リーバイス 、自社サイトへ「サイズ選択」機能を追加: D2C の販売促進が狙い

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デニムブランドのリーバイ・ストラウス・アンド・コーポレーション(Levi Strauss and Co.)は、D2C売上を増やす使命の一部として、顧客が適切なサイズのジーンズを探すためのデジタルツールを追加している。

同社は5月3日に、ふたつの新しいデジタルフィット機能を自社サイトで公表した。予測型フィットアルゴリズムと、さまざまな体形の人々が商品を着用した写真群だ。これらの機能は現在試験中だが、今年6月には欧州の6カ国のデスクトップと米国のモバイルアプリで、より広範に開始される。

鍵はデジタルサイズ決定ツール

リーバイスは過去2年にわたりD2Cビジネスを注目分野として築き上げてきた。同社のCEOを務めるチャールズ・バーグ氏は昨年4月に、「当社は今後D2C主導に転換していく」とCNBCに語った。同氏は、D2C売上高が2021年の収益の60%を占めることを期待していると付け加えたが、このセグメントは結局収益の約40%に留まった。しかし、D2Cの売上が増えるにつれ、各ブランド、特にアパレルのブランドは、返品を処理するためにより多くの経費を支払うことが必要な可能性も高くなる。その結果、リーバイスやナイキ(Nike)のようなブランドは近年になって、デジタルサイズ決定ツールへの投資を増やしてきた。

リーバイ・ストラウス・アンド・コーポレーションのD2Cイノベーションリーダーを務めるララ・ラスィーズ氏は、スタイルごとにフィットは異なる可能性があり、消費者にとってオンラインでのショッピングは難しい場合があることを同社は気がついたと、米モダンリテールに語った。「消費者は、この障害を解決することを小売業者に求めている」と、同氏は語る。

これに対して、リーバイスは「ワッツ・マイ・サイズ(What’s My Size)」と呼ばれる予測型アルゴリズムに投資した。これは、買い物客が体重、身長、性別を入力すると、サイズを予測してくれる機能だ。「このアルゴリズムにより、リーバイスのサイズチャートの知識と、消費者の体測値についての理解に基づいて、最良のサイズが推奨される」と、ラスィーズ氏は述べている。

同社はこの機能とともに、より精巧なツールである「シー・イット・イン・マイ・サイズ(See It In My Size)」もロールアウトする。特定の商品ページでシー・イット・イン・マイ・サイズのボタンをクリックすると、自分と似たサイズ、身長、体形、肌の色を持つ人が着用したとき、そのアイテムがどのように見えるかを明確に示す、多くの写真を見ることかできる。

「今日の消費者と深い結びつきを作り上げるには、インクルービシティ(包括性)とリプレゼンテーション(表象)が決定的に重要だ」とラスィーズ氏は述べる。「当社のファンは、オンラインで買い物をするとき、自分たちを表すような人や、体形が似ている人の姿を見たいと考える」。

グローバル企業ならではのデータ収集

この機能に必要な多数の写真を集めるため、同ブランドは全世界で3100を超える店舗および店舗内ストアの従業員と、マイクロインフルエンサーの基盤の協力を得た。

従業員たちは、クーポン券をもらう代わりにリーバイスの服を着た写真を提出するよう求められ、(一部の小売店舗に限るが)店内での撮影会にも参加した。「私たちがチームにメールを送り、協力を求めると、1時間以内でほとんどのサイズの写真が揃った」と、ラスィーズ氏は述べている。

また同ブランドは、パーソナライゼーション企業のリフレクトミー(Reflektme)と協力して、マイクロインフルエンサーたちを一部の店舗に招き、追加の写真を撮影した。「マイクロインフルエンサーたちや、当社自身の従業員ベースと協力することで、私たちは広範囲のサイズ、身長、体形、肌の色の写真を集めることができた」と同氏は述べる。

この機能は、オンラインでの返品の問題についても小売業者の助けになる。この機能の始動に関するブログ投稿で、リーバイスはオンラインでの返品の40%がサイズとフィットの問題によるものだと指摘した。

コアサイトリサーチ(Coresight Research)のシニアアナリストを務めるエリン・シュミット氏は次のように述べている。「サイズは小売業者によって異なるので、多くの消費者は複数のサイズを注文し、自分に合わなかったサイズを返品することが多い。これは小売業者にはコストに、消費者には負担になる」。

同氏は、これらのフィットに関する懸念はデニムのカテゴリーでは特に重要だと付け加える。「消費者はライズ、長さ、フレア、ポケット幅、ストレッチの量、色など、多くの決定を行う必要がある」と同氏は述べている。

D2C事業に取り組む大手小売業者たち

D2Cチャネルを成長させるためにフィットツールを採用したブランドは、リーバイスだけではない。ナイキは2019年にナイキフィット(Nike Fit)を公開した。これはコンピュータビジョンおよび機械学習ツールで、消費者がスマートフォンのカメラで自分の脚を測定し、より適切なサイズを選択するため役立つ。当時、ナイキのデジタル商品のグローバル責任者だったマイケル・マーティン氏は、スニーカー大手である同社は、ナイキフィットにより多くの問題が解決されることに期待していると述べた。具体的には、ナイキ商品の返品が減少し、特定のスタイルについてどのサイズを在庫するかをより的確に推定できるようにするため役立つことが期待された。

フィット技術へのリーバイスやナイキの投資は、両社がD2Cビジネスをさらに重視するようになったこととも一致している。ナイキは3月に行われた会計年度第3四半期の決算発表プレゼンテーションにおいて、同社のD2C事業を担うナイキダイレクト(Nike Direct)の売上が前年比で17%増加し、ナイキの総売上高の42%に達したことを公表した。

一方でほかの小売業者は、テック新興企業との提携によりサイズの問題に対処しようとしている。大手小売業者のウォルマート(Walmart)は、仮想試着室技術プラットフォームのズィーキット(Zeekit)との提携を3月に公表し、5月には新興企業である同社を完全に買収した。リーバイスと同様に、ウォルマートは消費者が服を着たときどのように見えるかを視覚化するため、より包括的な多数のモデルを使用する。

リーバイスのラスィーズ氏は、「オンラインでのサイズの課題すべてに単一のソリューションで対応はできない」と述べているが、同社は顧客がオンライン試着を行うため役立つような、いくつもの方法を模索していると説明した。

同氏は次のように述べている。「当社は以前のテストから、いくつかのデジタルレンダリングは役立つ可能性があるものの、実際の人が実際の服を着ている画像を見せる方がはるかに効率的で、評価されることもあると学んだ。現在のところ、当社はワッツ・マイ・サイズとシー・イット・イン・マイ・サイズを試験的に運用し、当社のファンの共感を呼ぶのが何かを探り、新しい技術のテストを続けていく」。

[原文:Levi’s adds more sizing features to its website in DTC sales push]

Maile McCann(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:猿渡さとみ)
Image: Levi Strauss & Co.

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