消費財ブランドはサードパーティ Cookie の終焉にどう備えているのか?:DIGIDAY Programmatic Marketing Summitレポート

DIGIDAY

サードパーティCookieは、1990年代にオンライン広告が始まって以来、マーケティング業界がこのソフトウェアをユーザーのターゲティングとトラッキングの基盤として利用してきたことにより激動の発展を見せてきたが、ついに終焉の時を迎えようしている。

顧客のプライバシーがマーケターにとって最大の関心事となりつつあるなかで、サードパーティデータは「禁止薬物」の地位に転落し、一方でファーストパーティデータ、あるいはゼロパーティデータは「価値ある」を通り越した「溺愛される」存在に格上げされている。

01 ファーストパーティデータの不足

サードパーティCookieの廃止は、(理論上)パブリッシャーが地位を回復し、ブランドがそれ以上に優位に立つチャンスでもある。最後通牒を受け取るのはサードパーティのアドテク仲介業者だ。

しかし、ブランドの幹部に率直な意見を尋ねると、彼らはおしなべてファーストパーティデータの不足を懸念し、サードパーティCookieが崩壊したあとも効果的な顧客コミュニケーションを長期にわたって維持するために関係強化をはかっていると語る。

消費財ブランドのマーケティング部署は従来から、顧客へのアクセスに関して小売パートナーへの依存度が高く、仲介業者を排除する傾向にあったが、なじんできた識別子が落日を迎えることが明らかになった2020年以来、このような取り組みが加速度的に進展した。

ラ・コロンブ・コーヒーロースターズ(La Colombe Coffee Roasters)のメディアおよび成長担当ディレクター、メアリーケイト・バーンズ氏は、カリフォルニア州パームスプリングスで開催されたDIGIDAY Programmatic Marketing Summitで講演し、同社のマーケティング戦略の未来を確かなものにするための取り組みを通じて自身が得たインサイトについて語った。

米DIGIDAYのシニアメディアエディター、ティム・ピーターソンとのやりとりのなかで、バーンズ氏は、ブランドは結果を安定的に測定できるならばより高いCPMを支払う意思があること、同社のチームが顧客に不審に思われないよう「カスタマイズされたアプローチ」をとっていること、データ来歴の審査に関してはパートナーに対するオープンな姿勢が重要であることを挙げた。

02 全体を通した一貫性

「我々は、ファネルの上端から下端までのすべての指標に関して、一貫したレポートを提供できるチャネルを重視するように、全体戦略を転換した」と、バーンズ氏は述べ、今年の広告インベントリー(在庫)のコストは上昇するだろうと予測した。

同氏は戦略についてさらに踏み込んで説明し、小売パートナーに売上データをタイムリーに報告するよう依頼し、また「CRMリストを磨きあげる」ことで、ブランドの広告支出が「純利益というビジネスの目標」にどれだけ貢献しているかをチームが実証できるようにしていると述べた。

「現在、我々はカフェやオンラインプラットフォームのPOS(販売時点情報)システムの統合に取り組んでおり、これによりさらに可能性は広がる。トレンドデータをキャンペーン全体に反映させる取り組みに着手して日は浅いが、素晴らしい成果が出ており、プロモーション戦略や商品開発にも有益な情報が得られている」と、同氏は述べた。

03 カスタマイズで不審点を排除

ラ・コロンブのメディアチームは、EメールやSMSを通じた顧客獲得努力への投資にも前向きだ。こうしたチャネルはコンバージョン率が高く、またこの方法で獲得した顧客は定期的にまとまった金額の購入をする傾向にあるためだと、バーンズ氏は述べる。

バーンズ氏は、自身のチームが単一のフレームワークに基づいて一貫した計画の策定をおこなっていることや、事前予測に対して実際の売上がたどっている推移を毎月評価しており、これを2022年の残りの期間にわたって続ける予定であることを説明した。「有益な示唆が得られるよう、データの蓄積に十分な時間的余裕を設けている」と、バーンズ氏はいう。

取り組みの一環として、同社はエージェンシーのBIGと提携し、CRMデータを基にオーディエンスの「カスタムコホート」を作成して、「不審点の少ないやり方でユーザーを追跡」することで、広告キャンペーンを単なる広告指標だけでなく、純利益にプラスの影響をもたらすものにする方針をとっていると、バーンズ氏は述べた。

[原文:Case Study: How CPGs are preparing for the demise of third-party cookies

Ronan Shields(翻訳:的場知之/ガリレオ、編集:分島翔平)

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