皆さん。今年はいいことありましたか。そうですか、いい年でしたか。私もそこそこいい年でした。
でも、金運がよかったとか、何かに当たったとか受かったとか、そういったわかりやすい「いい年」ではなく、ただつつがなく終わったという意味での「いい年」であったのはいつもどおりだ。
最後の特集くらいは、景気のいいものを一発ブチアゲよう!と、ゴルフトーナメントなどで優勝者に手渡される、栄光の「あのキー」を作りました。ただし、車はついてきません。キーだけです。
※2005年12月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
想定どおりの材料そして作り方
メジャーなプロスポーツの世界は賞品が豪華だ。企業もその広告効果を期待して、気前よく車1台ぽーんとくださる。くださるとき、表彰式でわかりやすいように勝者に手渡されるのが、車のキーのでっかいレプリカだ。
最近の車のキーは電子キーなので、電子な部分が埋まっている頭部はボディと違う材質のようだ(免許ないのでそのへんはふわっと表現)。実際、テレビでの表彰式でも、頭部の黒い電子キーのでかいのが授与されるのを目にする。でもそれだと制作が大変なので、昔ながらのキーを作ることにする。
不安と年末のあわただしさで大変なことに
ここまでできた時点で、どうも「家の鍵」に見えてきてしょうがない。ニフティでの会議のときに他の方にも上の写真を見てもらった。ぜんぜん問題ないですよということなので安心するが、林さんをはじめ、免許を持ってない、あるいはほぼ運転しない方ばかりに聞いたので、多少の不安が残る。が、もう1個別のキーを作る余裕などないので先に進む。
が、何でか知らんが心がどこかに行っており、ふたの開いたままのジェッソをはずみで振り回してしまい、買ったばかりのカーペットにぶちまけてしまう。
自分はけっして不器用なほうではなく、むしろその逆だと思っている。が、どうも考えなしのところがあるようで、このあとも銀スプレーをこれに噴霧するとき、直に手で持って塗ってしまい、左手が銀粉ショーになってしまった。
まあこれは余談だったわけだが、来年はもっとしっかり気をほうぼうに配って生活しようと思う。
で、銀スプレーも乾いたようなので、おリボンをかけて完成だ。
ではさっそく見せびらかして、車もらった気分「だけ」味わいに外出しよう。
で、ゴルファーってどんな?
せっかくなので、ゴルファーのような格好をしようと思うのだけれども、自分は車に乗らないばかりかゴルフもやらないので、手袋ひとつ持ってないのだった。今回の企画から一番遠いところにいたと言えよう。
ポロシャツが主に着られていたような気がする。ポロシャツと言えばあの人だ。
ヨシダプロ。
で、別の機会にお会いしたとき、さっそくでかいキーを手にしてもらった。
キャップもかぶってもらったが、どう見てあげても「ゴルファー」には遠かったかもしれない。変なもの持たせてすいませんでした。
で、自分の持てる限りのものを動員して、外に出てみた。ゴルファーの方、どうか怒らないでください。
車を次々に手中に収める
ロケ地・大田区では、街道沿いや住宅街をゆけばすぐ高級車にぶち当たる。そこで、ぶち当たったらすかさずキーをかかえ、幸せな気持ちになってみようではないか。
まずは高級車の販売店前で、勝手にセレモニーだ。
ショーウィンドー越しの高級車。でかいキー持って前に立っても、自分と車の距離は縮まらない。中はキラキラした新しいショールーム、でもこっちは寒々とスチロールキーを手に。
次はもっとそばに寄り添って撮りたいなーと、住宅街をうろうろする。
お!とうとうベンツ様までもが私のものに。
なおも住宅街を歩き、今度は道端に停めてあるボルボ発見。近寄っていこう。
これはちょっと浮かれすぎだ。
今夜は祝勝会なので
優勝したので今日はひとつ祝勝会でも催そうと、スーパーに入る。もちろん、でかいキー持って。
すると、入り口でワインの試飲をやっていた。アルバイトの女の子に声をかけられる。私の抱えるキーを見て、「えー、それなんですかぁ?」
いや、これはね、と、へどもどしていると、「えー、当たったんですか?ほんとに?すごーい!すごいですよぉ!」と、想定外のツボっぷり。
自分がおじさんだったらお店に通いつめてしまうくらいのホスピタリティ。その盛り上げように惑わされて気づかなかったが、「彼女、このキーの意味、わかってて盛り上がってるんだろうか?」
赤と金のリボンを巻いてあるので「何か当たったんだろう」とは思われたのかもしれないが、これが「あのでかいキー」という、大いに意味のあるオブジェクトであることに、果たして気づいていたのだろうか。もしそうなら見所がある。心配なところもあると言える。
はっ!うまそうなお惣菜を普通に選んでいた。これではピエロ、サンタに続いて「ゴルファーになって何もしない」特集になってしまう。さあ、めでたいものを買いにいかないと。
キー、もてあまし始める
ひととおりのことをやり遂げたら疲れました。喫茶店に入ります。キー持って。
小腹もすいたので、パニーニもいただこう。するとカフェラテだけ出てきた。パニーニはまた少々待つようだ。では席を取っとこう。キーで。
それにしてもなんだな。せっかくこんな華やかなものを持っているというのに、街の反応はいまいちだ。よくわからない。「あの人、車が副賞だったのよ!」とか「トーナメントを勝ち抜いたか・・・」とか、もっとひそひそ噂しててもいいのではないか。
せっかくのでかいキー、もっと十分に活用しなければ。そう思うや、猛然と席を立ち、また街へと出た。キーをぶらぶらさせながら。
どうも、道行く人からは総じて目をそらされるようである。見ないようにしているみたいである。ゴルファー悲しい。いいのだ、私だけが幸せな気分なら。もっといろんなことをしてやる。
見えないギャラリーに向けて精一杯の笑顔で応える。優勝おめでとう私!来年もツアーがんばるぞー!ウォー!
(マウスオーバーで走り去るゴルファー)
喜びをどう表現していいかわからないまま、やみくもに走り去っていってしまいました。このまま来年へとダッシュ。
来年もゴールのことはあまり考えずに駆け抜けていきますのでよろしくお願い申し上げます。
いつも不思議に思うのだが、何勝もしているゴルファーは、今までに何台も車をもらっているはずである。余った車はどうしているのだろうか。
そして、あの「でかいキー」。それも一緒にもらうんだろうか。それとも楽屋裏で返すんだろうか。
それはさておき、でかいキーを手にしてみたわけだが、だからといって車が付いてくるわけではもちろんないので、今こうして写真を見返してみると、心にぽっかりと鍵穴があいて風が吹き抜けるようである。