ディオールビューティー がWhatsAppを活用:「ストーリーテリングの次の最前線を構築する絶好の機会」

DIGIDAY

インスタグラムを超えた新しいソーシャルマーケティングの機会を求めているビューティブランドは、モバイルメッセージングアプリのWhatsAppにその道を見出している。

Kポップスターのジス氏を起用したWhatsAppキャンペーン

ディオールビューティー(Dior Beauty)は、5月6日、WhatsAppで4日間のメッセージングキャンペーンを開始し、ブラックピンク(BLACKPINK)のメンバーでディオールのグローバルアンバサダーであるジス氏を起用した。ディオール アディクト リップスティック(Dior Addict lipstick)の新作発売で、ユーザーはKポップのスーパースター、ジス氏を表現したチャットボットと会話することができたため、大ファン層から熱狂的に受け止められた。ディオールのマーケティング活動はすでにほかのメッセージングアプリに拡大されているが、WhatsAppがビジネス機能を取り入れるにつれて、ブランドたちはWhatsAppでのプロモーションを展開しつつある。

ディオールのデジタルイノベーション・戦略プラニングマネージャーのアーサー・プーラン氏は次のように述べている。「WhatsAppマーケティングのようなメッセンジャーアプリマーケティングは中期的には通常のマーケティング戦略の一環となるだろう。なぜなら、WhatsAppは最高のテクノロジー、最高の会話型マーケティング、最高のコミュニティ主導アプローチを再編成するものだからだ」。

ディオール初のWhatsAppキャンペーンは、同社のインスタグラムストーリーから消費者がアクセスできるようになっていた。そこから、ジス氏の「独占WhatsAppグループ」に同氏から招待されるのである。このWhatsAppグループは初日に定員に達し、ユーザーはチャットボットと平均18回対話したという。通常のWhatsAppグループは512人に制限されているが、今回のキャンペーンはWhatsApp for Businessを利用したために上限はもっと高かった。ディオールによると参加者は数万人ということであるが、具体的な数字は公表されなかった。

このキャンペーンは、韓国語で語りかけるジス氏の動画(英語字幕あり)とともに英語で世界中の視聴者に向けて発表されたが、ターゲットはジス氏の主なファン層である13〜34歳だった。

メタ傘下でWhatsAppの機能拡大

WhatsAppは世界中で推定20億人のユーザーを抱えており、その中には住民の主要なコミュニケーション形式として利用されユーティリティとして機能している地域もある。WhatsAppを所有しているメタ(Meta、以前のFacebook)は、最近、米国での利用者を増やすためにマーケティングに注力している。

さらに、メタが2019年にWhatsApp for Businessプラットフォームを立ち上げた後、昨年eコマース機能を追加したためにWhatsAppでの商業活動も増えている。これは、WhatsApp創業者のニーラジ・アロラ氏にとっては悔しい点である。同氏は、Facebookが220億ドル(約2.8兆円)でWhatsAppを買収した際(WhatsAppでは)「広告なし」にすると約束していたのにとTwitterで不満を公にしている。WeChatLINEカカオトークなどのアジア発の似たようなメッセージングアプリはすでに多くのブランドから取り入れられている。

これまでにWhatsAppは、ネッタポルテ(Net-a-Porter)、ディーゼル(Diesel)、ケネスコール(Kenneth Cole)バーバリー(Burberry)、クラークス(Clark’s)、エージェントプロヴォケイター(Agent Provocateur)といったファッションブランドからカスタマーサービスに利用されている。

チャットボットでできること

ディオールのチャットボットはテクノロジー企業のインフォビップ(Infobip)が開発したもので、ユーザーから送られた質問に答える機能と「ジス氏」からの日々のメッセージが含まれていた。たとえば、ユーザーはチャットボットからさまざまなフレーズを選択して、動画を受け取ったり、ディオールの新しいインスタグラムフィルターへのリンクと新作リップスティックを購入できるリンクを受け取ったりできるようになっていた。

キャンペーンの成功を推進した口コミ

「WhatsAppプラットフォームはストーリーテリングの次の最前線を構築する絶好の機会だ」と述べているのは、このキャンペーンでディオールと協働したデジタルマーケティング会社、180リュクス(180 Luxe)のマネージングパートナー、ローラン・フランソワ氏だ。インスタグラムのような一般向けのソーシャルメディアプラットフォームは数多のブランドで「過密」になっているが、1対1のメッセージングエクスペリエンスでは「関心のあるコミュニティのひとつに向けて、親近感を感じられる主要な1要素を中心に絞り込んだ視点」が提供される、とフランソワ氏。

ジス氏の熱狂的なファンたちによって、このディオールのキャンペーンのニュースはソーシャルメディアで共有された。ディオールはWhatsApp以外でも同キャンペーンが注目され「何千ものミームや画面記録や会話を目にした」とフランソワ氏は述べている。プーラン氏によると、登録ユーザーの20%が公式プロモーションからではなく友人から共有されたリンクを通じて参加しており、同キャンペーンの口コミは強力だったいうことである。

「この初めての経験によってユーザーが望むものについての方向性を定め、より先進的なキャンペーンのための確固たる基盤を築くことができる」とプーラン氏は述べている。

[原文:Dior Beauty’s WhatsApp campaign shows 1:1 messaging opportunity for brands

LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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