アリサ・メツガー氏は、ビューティ業界で15年間さまざまな仕事を経験したあと、2019年にインビューティ・プロジェクト(Innbeauty Project)を創業した。このクリーンビューティブランドは手頃な価格戦略を通じてZ世代の消費者を対象にしており、セフォラ(Sephora)やクレド(Credo)などの主要小売店、およびD2Cサイトでも販売されている。
「スキンケア製品の平均価格、また(スキンケア)ルーティンの平均が100ドル(約1.3万円)以上であること、それを4.5万ドル(約572万円)未満という米国の平均年収と照らし合わせると、クリーンスキンケアは多くの米国人にとって簡単に入手できるものではないことが明らかになった」とメツガー氏は最新のGlossyビューティポッドキャストで述べている。
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メツガー氏は、トゥラ(Tula)で、のちにインビューティを一緒に創業するジェン・シェーン氏と働いていた。そのとき2人は「ウェルネスの流れがビューティにも及んだ」ことに気づたという。クリーンビューティの初期のパイオニアとなった人々は業界の最前線にいた。それは、成分に関するメッセージがウェルネスムーブメントのなかで消費者の共感を呼んだからだった。しかし、両氏はクリーンな製品が手頃な価格では存在していないことに気づいたと述べている。2人はインビューティ製品を誰にでも買えるようにすることに情熱を注ぎ、インビューティの価格帯はリップオイル1点の15ドル(約1900円)から6製品から成るキットの120ドル(約1.5万円)と、競合他社の個々の製品よりも安く設定されている。
「それまでになかったZ世代にアピールするブランドを作りたいと思った。この業界はイノベーションによって推進されており、イノベーションは、消費することを切望しているオーディエンスのために存在していなかったものを作ることなど、いろいろな形で実現できる」とメツガー氏は述べている。
メツガー氏は、クリーンビューティ業界、Z世代向けのスキンケアのマーケティング、業界のさらなる革新に向けたインビューティの今後の目標について米Glossyに語った。以下、ポッドキャストから対話のハイライトを、読みやすさのために若干編集、要約して紹介する。
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激化する競争への対応
「何かを作るには、競争が必要だ。カテゴリーを築くには小売スペースのあらゆるところに仲間がいなければならない。私たちはあらゆる競争を歓迎する。競争によって我々が行っていることは正当化されるし、対象デモグラフィックの重要性が浮き彫りにされる。最終的にスキンケアの中核となるのは、顧客が求めている悩みや効果に取り組むことなのだ。
当社には若い世代のオーディエンスから支持されている製品がいくつかある。たとえば、ニキビ用ペーストは何度もTikTokでバイラルになっている。また、ミレニアル世代やもっと年齢層の高い顧客にも愛用されている。それは、製品の効能の高さや、購入しやすさも支持されているからだ。スキンケアでは容器の中身が本来の機能を発揮すれば、製品の成功はオーディエンス全体に及ぶ。Z世代と呼ばれる若い世代の顧客を獲得し、彼らがブランドとともに進化して成長できるようにすることが重要だ。当社の製品パイプラインは、顧客から生涯支持されるという考えに基づいて製作されている」。
新製品を通じてZ世代の消費者へアピール
「製品の品揃えについてはまだ初期段階だ。TikTokとインスタグラムにコミュニティがあり、D2Cチャネルを通じて顧客を保持できているのはすばらしい。信じられないほどのフィードバックをリアルタイムに受け取っている。フィルターがかかっていない率直な生の声だ。フィードバックは製品に対するニーズに基づいていたり、感触や見た目や香り、パッケージなどについての顧客からのコメントだ。実際、顧客のフィードバックは事業の多くに反映されている。
ニキビとクリーンビューティのカテゴリーが持つ未知の可能性に大きな期待を寄せている。セフォラのウェブサイトを見たり市場を閲覧してみると、ニキビは長いあいだほとんどイノベーションがなかったカテゴリーで、カテゴリーリーダーはいまだにプロアクティブ(Proactiv)や何世代にもわたって存在しているわずかなブランドである。クリーンで革新的な方法でニキビカテゴリーに取り組むことに我々は興奮している。それが我が社の未来だ」。
インビューティの次のステップ
「私たちの前には多くのチャンスがある。そのなかで、セフォラとのビジネスの強化と構築は大きな焦点だ。今年後半に新製品をローンチして、セフォラの販売環境での成長を目指す。我が社のD2Cの開発に関しても同じだ。
今後数年間でインタラクティブな教育ハブを構築する予定がある。そこでは、当社の製品の購入には関心がない人たちでさえも学んだり、インスピレーションを受けたり、成分についての情報が得られる。これは現在進行中で、教育ハブの基盤を築き始めている。
いまではブランドは特定の市場に限定されていない。米国ではもちろん、オーストラリアやタイ、韓国からのコンテンツクリエーターから当社の製品がどこで購入できるか問い合わせが来ている。将来的にはインビューティが世界中で知られているブランドになることを期待している」。
REBECCA RUSSO(翻訳:ぬえよしこ、編集:黒田千聖)