タイ バンコク、飛行機の墓場で老後格差に思いを馳せる

デイリーポータルZ

タイのバンコクに、飛行機の墓場として有名な「エアプレーングレイブヤード」と呼ばれる空き地がある。

飛行機の墓場

この「エアプレーングレイブヤード」、テレビ番組などでも取り上げられて、かなり著名な観光地となっているので、ご存知の方も多いかもしれない。

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現在(2022年7月29日)のエアプレーングレイブヤード

エアプレーングレイブヤードは、バンコクの中心地から約13キロほど離れたバーンカピ区にある。 

旅客機の残骸が置いてあるだけの空き地だが、ホームレスの家族が空き地を管理しており、ひとり120バーツを払うと、敷地の中に入れてくれ、見学ができる。
ネットで事前に調べた情報では、一人200バーツということだったが、なぜか80バーツ安かった。

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お金を払って入れてもらう(案内してくれた若生さん)
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空き地を管理している家族が住んでいる小屋(木の下に小屋がある)

以前は、廃飛行機の機体を住居にしている人がいるということで、CNNのニュースで見かけた記憶があるが、ぼくが訪れた2022年7月末時点では、飛行機の機体に居住している人はいなかった。

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上下にスライスされた機体がひとつある

空き地には、半分にスライスされた旅客機の残骸がぽつんと置かれていた。

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2階建て旅客機の上部分だ
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地面にそのまま皮だけが置いてあるといった感じ
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飛行機の後ろ部分はすでに無い
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日本語の表示。日本の飛行機?
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おそらくだが、これ機内の荷物棚ですよねこれ
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この飛行機の墓場、ネットで話題になっていた数年前の写真などを、ブログや動画で確認してみると、明らかに機体の数が減っている。

以前は、JALなどで使用されていたとされるボーイング747と、MD80の二つの機体があったようだが、2022年7月にぼくが訪れた際に存在していたのは、スライスされたボーイング747のガワだけだった。

機体の中の什器などはすべて撤去されており、本当にガワだけが空き地に放置してある状態だった。

航空写真で見ると、この飛行機の墓場は、かつて住宅が立ち並ぶ区画だったようだ。だが、2000年代後半に更地になり、2010年頃には飛行機の機体が留置されるようになる。

その後、この更地に飛行機のあるビアガーデンを作ろうと、投資家がオークションで中古の飛行機を落札して持ち込み、2012年頃にビアガーデンをオープンさせた。しかし、1年ほどで倒産し、機体がそのまま放置されている。というのが大雑把な状況らしい。

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飛行機の墓場2002年から2022年までの変遷(Google Earthより)

どうやら、最近は機体の解体と撤去を行っているようで、最盛期だった2015年頃に比べると、留置されている機体の数がずいぶんさみしいことになっている。

おそらく、入場料金が120バーツだったのは、見るところが少なくなっているためのサービスだったのかもしれない。

衝撃の結末 

さて、この記事を書いている今、取材に同行してくれた若生さんに取材時のことを確認すると、衝撃的な情報をくれた。

なんと、飛行機の墓場の飛行機はすべて撤去されたらしい。

GoogleMAPの口コミを最新から並べ替えると、たしかに、なにもない空き地の写真がいくつかアップされており、飛行機はもうありません。と書き込まれている。どうやら、8月にすべて撤去されてしまったようだ。

ぼくが訪れた7月下旬ごろが、機体が見られる最後のチャンスだったのかもしれない。

ということで、残念ながらバンコクの飛行機の墓場は、もう、存在しません。

老後を想う 

同じ引退した飛行機とはいえ、片方はカフェとして余生を過ごし、もう片方は什器をバラバラと取られ、スライスされてスクラップとして処分されてしまう。どこでどう間違ったのか。その運命のいたずらを想うと涙を禁じえない。

 

タイのバンコクからのレポート「引退した飛行機、マクドネル・ダグラス MD82でお茶を飲む」もあわせてどうぞ!

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