子どもの頃に骨折しやすかった人は成人になった後も骨折しやすいという研究結果

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「子どもの頃に骨折した経験がある」という人は珍しくありませんが、一方で「子どもの頃から今まで一回も骨折したことがない」という人もいます。人々を生まれた直後から50年にわたり追跡したデータを分析した結果、「子どもの頃に複数回骨折した経験がある人は、成人後に骨折するリスクが2倍以上高い」という結果が明らかとなりました。

Is repeated childhood fracture related to areal bone density or body composition in middle age? | SpringerLink
https://doi.org/10.1007/s00198-022-06500-0

Breaking bones in childhood more than doubles the odds of it happening again as an adult, study finds
https://theconversation.com/breaking-bones-in-childhood-more-than-doubles-the-odds-of-it-happening-again-as-an-adult-study-finds-195008

小児期に骨を折る子どもは全体の約2分の1といわれており、男の子の約25%、女の子の約15%が2回以上骨折を経験しているとのこと。しかし、一体なぜ一部の子どもは繰り返し骨折してしまうのかや、小児期の骨折しやすい傾向が成人になった後の骨の健康状態を予測するのかどうかは、今のところ十分に理解されていないそうです。

過去の研究では、骨折しやすい子どもの傾向として家庭が貧しいことや活発に運動していること、BMIが高いこと、ビタミンD不足であること、カルシウム摂取量が少ないこと、身体的虐待を受けていることなどが挙げられています。

繰り返し骨折する子どもは特に骨がもろいか、事故に遭いやすい性格であるか、骨折しやすいスポーツや運動をしている可能性があります。しかし、ニュージーランドのオタゴ大学で上級研究員を務めるKim Meredith-Jones氏は、「重要な問題は、骨折する子どもは急激な成長の中で一時的に骨の強度が低下したのか、それとも骨の弱さが成人になっても続くのかという点です」と述べています。


子どもの頃の骨折と成人になってからの骨の健康状態についての関連を調べるため、Meredith-Jones氏らの研究チームは、ニュージーランドのダニーデンという都市で生まれた赤ちゃんを対象にした縦断研究である「ダニーデン研究」のデータを分析しました。

ダニーデン研究は1972年4月~1973年3月に生まれた1000人もの人々を50年にわたり追跡調査しており、数年ごとに危険な行動やスポーツへの参加、身体的虐待、社会経済的状況など、骨折に関与する可能性があるさまざまな項目について評価しています。また、子どもの頃から骨折などを含むケガについて尋ねる対面インタビューも繰り返し行っており、成人になってからの骨折歴と幼少期の骨折歴を照合することが可能です。

データを分析したところ、子どもの頃に複数回の骨折を経験した男の子と女の子は、成人になってもその他の人々と比較して2倍以上骨折しやすいことが判明しました。一方、小児期の骨折した経験がなかった子どもは、成人になっても骨折しにくい状態が維持される傾向がありました。また、女性において小児期の骨折は後年の股関節の骨密度低下と関連していましたが、男性ではこの傾向はみられなかったとのこと。今回の研究は、小児期に骨折を繰り返した経験がある男女の両方において、成人になってからの骨折リスクが高いことを示した最初の研究だとのことです。

しかし、子どもの頃に繰り返し骨折した子どもが成人になってからも骨折しやすい理由については明らかになっていません。継続的なリスクは危険な行動・人口統計・肥満・小児虐待・スポーツへの参加といったその他の行動要因とは関連していなかったそうです。

子どもの頃に骨折した経験が成人の骨折リスクと関連している理由は不明ですが、子どもの頃に骨折した経験がある人の意識を高め、骨折を予防するための策を打つことはできます。Meredith-Jones氏は、「体重負荷運動(自分の体重を足で支えて行うウォーキングやダンスなどの軽い有酸素運動)を行ったり、カルシウムとビタミンDを適切に摂取したり、タンパク質と乳製品の摂取量を増やしたりするといった行動的変化は、すべて早期に開始して生涯を通じて維持できる有益な介入策です」と述べました。


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