/article/technology-government-and-politics-shootings-655fc0df3588e3e6afcd2a81b9619724
Axon Ditches Plans for Weaponized Taser Drones as Majority of Ethics Board Resigns – WSJ
https://www.wsj.com/articles/axon-ditches-plans-for-weaponized-taser-drones-as-majority-of-ethics-board-resigns-11654545598
銃社会のアメリカでは、銃乱射事件の発生が珍しいものではありません。2022年5月に限っても、5月16日にニューヨーク州バッファローのスーパーマーケットで発生した銃乱射事件では10人が死亡。5月24日にテキサス州の小学校で発生した銃乱射事件では児童14人と教師1人が死亡し、容疑者の男も現場で死亡しています。
こうした事件に対抗するものとして、テーザー銃やボディカメラのメーカー・Axonが、テーザー銃を備えた学校向けの遠隔操作ドローンの開発を行うことを発表しました。
学校にテーザー銃を備えた遠隔操作ドローンを導入することをメーカーが提案 – GIGAZINE
計画は銃乱射事件を受けて突然生まれたものではなく、以前からAxon社内で進められていたものです。そのときから倫理委員会は「過剰な力を持ったドローンがコミュニティに害をなすのでは」と懸念を示していたのですが、連続して銃乱射事件が発生したことを受ける形で、Axonは発表を「強行」しました。
これで「Axonの、責任あるパートナーとしての信頼は失われた」として、倫理委員会のメンバー12人のうち9人が辞任。結果、Axonのテーザードローン開発計画は撤回されることになりました。
AP通信によると、倫理委員会の議長であり辞任したメンバーの1人でもあるニューヨーク大学法学部のバリー・フリードマン教授は「顧客は警察機関そのものではなく、警察機関がサービスを提供しているコミュニティでなければならないのですが、その考えをAxonに理解してもらうのはとても苦労するものでした」と語っています。
フリードマン教授は、学校で発生した銃乱射事件は緊急事態であると認めつつも、今回の一件はリック・スミスCEOが倫理委員会のメンバーの話を十分に聞かずに進めたものだと非難しています。
ワシントン大学法学部のライアン・カロ教授は「率直に言って、遠隔の非致死性兵器と組み合わせたユビキタス監視が、学校での銃乱射に対する実行可能な対策であると信じる会社の倫理諮問委員会にとどまるつもりはありません」と述べました。
一方で、デジタル調査に長年携わってきたという委員のジャイルズ・ハーデイル氏はロイターに、「テントの外にいるより中にいることで、大きな影響力を持てる可能性がある」として辞任しない選択をしたと語りました。
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